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4. 公開試験完了報告書より抜粋
 
4.1. 日時
:平成14年12月20日(金)13時30分〜16時
 
4.2. 場所
:愛知造船株式会社 名古屋市港区築三町
 
4.3. 主催
:社団法人 東海小型船舶工業会・株式会社 スギノマシン
 
4.4. 公開実験内容
I. ポータブル超高水圧FRP船体切断機としてシステムの構想設計を行い、各機器の仕様を参加者に説明した。
II. スギノマシンより、構想設計に準じたウォータジェット機器と、実際に製作を行った切断機(特殊シングルガン)を持ち込み、デモ切断を行った。
 
4.5. 実験結果
i 被実験FRP船の詳細
 
  全長(m) 幅(m) 深さ(m) 船の形状 備考
(1) 7.3 1.85 0.65 漁船タイプ 切断サンプルとして展示
(2) 4.7 1.4 0.43 漁船タイプ TV取材用に切断
(3) 5.6 1.6 0.6 雑用船 公開実験にて切断
(4) 5 1.2 0.52 釣船 公開実験にて切断
・船体のFRP厚みは5〜8mm(部位により異なる)。
 
ii 切断速度について
・船体を輪切にする方向での、1カット当りの平均所要時間は約5分30秒。船体の輪切方向の長さ(ガウス長さ)は平均2m30cmであったので、切断に要する平均速度は約0.42m/minとなる。
・全長5mのプレジャーボートを5分割に解体した場合の所要時間は、約25分となる。(段取り時間含まず)
 
iii テスト条件について
・使用オリフィス φ0.75(WND−075)
・使用圧力 200MPa(2000kg/cm2
・吐出流量 約12L/min
 
iv 騒音について
・20mの距離を離れた地点での騒音計測の結果は、Max85dBであった。これは、建設省の定める、建設作業における騒音基準をほぼ満たしていると言える。
 
4.6. 公開実験見学者
 
(順序不同 敬称略)
1. 第四管区海上保安部 警備救難部 船舶技術課 清水 雅浩
2. 佐々木 義隆
3. 久保 邦英
4. 海上環境課 山田 稔
5.   森 仁
6. 中部地方整備部港湾空港部 名古屋港湾空港技術調査事務所 坂村 浩
7.   住田 晃昭
8.   斉藤 一成
9. 中部運輸局 海事振興部 船舶産業課 黛 健二
10. 株式会社 清港ドック   渡邉 真男
11. 河合造船所   河合 淑
12. 形原造船株式会社   大塚 幸和
13. ニュージャパンマリン株式会社   中北 和彦
14. 株式会社 宮地造船   宮地 孝幸
15. 浜島造船有限会社   井上 茂
16. 伊藤造船株式会社   伊藤 信義
17. 小池造船有限会社   小池 一実
18.   中村 実男
19. 有限会社出口造船所   出口 明
20. 株式会社 袖野造船所   袖野 広平
21. 千代田造船株式会社   藪谷 紀匡
22. 愛知造船株式会社   濱島 金太郎
23. 濱島造船工業株式会社   濱島 保郎
24. 名古屋テレビ (H.14.12.20放映) 上田 哲也
25.   カメラマン
26.   カメラ助手
27. テレビ愛知 (H.14.12.20放映) 渡邉 規子
28.   カメラマン
29. 中日新聞 名古屋本社 (H.15.1.7記事掲載) 宮本 隆彦
30. 朝日新聞 名古屋本社   本井 宏人
31. 日刊工業新聞 名古屋支社 (H.15.1.7記事掲載) 伊藤 研二
 
4.7. 事業の開発目的
 FRP船体切断機として、船体切断時に発生するガラス繊維と樹脂が飛散せず、作業者の安全衛生面に考慮した、環境にやさしく且つ、立地条件に関わらずFRP船体の切断作業が容易に出来、船体の特異な形状に容易に順応できるポータブルな切断機を開発する事を目的とする。
 
4.8. 事業の背景
 近年各種のFRP廃船処理システムが開発されたにも関わらず、廃船処理の実効が依然として上がっていない。
 これは、FRP廃船処理システムの稼動単価が、高い事によると云われ、その一因として廃船処理システムの第一ステージにある船体を粗破砕し、例えば、回転式破砕機等へ投入するまでの過程において、船体粗破砕の非能率と併せ、破砕現場の周辺環境への配慮などから、船体粗破砕の供給が安定的に行われない為、稼働率が極めて悪くなる事によると云われている。よって、廃船と成った係留船が立地条件に関わらず、容易に船体粗破砕(切断)し得るポータブルな船体粗切断機を開発し、船体粗破砕材の運搬及び、供給効率を高める事により、FRP廃船処理の促進を図る事とする。
 
4.9. 事業の開発コンセプト
 廃船となったFRP船の大半は、海浜などへの不法係留などであり、その多くは水没、または半水没状態である。作業を行う足場条件も、不安定且つ多様になることから、軽量小型であることを第一とする。
 また、解体作業による2次公害を起こさぬよう、解体にはウォータージェットのみを使用する。
 
(1)ポンプ工作車
 4.5tトラックの車体に、解体に使用する機材全てを搭載する。また、高圧ポンプはトラックのエンジンよりPTO(Power take Off)ユニットにて動力を取り出すものとする。
 
(2)切断機
 船体の特異な形状に追従し得る機構を持ち、入り組んだ場所にも持ち込める小型で、長時間使用しても疲れない、ガン形状の軽量な装置を目指す。作業者の安全と作業環境を考慮して、十分な安全装置を備えるものとする。
 
4.10. 機器仕様
 
(1)ポンプ工作車
  構想設計仕様 テスト機仕様
・高圧ポンプ
型式 JPHE−S2016 JPHE−S8030
最局吐出圧力 常用200MPa(2000kg/cm2 常用245MPa(2500kg/cm2
最大吐出流量 12L/min 25L/min
給水 カスケードポンプによる加圧給水
給水圧力 0.3〜07MPa(3〜7kg/cm2 0.2〜0.7MPa(2〜7kg/cm2
所要動力 49kW(67PS) 118kW(160PS)
・超高圧リリーフバルブ
型式 JSV−200020 JRV−300030
設定圧力範囲 45〜200MPa(450〜2000kg/cm2 50〜245MPa(500〜2500kg/cm2
 *)高圧ポンプの吐出圧力設定に使用。
・シリンダバルブ
型式 φ5−2000K 25L/min
最局使用圧力 200MPa(2000kg/cm2 25L/min
 *)高圧ポンプ始動時に全開とし、高圧ポンプの空気抜き及び、無負荷始動を行うために使用。
・トラック
型式 KK−FK61GG(三菱)相当
最大積載量 4.6t
エンジン出力 132kW(180PS)/2900min−1
架台寸法 4600×2120
・PTOユニット
使用回転数 1800min−1
取出し出力 約65kW(90PS)
・発電機
発電容量 1.3KVA
 *)エアーコンプレッサ、切断装置、電動ウインチの動力源とする。
・エアーコンプレッサ
吐出圧力 0.55〜0.7MPa(5.5〜7kg/cm2
電動機容量 0.75kW
 *)セーフティセレクタの駆動に使用。
・電動ウインチ
定格荷重 450kg
ワイヤ巻取量 φ5.56×12m
電動機容量 0.43kW
 
(2)切断装置(製作仕様)
 
・特殊シングルガン
 超高圧ホースによって導かれた超高圧水を、先端に取りつけられたウォータノズルより噴射させ、その衝突エネルギーによってFRP船を切断します。ガンの先端にはソリが取りつけられ、特異な船体形状に追従します。また、ソリには安全スイッチが取り付けられ、安全スイッチが解除される事によって初めて超高圧水の噴射が可能になります。
 
最高使用圧力 245MPa(2500kg/cm2
最大流量 15L/min
質量 7kg
安全装置 ソリの安全スイッチ、手元スイッチ及びセーフティロックの3箇所
ウォータノズル WND-075(内径0.75mm)
 
・セーフティセレクタ
 超高圧水を任意のタイミングで噴射、停止させるために使用します。特殊シングルガンの安全スイッチ解除され、手元スイッチがON信号を出した時、特殊シングルガン側に超高圧水が流れます。
 内部に取りつけられたエア駆動のシリンダによって、リークノズル側、特殊シングルガン側へと流路を切換えます。
 
型式 SSV−2512
最高使用圧力 245HPa(2500kg/cm2
最大流量 12L/min
 
・超高圧ホース
 超高圧水を高圧ポンプより、特殊シングルガンまで導きます。ウォータージェット専用の高耐圧性能をもったホースです。
 
型式 JHU−4250**−MME
最高使用圧力 245MPa(2500kg/cm2
ホース内径 φ5







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