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犯罪被害者支援センターみやぎ
平成14年4月発行第7号
かけはし
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〒980−8691 仙台中央郵便局私書箱160号 TEL・FAX 022−221−7832
 
犯罪被害者へのこころの援助 宇田川 一夫
 現代の日本社会では、犯罪被害者に対して、社会的、法律的、経済的、心理的ケアに欠けているが、最近ようやく犯罪被害者の置かれている状況に具体的対応を取り始めている段階である。
 日本の歴史を見ると犯罪被害者が置かれた凄まじい状況から、日本の独自の文化、芸術、宗教などが創始されたと言ってもいいのではないか。たとえば、「源氏物語」は、男の論理を振り回す光源氏に対する女性の恨み(亡霊)の物語として読めないことはない。また、忠臣蔵が語り継がれているのも、犯罪被害者の心情を汲む文化があったからであろう。しかし、現代は菅原道真公が、「学問の神様」と奉られていることに象徴されているように、犯罪被害者が置かれている凄まじい「怒り」「怨み」等を重視してこなかった。いやそれ以上にそのような感情を持つことを危険視してきた。菅原道真公は、ライバルの左大臣の讒言により謀反のかどで太宰府に流刑になった犯罪被害者である。その怨みが、怨霊となり都に疫病、自然災害をもたらし、怨霊の崇りを恐れた天皇は、各地に「天神さま」の神社を造り怨霊を鎮めさした。つまり、犯罪被害者の「怨み」「怨霊」を忘れ、自己成就のための「合格祈願」をしているのが現代のわれわれである。
 日本人は、犯罪被害者が加害者への「怨み辛み」には敏感に反応をしてきた。しかし、近代国家になり、法律を破る加害者への刑罰で充分と考え、犯罪被害者の置かれている状況に注目をしなくなってきた。法律(国)が、加害者を罰するので、それで充分であり犯罪被害者が、加害者に「怒り」や「怨み」を持つこと自体危険視される文化が育ってきた。法治国家であるゆえ、行動を伴う「怒り」「怨み」は許されないのは当然であるが、そうかといって犯罪被害者にとって、原初的な「怒り」「怨み」を対処する社会的、心理的環境がないため、その結果PTSDの反応に象徴されるように歪曲した形で心理的、身体的、行動的反応をしているのが、現代の犯罪被害者の置かれている状況ではないかと理解している。
 「仇討ち」ができない社会になって久しいが、加害者の法整備は進んでいる一方、犯罪被害者の方は、「仇討ちは御法度」以上のことは進んでいない。直接行動を抑圧されている犯罪被害者は、その結果諸々の心理的反応に悩んでいる。この新たな心理的反応に「心理的仇討ち」とその後のフォローができればと願っている。
(東北福祉大学 教授)
 
「犯罪被害者支援センターみやぎ」の活動
○電話相談等受理状況(H14.1〜3月末現在)
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○特徴的傾向
・5割以上(54.5%)が、女性からの相談となっている。
・9割以上(90.9%)が仙台市居住者からの相談である。
・4割以上(45.5%)が被害にかかる相談である。
 
 
 
 
・「窃盗被害」に関する相談が、被害相談の30.0%を占めているが、継続相談でもある。
・「ストーカー被害」「セクハラ」「DV」等女性の被害に係る相談が目立ってきている。
・「その他のトラブル」については、悪質商法に関する相談で、関係機関等との連携を図っている。
 
=犯罪や交通事故などの被害でお悩みの方へ=
安心してご相談下さい
 
〈寄付をいただいた団体・個人〉
○宮城県警察本部有志
○株式会社マルタマ
○「つきとうさぎ」(衣料品店)
○S・K(匿名希望)
○宮城県警察音楽隊創隊50周年記念演奏会観客有志
○国際ソロプチミスト仙台アイリス
○小林明子
 
○研修会開催・参加状況
平成13年
4/12 電話相談員と事務局との意見交換会 会長、事務局員、電話相談員
5/8 電話相談員研修会開催(事例検討会) 講師 宮城県子ども総合センター 精神科医 只野文基氏 スクールカウンセラー臨床心理士 鈴木奈津子氏
5/30 「平成13年度犯罪被害者支援センターみやぎ総会」 講演会「ストーカー対策について」講師 宮城県警察本部ストーカー対策室長 林耕一氏 賛助会員、電話相談員等
6/9 電話相談員研修会開催(事例検討会) 講師 宮城県立名取病院 精神科医 小原聡子氏 スクールカウンセラー 臨床心理士 安倍正男氏
6/28 宮城県被害者支援連絡協議会公開講演会 「交通事故被害者への援助について」講師 仙台市立病院 大坂純氏
7/1 「第24回日母性教育指導セミナー」
7/10 電話相談員研修会開催(事例検討会) 講師 スクールカウンセラー 臨床心理士 鈴木奈津子氏 講師 スクールカウンセラー 臨床心理士 岡里美氏
8/31 市民シンポジウム「犯罪被害者の広がりを求めて」
10/13 電話相談員研修会開催(事例検討会) 講師 スクールカウンセラー 臨床心理士 安倍正男氏
11/10 電話相談員研修会開催(事例検討会) 講師 宮城県警察本部 臨床心理士 佐々木千鶴子氏 講師 スクールカウンセラー 臨床心理士 白井真理氏
11/18 全国被害者支援ネットワーク全国研修会(於:東京医科歯科大学)
11/19 第6回犯罪被害者支援フォーラム(於:グランドアーク半蔵門(東京))
11/28 平成13年度「犯罪被害者支援シンポジウム」(於:グランドアーク半蔵門(東京)) 東京犯罪被害者支援都民センター主催
12/8・9 日本電話相談学会第14回大会(於:山形市)
12/11 電話相談員研修会開催(事例検討会) 講師 東北福祉大学 臨床心理士 宇田川一夫氏 講師 宮城県立名取病院 精神科医 小原聡子氏
 
平成14年
1/29 電話相談員等新春勉強会「全国研修会等の報告について」 「新年に向けての取り組みについて
2/10 「生命のメッセージ展in横浜YOKOHAMA」への参加(於:横浜市新都市センタービル)
3/1 「平成13年度犯罪被害者支援公開講演会」(於:パレス宮城野) 講師 全国犯罪被害者の会幹事 本村洋氏 講師 宮城県警察本部生活安全企画課 課長補佐 佐藤宏樹氏
3/22・23 全国被害者支援ネットワーク研修会への参加(於:金沢市)
 
○広報啓発活動状況
○広報啓発用バスステッカーの作成・掲出(仙台市営バス50台)
○「犯罪被害者支援センターみやぎ」事業案内広報用パンフレット1,400部総会、関係機関・団体等に配布
○ホームページの開設
○機関誌「かけはし」第4号500部 賛助会員、関係機関・団体等に配布
○広報啓発用バスステッカーの作成・掲出(仙台市営バス50台)
○機関誌「かけはし」第5号800部 賛助会員、関係機関・団体、フォーラム等で配布
○広報啓発用バスステッカーの作成・掲出(私鉄宮城交通バス50台)
○機関誌「かけはし」第6号320部 賛助会員、関係機関・団体等に配布
○「事業案内」「相談案内リーフレット」各3,000部 募金箱3基 横断幕3枚 宮城県警察音楽隊演奏会(於:宮城県民会館)で配布・設置
○「平成13年度犯罪被害者支援公開講演会」用資料等の作成・プログラム300部・看板等3点
 
公開講演会開催!〜本村洋氏(全国犯罪被害者の会)熱く訴える〜
 平成13年度犯罪被害者支援公開講演会が、去る3月1日パレス宮城野(仙台市青葉区)で開催されました。講師には、山口県光市在住の本村洋氏(犯罪被害者の会)を迎え、平成11年4月、18歳の少年から妻子を殺害された自らの体験を踏まえ、言葉には言い尽せないほどの被害者の心の傷や苦しみを冷静に語り、被害者の心の回復には、事件の真相を知ることの重要性とボランティア組織による直接支援の必要性や支援制度の充実を熱く訴え、聴講者に感銘を与え盛会裡の中に閉会した。
 
 
H14・3・8 14・3・1・(金)公開講習会 全国犯罪被害者の会 木村 洋氏
 
 
河北新報 H14・3・2
(拡大画像:95KB)
 
 
募金贈呈に感謝!〜宮城県警察本部と一般市民からの善意届く〜
 去る3月5日、宮城県警察本部に於いて「犯罪被害者の心のケアに役立てて下さい」と、宮城県警察本部(佐藤正夫本部長)から、314,920円が当支援センター会長(相澤宏邦)に贈呈された。この募金は、去る2月23日に宮城県民会館で行なわれた。宮城県警音楽隊創隊50周年記念演奏会の会場に募金箱を設置し、観客に呼び掛けて集められたものと、警察職員有志が募った善意のお金と合わせて県警音楽隊長紀野国宏明氏から相澤会長に手渡された。
 相澤会長から「皆さんの善意を無駄にすることのないよう、被害者支援のために有効に活用することを誓います」とお礼の言葉を述べた。なお、贈呈の模様が、当日の夕刻、民放テレビで放映されたほか新聞等でも取り上げられ、後日賛助会員の申し込みがあるなど反響を呼んでいる。
 
 
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サンケイ新聞 H14・3・8
 
 







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