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障害のある人、ない人
 障害のある人というと、何か特別の人のように考える人がいますが、そうではありません。
 足の不自由な子どもは、走るのが得意でない子どもが多いかも知れません。知的発達に障害のある子どもは、数の計算が不得意かも知れません。しかし障害のない子どもでも、走るのがおそい子どもや、計算がにが手の子どももいるでしょう。
 人はみんな一人ひとり、個性や特徴をもっています。
 障害があっても、一人ひとり、みんな個性のもち主です。
障害のある子どもや障害のある人という特別の人がいるのではなくて、ある人がたまたま障害がある、というように考えて欲しいのです。
 同じ意味で、健常者ということばも、あまりいいことばではありません。
 
 最近は「障害のある人も、ない人も」というようないい方をする人が増えています。
 障害があっても、なくても、みんな同じ人間だということを忘れないで欲しいのです。
 国連では、全世界の人々の約10%が、何らかの障害があるといっています。
 この数字は日本の障害のある人の比率4.6%とくらべると、はるかに多いのですが、これは定義が違うからです。
 日本では身体や精神に障害のある人だけを対象としていますが、国連の世界保健機関(WHO)では、その他に障害のために能力の低下した人や社会的不利(ハンディキャップ)を受けている人も障害のある人にふくめています。
 
みんな一緒に学ぶ
 障害のある子どもたちのために、その子に合った教育をするための学校として、盲学校、ろう学校、養護学校(肢体不自由、知的障害、病弱の三種類がある)があります。
 また、小学校や中学校の中にも弱視、難聴、知的障害、肢体不自由、病弱・身体虚弱、言語障害、情緒障害の種類に分けられた特殊学級(障害児学級)が用意されています。
 さらに、必要に応じて、普段はみなさんと同じ学級で勉強し、週に数時間、特別の指導の場に通って指導を受ける場合(通級による指導)もあります。
 障害のある子どもたちは、これらの学校や学級で、自立をめざして、一生けんめいに勉強しています。
 そして、障害のある子どもだけで仲間づくりをするのではなく、ほかの学級の友だちと仲良くしたいと思っています。そのために小学校や地域の人たちとの交流活動が進められています。
 学校の行事や、授業などで、養護学校や特殊学級(障害児学級)の子どもたちと一緒に勉強する機会が、これから増えていくでしょう。はじめは、いやがったり、こわがったりするようです。でも、しばらくすると、そんなことを思うのは間違いで、障害があっても、自分たちと少しも違っていない同じ仲間なんだと思う人が多いようです。
 ですから、初めは皆さんの方から勇気を出して声をかけて下さい。
 すぐに仲良しになれるでしょう。
 養護学校などへ行っている人たちは、学校が遠いので、家の近所に友だちができず、さびしがっています。
 交流活動などで知り合いになれたら遊びに行ったり、友だちになったりして下さい。
 もし、みなさんの学級へ入って勉強する子どもがいたら、温かく思いやりの気持ちで接することが大切です。







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