日本財団 図書館


◆スタッフに訊く・・・1
田岡 光代さん
●女性 正規スタッフ 勤続年数6年
●施設と関わるようになった理由
 12年間保育園で保母をしていて、その後10年間介護福祉士として働いていましたが、初代の園長先生に声をかけていただいてこちらへ来ました。
●施設について
 自然に囲まれた治療棟というイメージです。私は保育士として生活面を担当しています。
●在籍生の変化に気づくとき
 子供のちょっとした仕草、例えば目をそらそうとしたり、良い子ぶったり。いつもと違う小さな変化で気持ちを伝えようとしているんだなと感じたりします。朝の体操時には欠かせない“視診”で一日が分かるような気がします。
●在籍生との関わりで注意している点
 治療者とお母さん役という二足のワラジをはいているので、そのバランスに気を使います。お母さんになり過ぎても、行き過ぎた治療者になり過ぎてもだめ。子供と程よい距離を保たねば、と思います。また、自分の人格的なレベルを上げようと努力しています。これは全て子供から学ぶものです。
●ここで働いて喜びを感じるとき
 子供に自信がついてきて、その子自身の自己評価レベルが上がってきたなと感じられるとき。感動を共感できたとき。「若竹学園で育った」と胸をはって言ってくれたとき。卒園児が訪れてきてくれたときなどです。
●辛いと感じるとき
 子供が色々な理由により卒園という形ではなく、途中で園を去らざるを得なくなったときは本当に辛いです。
●施設での自分のポジション(役割)
 壁でしょうか。もたれかかって安らげる壁、阻止する壁、受け止める壁。年齢的にも若いスタッフの調整役というところもあります。
●施設の今後について
 夢があります。ここで育った子が卒園して、勉強して、今度はスタッフとしてここへ戻ってきて欲しいです。子供たちの気持ちを、彼らの方がずっと良く理解でき、真の応援が出来ると思うからです。
●代表・その他のスタッフについて
 子供からエネルギーをもらい、そのエネルギーを子供に伝える。それがまた子供たちのエネルギーになるという還元の気持ちを教えていただき、喜びを肌で感じながらここで働かせていただいています。これが私のエネルギーになっています。
●その他
 どんな子供にも気持ちを伝えようと思う心があれば必ず伝わります。結果を先に持ってくるとできませんが、気持ちを受け入れていくと心が伝わり、成長してくれます。天使として生まれたのに、羽を潰され自由に飛び回ることができなくなっている子供たちが羽を取り戻し、生まれてきて良かったと思いながら自己のレベルを向上させていく。それが私の願いであり、喜びです。
 
◆スタッフに訊く・・・2
芝原 友貴さん
●女性 正規スタッフ 勤続年数1年半
●施設と関わるようになった理由
 スクールカウンセラーの勉強(大学院卒)をしていて、縁がありこちらへ来させていただきました。
●施設について
 小規模な施設で、園生の中で上下関係も見られますが、そこから兄弟的な関係への発展が見られたりもします。
●在籍生の変化に気づくとき
 毎日毎日変化があります。2日間の休み明けに出てくると、2日前との違いに驚くこともあります。
●在籍生との関わりで注意している点
 問題が起こったときに大人が答えを与えるのではなく、子ども自身に考えさせ、問題を解決していく方向へ持っていくようにしています。
●ここで働いて喜びを感じるとき
 子供が成長するのを見ているときです。例えば感情のコントロールができるようになったりとか、深く考えて自分で問題の解決方法を見つけ出したりしたときはすごく嬉しいです。
●辛いと感じるとき
 日々勉強中ですが、対応の幅を広げるためにより多くの客観的なアドバイスがあればと思います。
●施設での自分のポジション(役割)
 いつもそばにいて、子供たちの支えになれればと思います。また、子供たちが自分の考えや、悩みを少し客観的に見ることが出来る目を養う手助けができればと思っています。
●施設の今後について
 もう少し保護者の方々との関わりが多く持てればと思います。また、地域との関わりももっと増やしていけたらと思います。
●代表・その他のスタッフについて
 子供たちがいて、大人がいて一つの社会なので、色々な分野で子供たちのために、一つのゴールを目指してみんなで力を合わせて頑張りたいと思います。
●その他
 毎日が勉強で大変良い機会を与えて頂いていると思っています。
 
★在籍生に訊く・・・1
●19歳 女性 在籍年数5ヶ月
 
●入寮する以前の状態と入寮のきっかけ
 両親とのトラブルから不登校となりました。情緒不安定を自覚していましたので、どうにかしたいと児童相談所へ行き、その紹介で他県からこちらへ来ました。
●入寮当時の施設の印象
 すごい山の中で、電気は通っているのかな、電話は通じるのかなと思いました(笑)。
●現在施設で行っていること(作業・通学・勉強など)
 通信制の高校生です。週に1日通学して、他は学園内で勉強や畑作業、花やヤギの世話なんかをしています。がんばってやっています。
●施設で楽しいこと
 ヨーガやスポーツチャンバラ(これは剣道と同じように試合や段位もある)、太鼓の練習などが楽しいです。特に太鼓は自分をさらけ出して打つものだと先生に教えていただいてからストレス発散に最高です。作法も習わせていただいているのもありがたいことです。
●施設で辛いこと
 故郷、実家から離れて暮らしていることが辛いです。もう一つは、感情のコントロールが出来ていない他の子を見ると、自分を見ているようで辛いです。
●入寮後自分の中で変化したこと
 応援して下さる方々もいるし、信頼出来る友達もできたので、頑張って生きていけるという自信を感じられるようになりました。感情を素直に表せるようになり、胸を張って歩けるようになりました。
●今の目標
 作業の働き具合でバイトの許可が下りるので、がんばってバイトをしたいです。それとスポーツチャンバラの黒帯が欲しいです。
●将来について
 バイトしてお金を貯めて大学に進学したいです。そして老人福祉の仕事に就きたいと思っています。それともう一つは、私の今までの経験を本にして、同じような境遇にいる子たちにこのような施設があることや、立ち直ることが出来るということを伝えたいです。
●現在の施設の印象
 居心地良いです。上下関係があまり無く、対等に付き合えることが非常に良いです。一番良いのは先生たちが子供たちの中に自然に入ってきてくれることです。涙が出るぐらい嬉しいです。
●他の在籍生との関係
 一枚壁がある兄弟という感じかな。
●親との関係
 気持ち的には縁を切っています。
●代表・スタッフの方との関係
 園長先生も一緒に掃除をしてくれたり、気楽に話せるし、他の先生方とも心の中を打ち明けて話すことができます。不安定なときには時間を割いて付き合って下さいます。ただ、たまに他の子と比較されたときは嫌だなと思います。
 
▼団体詳細
団体名称●社会福祉法人「四恩の里」若竹学園(ワカタケガクエン)
代表者名●宜保 直行(ギボ ナオユキ)
所在地●〒761−8004 香川県高松市中山町1501−192(タカマツシナカヤマチョウ)
電話番号●087−882−1000 FAX●087−882−1160
URL●http://www.netwave.or.jp/~wakatake/ E−MAIL●wakatake@mail.netwave.or.jp
設立年度●1994年 在籍生平均在籍年数●―
入寮生数●男・・・16人 女・・・6人(平均年齢・・・15歳) 入寮定員●男・・・24人 女・・・14人
通所生数●通所生の受け入れは行っていません。
年齢制限●有り(0歳〜20歳) 性別制限●無し 相談業務●有り(無料) 家庭訪問●有り(無料)
親の会●無し 会報発行●有り(年12回)
特記事項●入所者の多くは児童相談所を通じて来る。/20歳までと年齢制限を設けているが、隣接地に若竹学園とは別団体の運営による20歳以上のひきこもりの方々のための施設「心のハーブ苑」の建設を予定。
スタッフ状況●日中・・・常時6〜10名。夜間・・・宿直2名・遅出1名
スタッフ●正規・・・男9人・女11人/ボランティア・・・男―入・女―人/その他・・・男―人・女―人
 
▼通所費・入寮費
国と県の措置費で運営されているため、費用は保護者の所得により異なる。/月額負担金は平均で2〜3万円。/20歳以上の施設「心のハーブ苑」については実費扱いとなる。
 
▼生活
日課スケジュール●[午前]個別や小グループでの学習、作業実習などに分かれて活動する。[午後]作業、自習・自由といった活動が3:00まで続き、その後おやつとなる。/3:30よりヨーガ、太鼓練習、スポーツチャンパラ、ホームルームなど曜日によってその活動内容は変化する。
週末・休日●通信制高校に通う子は、毎週日曜日通学となる。その他の子供たちは休日。月に2回程週末にボーリングなどの行事を行っている。
食事●食事は栄養士の方が作る。食事は美味しく、栄養のバランスがとれている。誕生日には各自希望のメニューを注文することができる。
清掃●職員、寮生全員が10分間集中してそれぞれの持ち場を掃除する。土、日は少し長い掃除時間を取っている。
年間スケジュール●1月・・・初詣・書初め・高校入試/2月・・・節分・高校入試/3月・・・ひな祭り・春休み・高校入試・終了式/4月・・・花見・野草摘み・始業式/5月・・・こどもの日・健康診断/6月・・・潮干狩り・老人施設慰問・観劇/7月・・・プール・七夕祭り・大掃除・夏休み/8月・・・海水浴・観劇・花火・肝試し/9月・・・文化祭・・・遠足・月見茶会・始業式/10月・・・きのこ狩り/11月・・・修学旅行・防火訓練/12月・・・ウォークラリー・クリスマス・餅つき・御節料理作り。







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