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犯罪被害者支援センターみやぎ
かけはし
平成14年7月発行
第8号
ホームページアドレス http://www5c.biglobe.ne.jp/~vscm/
〒980−8691 仙台中央郵便局私書箱160号 TEL・FAX 022−221−7832
 
性の犯罪と基本的人権
吉良 智
 「世の中の色が代わり、何を信じていいのかわからなくなりました。真実なのか?ひょっとして悪夢なのか?約一か月間同じ思いで、部屋に閉じこもっていました。お店の同僚が心配して見舞いに来てくれていたのですが、放心状態だったといわれました。今は、突き上がってくる怒りをどう処理すればいいのか?何かにぶっつけたいのかと思えば、急に悲しさで一杯になり、もう私変になりそうなんです。」ここまで一気に話すとふーっと大きな息をして続けました。「その日は、お店がお休みで街に出かけました。日は落ちてましたがそんなに遅くもない時間だった・・・んですよう・・・もうすぐAPと思った時なにかが飛びついた。・・・思い出せないんです。・・・
 どうしてAPに帰り着いたのかも・・・お店の同僚が世話してくれて生きてこれた。自分でも不思議な気がするのです。自分は、死んでいて別の世界に住んでいるのではないかという気さえしているんです。二か月経った今、自分が性被害にあったことを知ったのです。周りの人達は、とても優しいのですが『忘れなさい』『相手を知らない方がいい』そして『事故のようなものだからー』と慰められています。云々・・・」事業主につき添われて被害届を出しました。が将来にさしつかえると諭されて志し半ばで実家に戻っていきました。
 「私は何てことをしたのか、悔いても悔いても余りあるのです。何とか謝罪したいのですが、相手にしてもらえないのです。・・・自分のからだが憎い!自分はもう『ダメ』な人間だ。そう『屑』ですよね・・・本当に死にたい。・・・死んだら許してもらえますか?」
 人間の弱さをひしひしと聴くのが、『性の犯罪』です。被害者そして加書者ともに重いものを引きずりながらの人生を送ることになり、仕事に就けず医療にかかりながら悔い改めの毎日の人もいます。
 私たちは、生きる力を持ち、自分を大切にすることを何人にも脅かされることのない安心な社会に生活できることになっています。しかし・・・
 思えば、専制国家の圧制に苦しんだ幾多の人民がその自由と開放とを求めて、永年にわたり多くの努力を重ね、幾多の障害を克服して、国家からの自由を自己の固有の権利として獲得した基本的人権は、憲法九十七条で「この憲法が日本国民に保証する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって・・・過去幾多の試練に堪え・・・」と述べられていることからも意味深い。形式的には、保証されているがまだまだすべての人々の現実として『人権尊重』の思想は十分とは言いがたい。封建的因習に捕らわれる、権力や暴力に泣き寝入りするなど自己の人権を守ろうとしない気風になってはいないだろうか?ひとりひとりが自己を大切にする力をもてば、おのずと他人をも尊重し、生きることを脅かされない社会になるに違いない。折しも七月は、社会を明るくする運動月間『犯罪のない社会に』と祈らずにいられない。
(人権擁護委員)
 
平成14年度「犯罪被害者支援センターみやぎ」総会開催!
〜講演会も開催〜
 平成14年度「犯罪被害者支援センターみやぎ」の総会が、去る5月10日「勾当台会館」(仙台市青葉区)において開催されました。
 総会には、来賓として宮城県被害者支援連絡協議会長で宮城県警察本部長 佐藤正夫氏をはじめ、宮城県警察本部警務部長平野薫美氏、同警務部参事官 阿部信三郎氏のご臨席のもと、役員、賛助会員等90名が出席いたしました。
 はじめに、当支援センター 相澤宏邦会長より日頃の支援に対する謝意と当支援センター開設3年目を迎えての今後の課題等活動の現状説明をし挨拶を行い、引き続き来賓の佐藤様より具体的ケースを紹介頂くなど心のこもるご祝辞を頂きました。
 その後、事務局より総会1時間前に開かれた役員会で可決された議案審議の結果が報告され、次いで、新賛助会員の代表「国際ソロプチミスト仙台アイリス」善積淑子会長に、相澤会長より会員証が交付されました。
 総会終了後引き続き、東北会病院 精神科医西尾幸一氏を招き、「職場のストレスについて」と題して講演を頂き、盛会裡に総会の一切の行事を終了いたしました。
 お忙しい中、ご出席をいただきました皆様に改めて感謝を申し上げると共に、欠席された賛助会員の皆様に対し、機関誌「かけはし」を通じ報告にかえさせて頂きます。
挨拶をする相澤会長
 
祝辞を述べる佐藤正夫宮城県警察本部長
 
新会員への会員証の交付
 
講演をする東北会病院精神科医西尾幸一氏
 
「犯罪被害者支援センターみやぎ」の活動
○電話相談等受理状況(H14.1〜6月末現在)
総数 男女別 相談内容別 相談者年代別
被害相談 精神的悩み 問合せ その他 10代 20代 30代 40代 50代 60代 70代 不詳
44 20 24 28 4 4 8 1 9 5 16 7 4 2  
100% 45.5 54.5 63.6 9.1 9.1 18.2 2.3 20.4 11.4 36.4 15.9 9.1 4.5  
 
居住地別 措置別 相談時間別  
仙台市 県南 県北 沿岸 県外 不詳 関係機関紹介(引継ぎ) 相談のみ(助言) 問合せ回答 面接 5分以内 30分以内 30分以上
34 2 3 2   3 26 16 2   8 30 6
77.3 4.5 6.8 4.5   6.8 59.1 36.4 4.5   18.2 68.2 13.6
(1件当り平均18分)
※相談日以外の加電件数 6月分 22件
 
○特徴的傾向
・約半数(45.5%)が、男性からの相談となっている。
・7割以上(77.3%)が仙台市居住者からの相談である。
・6割以上(63.6%)が被害にかかる相談である。
 
内訳
暴行・傷害被害 1件(3.6%)
脅迫被害 件(%)
恐喝被害 件(%)
窃盗被害 3件(10.7%)
強姦・輪姦被害 4件(14.3%)
的被害 1件(3.6%)
痴漢被害 件(%)
詐欺被害 4件(14.3%)
ストーカー被害 1件(3.6%)
セクハラ 2件(7.1%)
家庭内暴力・DV 2件(7.1%)
交通事故(一般) 1件(3.6%)
いじめ 件(%)
その他のトラブル 9件(32.1%)
 
・「強姦・輪姦」に関する相談が増加傾向にある。(1〜5月2件・6月中2件)
・「詐欺被害」に関する相談については、警察との連携を図りながら対応している。
・「ストーカー被害」「セクハラ」「DV」等女性の被害に係る相談が目立ってきており、相談者の要望を取り入れ、医師(当センタースタッフ)との連携を図り対応した。
・「その他のトラブル」については、悪質商法や金銭トラブルに関する相談で、関係機関等との連携を図っている。







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