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一期一会
イチゴイチエ
 
代表者名●鈴木 由美子[スズキ ユミコ]
所在地●〒408−0306 山梨県北巨摩郡武川村山高570−4
電話番号●0551−26−2267 FAX番号●0551−26−2267
URL●無し E−mail●無し
 
知り合いの家族と暮らすような2週間の短期寄宿
●報告―小川 誠[寄宿生活塾 五色塾代表]
 
 鈴木さんは6年前から不登校やひきこもりの青少年を対象にフリースペースを始め、2年前からは子供を自宅に預かって、身内同様に共同生活を営む寄宿教育も行っている。
 実際に家庭を開放して共同生活をする中で、不登校の子供が復学したり、乗馬クラブに就職した子供も出たり、それなりのやり甲斐を感じている。その一方で、ご主人は気を使い過ぎて疲れてしまったり、自身と預かった子や自分の子供との関係が難しかったり、喫茶店も経営しながら自宅に子供を預かることの難しさも体験した。世間の目も必ずしも温かいものばかりではなかったようだ。
 そのような経験を経ながらも鈴木さんはこれからも2週間程度の短期寄宿を維持し、その中でできることをやっていこうと考えている。鈴木さん自身はもちろんだが、協力的なご主人やお子さんにも家庭を開放されたことに対して心から敬意を表したい。これは本当に簡単な思い付きだけで続けられるものではないからだ。
 
喫茶店「オブリガード」・・・韮崎駅で下車して車で20分くらいの武川という小さい村に「一期一会」はある。こじんまりとした喫茶店で、同時に代表の鈴木さんの自宅でもある。土地の人が立ち寄ることが多いそうだ。
 
周辺・・・別荘地という雰囲気で、都会から移り住んだ人が多いそうだ。南アルプスの山々が近くに見える。
 
寄宿舎(離れ)・・・母屋のすぐ隣。男子なら自宅の2階で代表の子供と同じ部屋で生活することもある。女子は離れ。
 
 我が子を預ける親御さんからすれば、2週間では短すぎるという声も上がるだろうが、私は鈴木さんが試行錯誤の末に出した結論は鈴木家にとって現実的であり、永続するために必要な形態なのではないかと思った。寄宿型の青少年育成施設は全国的に見てまだまだ少ないし、特に家庭に身内のように預かってくれるところは非常に少ないようだ。また、家族ならではの安らぎやぬくもりや一体感は格別なものだろうし、それは大人数の寄宿寮の生活では得難いかもしれない。だから、たとえ2週間という短期寄宿であっても、「一期一会」のような存在も貴重な選択肢の一つであることは間違いない。今年から養護学校の子供も短期里親として預かるようにしたと言っていたが、それは温かいぬくもりのありそうな鈴木家にぴったりだと感じた。
 ところで、鈴木さんは元来都会派で、周りの豊かな自然を生かした活動はほとんどやってないそうだ。すぐ側には武川の清流が流れ、南には眼前に南アルプスの山々が美しい。この素晴らしい自然との触れ合いを日課の中に取り込まないのは勿体無いと思った。
 それから、訪問した時は寮生がいなかったので、共同生活の様子という大切な部分の報告ができないのは残念だ。[調査日―2002.05]
 
寄宿舎・・・6畳の畳部屋と4畳半の板の間が一続きになっていて、台所、トイレ、風呂もついている。
 
田んぼ用地・・・離れの裏に確保されている。今は寄宿生がいないので休耕田になっている。
 
離れの台所・・・非常に清潔感があり、造りもきれいでしっかりしている。
 
近所の乗馬クラブ・・・寄宿生はよくここで乗馬をするそうだ。馬が好きになって、その道に進んだ子もいる。







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