●資料
高齢者の転倒予防のための運動プログラム(1)
―スポンジテニス―
Exercise Program for Fall Prevention in the Elderly
―Sponge-Tennis―
高橋 亮輔a |
上岡 洋晴a |
武藤 芳照b |
Ryosuke TAKAHASHIa |
Hiroharu KAMIOKAa |
Yoshiteru MUTOHb |
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岡田 真平a |
小林 佳澄a |
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Shinpei OKADAa |
Kasumi KOBAYASHIa |
a 身体教育医学研究所
b 東京大学大学院身体教育学講座
a Laboratory of Physical Education and Medicinal
b Department of Physical and Health Education, Graduate School of Education, The University of Tokyo
Abstract
Recently many fall accidents were happened, as increased the elderly. This article was to reviewed sponge-tennis that is exercise program for fall prevention in the elderly.
Sponge-tennis is using short and light racket, compared with lawn tennis, and sponge ball. The expectation of playing sponge-tennis in the elderly is increase and maintains the ability of the balance, muscle strength and bone density.
Sponge-tennis is enjoyable and effective exercise of fall prevention in the elderly.
Key Words: |
Elderly, Exercise, Fall Prevention, Sponge-Tennis |
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高齢者、運動、転倒予防、スポンジテニス |
●代表者連絡先: |
〒389−0402 長野県北佐久郡北御牧村大字布下6−1 |
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身体教育医学研究所 高橋亮輔 |
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TEL/FAX 0268−61−6148 E−mail goodspeedsrt23@mbj.sphere.ne.jp |
1. はじめに
近年、高齢者の人口増加に伴い、転倒事故が増加している1)。転倒をした結果、今まで有していた疾患を悪化させ、あるいは、寝たきりを余儀なくされ、QOLの低下により生命が危ぶまれる状況をも引き起こしてしまうことが考えられる。上岡ら2)やGreenspanら3)は、転倒する方向(前方、後方、側方)によって、傷害の部位に特徴があることを報告している。そのため、特に、側方や後方へ倒れないためのバランストレーニングを積極的に取り入れる必要がある4)。
そこで、東京厚生年金病院で開設されている転倒予防教室の運動プログラムの中から、無理なく・楽しく・継続して行うことができる運動あそびのひとつである、スポンジテニス*を紹介する。
* 呼称は「ミニ・テニス」「ショートテニス」等があるが、使用するボールがスポンジボールであることから、柔らかな発想で無理なく楽しい運動あそびとして高齢者に親しみを持って取り組んでもらえるよう「スポンジテニス」という愛称を用いている。(以下スポンジテニスと記述する)
2. スポンジテニスの歴史5)
1970年スウェーデンテニス協会理事であるリーフ・ダルグレン氏が、ジュニア指導に役立てようと“プレイ・ボール”というスポンジボールを開発したことに端を発する。これにより、子どもが気軽に、簡単にテニスに親しむことになり、スウェーデンがテニス王国となるのに大きな貢献を果たした。
また、後に英国テニス協会がルールを規定し、トーナメントを行うようにまで発展している。現在、日本でもスポンジテニスが普及し、多くの子どもたちが取り組んでいる。
3. スポンジテニスの用具
ラケット(図1)は、各メーカーによって若干の違いがあるものの、長さ約55cm、重さ約210gである。
ボール(図1)はスポンジ製で、重さ約15gである。色は、黄色を主体としているが、その他の色も存在する。
図1 スポンジテニス用ラケットとスポンジボール
図2 ラケットの握り方(包丁の握り方に似ていることから「包丁握り」という名称を用いている)
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