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4、事業効果
 都会で「海辺の生物ふれあい教室」を開催するのは、会場の許可申請から魚の入手、管理、あるいは機材の用意、池掃除とかなりの手間がかかります。また、夏場であることから、魚の生態を熟知したひと達がいなければ、魚はすぐに死んでしまいます。これらのことから、思っていた以上の負担をスタッフにかけてしまいました。
 しかしこども達は、それを補って余りある笑顔と歓声を体全体で表現してくれましたし、その喜びと感動をすぐに感想文に書いてくれました。後からは驚きや楽しかったことのあるがままを絵手紙や学級新聞の特集号にして送ってくれました。こども達の太く力強い文字、画面からはみ出しそうな大きなサメやエイ、ウニの絵などを全て一枚一枚紹介できなかったのは大変残念です。
 本活動を通して、一匹ごとに異なる魚の重さ、皮膚の違い、形態の違いなど、魚達と向き合うことのできたこども達は、きっと五感を十分働かせて、身の回りの自然や環境の大切さを考えていってもらえるものと思います。
 最近では、こども達のみではなく、親の側でも磯遊びなど自然体験を経験したことのない人が増えています。環境教育の重要性をいわれてはいるものの、昔のまま、自然のままの磯やゴミのないきれいな海岸は極めて少なくなってもいます。そうした環境では、例え磯浜に行っても、昔のように豊富に生物を見つけることも困難になっています。
 「海の生物ふれあい教室」のような磯遊びの疑似体験が、こども達の海への興味をひきおこし、これを出発点として、海や漁業への理解の一助になれば幸いと思っています。
 
 参加小学校には、各々先生方にお願いをして直後にアンケートをいたただきました。このアンケートを返送いただいた折にさまざまな生徒の作品が送られてきました。
 篠原小学校4年生からは「海辺の生き物とふれ合って」と題し、海の生き物達の生息地や生態、形態などについて勉強したことやふれあい教室での思い出などを様々に綴った学級新聞資料13。青木小学校からは、楽しかった思い出をつづった絵日記資料14などです。これらのかわいい作品を見て感激したスタッフが記念に色紙資料15をお送りしたところ、釜利谷南小学校3年生からは絵手紙資料16を、4年生からは作文を送ってくださいました。これらのすべてをお見せすることはできませんが一部を抜粋し、巻末の資料の中に掲載させていただきました。
 アンケートにおいても、一枚一枚全てに味のある文字や絵文字、マークが豊富に使われており、それをそのまま全て掲載すれば、こども達の気持ちも十分伝わったと思われますがまとめた形でしかご報告できないのが残念です。
 またこども達の各々の意見をまとめるのも、そのまとめ方で多くも少なくもなりますし、また、サメとウニの人気なども計れるものでもありませんので、なるべく一人一人の意見を尊重して載せたいとは考えましたが、なかなか難しいことでした。なお、こども達の意見はひらがなが多いので、漢字に直させてもらいました。
 さらにアンケート以外に絵日記や学級新聞などにしていただいたものは、一冊の本になるほど数も多く、大変興味深いものです。いずれ何らかの形で発表の機会を考えていきたいと思っております。
 
(1)アンケート結果(小学校 1・2年生/教師)
【教師用アンケート結果】
1、どのような教科として実施されましたか。
 生活・・・5
2、どのような目的で実施されましたか。
海辺の生き物とのふれあいを楽しむことができる。・・・5
「生き物と仲良くなろう」という目的で参加した。
経験を学校での生き物の飼育活動に役立てる。
3、生徒の反応はいかがでしたか。
始めは怖がっていた子も慣れるにつれて、自分からさわりにいくなど進んで喜んで活動していた。中には全身びしょびしょになっても止めなかった子もいた。
初めての経験が多くあり、目を輝かせて楽しんでいました。・・・2
夢中になってタコや鮫、蟹、エビなどをさわったり、捕まえたりしていた。始めは恐がっていた子も一度さわると慣れて興味を持っていた。
始めはこわごわとしていた子どもたちも慣れるにつれ、生き物と楽しそうにふれあっていて、満足した様子だった。
新鮮な驚きと感動があったようでした。
4、実施内容についての感想をお聞かせください。
子どもにめったにできない体験をさせていただいてありがたかった。海の生物が身近に感じられ、自由にさわれてよかったです。・・・2
各ポイントで説明していただいて、とても分かりやすかったです。
長時間自由にふれあうことができて、十分満足できたと思う。とても貴重な体験をさせていただきました。
送迎まで配慮して下さったうえ、生き物と自由にのびのびとふれあえる活動を提供して下さり、本当に有意義な時間だったと思います。
たくさんの種類の生き物を準備してくださり楽しく過ごせました。
5、よかった点があればご記入ください。
自由にさわれてよかった。色々説明して下さり、分かりやすかった。(しっかり聞いていたかどうか・・・?)
先に観察用プールで慣れてから、池に入るという順番が良かった。
観察用プールでよくその生き物の事を見たり、さわり方を教わったりでき、大きな池で魚たちを見つけて掴まえたりでき、両方があったために、より子どもたちが親しみやすくなっていたと思う。
子どもたちが自分のぺ一スで活動できたこと。普段触れることのない魚たちに触れたこと。
6、今後改善すべき点があればご記入ください。
死んでしまったり、傷んでしまっている生き物がいて、教育的には触れあわせたいが、生き物にとってはかわいそうな面もあると思う。
内容ではなく、環境的なことで昼前などに使う手洗い場があればよかったです。
池で蟹の足がとれていたり、エビの足がとれていたりしていたことが、かわいそうでした。仕方がないのでしょうが・・・。
魚達がかわいそうな気もしたが、都会のこども達が本物とふれあうチャンスと考えると意義深いと思う。
着替え場所を作っていただいたが、はじめから想定しておいたほうがよかった。・・・2
説明がもう少し小グループだとよかったと思う。
夏休み前に実施すると、夏休み中に海に遊びに行ったときなどに経験が生かせてよかったかもしれない。
7、実施すべき項目、取り入れた方がよい点などがありましたらお聞かせください。
大きい水槽に入った魚に餌をやることができるとうれしいと思う。全員には無理だろうが・・・。
ウニの中身を切って見せていただきました。全員が体験できればなお良かったと思います。
なまこにも触れたかった。
8、その他気がついた点などご記入ください。
何人ものスタッフの方がとても親切にしてくれたので、色々なことを初めて知ってよかったという声が多かったです。始めは恐くて触れなかった子どもが、時間がたつにつれ、興味を持っていったのが印象的でした。みんなが触っているから、さわってみようという流れができていたのだと思います。色々とありがとうございました。
今後も続けていただければと思います。今回は、1・2年生が参加しましたが3年生も行きたいといっておりました。
海に近いところに住んでいながら、普段魚や貝類に触れる機会がまったくないので、本当に貴重な体験ができました。子どもたちもぬれるのも気にせずに、夢中で魚やたこを追いかけていました。楽しい思い出ができたようです。







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