障害のある人は何を願っているのでしょう
障害のある人は、障害のない人と同じように、あたり前のくらしをしたいと、みんな願ってます。
あたり前のくらしとは何でしょうか。一つは生活のリズムがあるということです。
朝は家を出て会社や作業所へ出かけ、働いたり、仲間とおしゃべりをしたりする。夜になったら家へ帰って、家族と一緒に夕飯を食べるということです。
何だ、あたり前のことじゃないかと思われるでしょうが、それが、かんたんな事ではないのです。養護学校を卒業したあと、行き場所がない人が増えているのです。たとえ障害が重度でも、毎日でかける場所があることが必要なのです。
次は、自分で選べるということです。障害のある人だから施設へと、まわりの人が勝手に決めるのは間違いです。
何をしたいのか、どういう生活をしたいのか、それを本人が決められるということです。
今までは、家族の都合や社会の都合で決められていたことが少なくなかったのです。
これからは障害のある人が自分の意志で選べるだけの、さまざまな福祉サービスや施設が用意されなければならないでしょう。
三番目には自立ということです。
最近、施設や親元から出て、町の中で仲間と一緒に暮らす障害のある人が増えてきました。
障害が重度でも、親から離れて自立したいというのは、青年期になれば誰もがもつ願いです。
そして、できれば好きな人と結婚したいというのもあたり前の願いです。
そのためにグループホーム(生活ホ一ム)を作ったり、自立生活を援助するための自立生活センターを作る動きが盛んになってきました。
こうした障害のある人の願いを実現するためには、経済的な裏付けが必要です。
1986年から国民年金制度の中に、生活保障というにはまだ十分とはいえないかもしれませんが、障害基礎年金が実現しました。
このほかにも、職場や作業所など、働く場が確保され、そこでの賃金が保障されて、障害のない人と同じような生活ができることを、障害のある人は願ってます。
地域の中でくらす
昔は障害のある人は施設の中でくらすのが当然だと思われていました。
しかし、今は違います。たとえ障害が重度でも、町の中で障害のない人と一緒にくらしたいと思っています。そして、それがあたり前になってきました。
そのために国や県でも、在宅施策や地域福祉施策に力を入れています。生活訓練のためのデイ・ケア・センターや就職できない人が働く作業所など、家庭からかよえる、いろいろな施設が作られるようになってきました。また、家庭の代わりに生活できるグループホ一ムやケアつき住宅も増えてきました。
しかし、行政の力だけでは、障害のある人の生活を支えることは困難です。
近所の人たちやボランティアの協力が何よりも必要です。お互いに地域の一員として支えあってくらすことが大切です。
町の中には、赤ちゃんも、お年寄りも、障害のある人もいるのが、あたり前の社会です。そうした人たちを抜きにした社会は、「弱く、もろい社会」だと、国連ではいっています。
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