日本財団 図書館


◆スタッフに訊く・・・2
尾根山 智彦さん
●男性 25歳 正規スタッフ・寮長 勤続年数 2年
●施設と関わるようになった理由
 私自身が言い出しっぺのようなもので、親がこの家に住まなくなったので、コロンブスの活動に役立てて欲しいと思い、この家を開放しました。
●施設について
 多くの人に利用してもらいたいと思います。不登校やひきこもりの経験あるなしに関わらず、このような所に来たい人や興味のある人なら誰でも分け隔てなく来て欲しいです。
●在籍生の変化に気づくとき
 一緒に生活しているので、常に一緒に活動しているときの言葉や行動や何気ないことで気づかされますね。
●在籍生との関わりで注意している点
 一番重要視しているのは信頼関係です。それがないとやはり一緒に生活していくのはしんどいですね。自分が男で年齢が若いので女性の寮生にはその点を注意しています。
●ここで働いて喜びを感じるとき
 子供に変化があったときです。そのためにやっているようなものですから。前はこういう言葉が発せられなかったのに今できるようになったとか。自分でふと気づいたときが嬉しいです。
●辛いと感じるとき
 子供が逃げ出してしまったときです。その子のために一生懸命やっていたのにと思うと辛いです。
●施設での自分のポジション(役割)
 寮長をやっています。始めたばかりなのでまだまだ地域との結びつきが弱いですね。もっと地域に根ざした活動をやっていきたいです。例えば今年から学校が週休2日制になりましたが、何をしたらいいのか分からないという父母の方々が多いので、土・日も子供を預かって山へ行ったり海へ行ったり虫取りをやったりという内容で、合宿を始めました。ほとんどの子が泊まっていきます。
●代表・その他のスタッフについて
 今の自分の立場はコロンブスの代表やスタッフに支援していただいている関係なので、感謝以外の何物でもないですね。
●その他
 開設してまだ日も浅く経験も少ないので失敗もありますが自分も含めてスタッフは皆、今の子供たちの事情を見て少しでも何かできればと、お金のことなども考えないで働いている者ばかりだと思います。そういう気持ちを感じてもらえたらうれしいです。
 
★在籍生に訊く・・・1
斎田 裕子さん
●18歳 女性 在籍年数5ヶ月
 
●入寮する以前の状態と入寮のきっかけ
 二週間くらい一軒家でずっと一人で寝ていました。アトピーのこととかすべてのことにいらいらしていて、親に当たっていたのでお母さんが耐えられなくなって出てしまいました。ケースワーカーの人が調べてくれてムツコロを紹介してくれました。
●入寮当時の施設の印象
 パンフレットを見て持ったイメージとは違っていました。今は他のメンバー・スタッフと4人で一部屋を一緒に使っています。
●現在施設で行っていること(作業・通学・勉強など)
 夜間高校を休学していましたがまた行き始めました。学校は楽しいです。学校が藤沢なので通うのはちょっときついです。夜間のバイトもやりましたが、時間の折り合いがつかなくなって辞めました。
●施設で楽しいこと
 ボランティアスタッフの人と仲良くなれたことです。それから“人馴れ”ができるようになってよかったです。お父さんがいなくて男子とは話をしたことがなかったのですが、ここでいろんな人と話すようになって平気になりました。
●施設で辛いこと
 部屋が他の人と同じこと。自分の部屋を持っていた以前と違ってくつろげないからです。それから何か監視されているような気分になります。「スタッフは何かあったら大変だからね」と言っています。
●入寮後自分の中で変化したこと
 親しい友達から「言うことがストレートになった」と言われました。前は遠慮がちだったので。
●今の目標
 バンタンという所にはメイクとカメラ、服飾とかを一年間で体験できるコースがあります。そのサマーセミナーに参加しようと思っています。
●将来について
 まず一人暮らしをして、今言ったような学校に通いたいです。アトピーで何もできなかったので、フリーターをやって自分で楽しいことをしたいです。
●現在の施設の印象
 入所当初はみんなベッタリしていて、あまりついていけなかったです。来てすぐに男のスタッフから呼びつけにされたのが嫌でした。ただ、もうだいぶ慣れました。
●他の在籍生との関係
 みんなと一緒に食事をするのが小学校の時から苦手でしたが、今は大丈夫になりました。
●親との関係
 お母さんは少しうつ病になったみたいです。自宅にはいなくてどこに住んでいるのか分かりません。親は3個仕事をやって、それで寮費とか学費とか携帯代とか全部出してくれています。
●代表・スタッフの方との関係
 金森さんは私が考えてなかったことまで分かっているみたいです。
※調査員注:この子は前日相当感情が激昂し、最近情緒不安定になっているためインタビューの内容も不満が多くなっている。
 
★在籍生に訊く・・・2
斉藤 雅美さん
●23歳 女性 在籍年数1年2ヶ月
 
●入寮する以前の状態と入寮のきっかけ
 5年間ひきこもり、その後通信制高校に3年通いました。それからフリースクール淡路プラッツという場所に2年間在籍していました。入寮するきっかけは金森さん(代表)と淡路プラッツのスタッフが知り合いで、ここの存在を知ったからです。一昨年の夏、金森さんと会うきっかけがあって、お好み焼き屋や共同生活舎に来ないかと誘われてやってきました。
●入寮当時の施設の印象
 六浦に引っ越して6ヶ月間は事務所で共同生活をしました。新鮮でしたが気づかいの必要性が分かりました。ムツコロに入ったときは準備段階に等しく、一つひとつ作っている段階でしたので、スタッフは忙しく働いていました。
●現在施設で行っていること(作業・通学・勉強など)
 共同生活をしながらお好み焼き屋の正社員として働いています。半年間は見習い期間で今の給料よりも少し少なかったですね。
●施設で楽しいこと
 みんなでテレビを見たり、映画を見たり、みんなで一緒にできることが楽しいです。
●施設で辛いこと
 共同生活をしたことがなかったので自分の時間が欲しいと思うことがたまにあります。
●入寮後自分の中で変化したこと
 最初から出来ないって思っていたらいけないな、とにかくやってみる、やる前から決め付けてしまうと損だな、と思うようになりました。私はここに来れて運が良かったと思っています。
●今の目標
 ここを卒設した後に保育士になりたいと思っています。その準備を少しずつ進めたいです。何年間は恩返しとしてここで働きたいので、その後は大学進学の準備をと思っています。それからせっかくチャンスがあるのでニュージーランドでも働いてみたいですね。
●現在の施設の印象
 もっと変えられると思います。ボランティアが増えていますが、もっと増えていったら良いと思います。そうすればスタッフが他のことができるようになると思います。
●他の在籍生との関係
 最近は仕事にかまけて二の次のことになっていて申し訳ないなと思っています。今の仕事がひと段落したらもう少し触れ合う時間を作りたいです。
※調査員注:とても5年間ひきこもっていた子とは思えなかった。スタッフだと勘違いしたほど一人前の大人の雰囲気と言葉づかいだった。
※寮長・尾根山さん:最近自覚がでてきて、子供たちや他のスタッフたちのことまで気をつかうようになってきました。
 
▼団体詳細
団体名称●NPO法人 コロンブスアカデミー
代表者名●金森克雄(力ナモリ カツオ)
所在地●〒235−0007 神奈川県横浜市磯子区西町11−8根岸駅前ビル2F
電話番号●045−753−5216 FAX●045−751−9460
URL●http://www.npocolumbus.or.jp/ E−MAIL●info@npocolumbus.or.jp
設立年度●2000年 在籍生平均在籍年数●1年
入寮生数●男・・・6人 女・・・6人(平均年齢・・・16歳) 入寮定員●男・・・10人女・・・10人
通所生数●男・・・20人 女・・・10人(平均年齢・・・11歳) 通所定員●男・・・―人 女・・・―人
年齢制限●無し 性別制限●無し 相談業務●有り(無料) 家庭訪問●無し
親の会●有り(100人) 会報発行●有り(年6回)
特記事項●コロンブスアカデミーはニュージーランドに「ニュージーランドコロンブスフリースクール」を持っている。その運営はインターナショナルコロンブスアカデミーが行っている。両者は相互に補完し合う関係にある。
スタッフ状況●日中・・・正規スタッフ2名、ボランティアスタッフ2〜5名が常駐。その他の方々に時々お手伝いただいている。夜間・・・日中と同じ
スタッフ●正規・・・男1人・女4人/ボランティア・・・男15人・女15人/その他・・・男50人・女50人
 
▼通所費・入寮費
通所生●参加する活動や教室によって参加費500円をもらうものもある。食事は食べれば500円。土日のお泊り会・・・2,000円。
入寮生●月額負担金・・・80,000円/設備維持費(年)・・・50,000円。
※特記事項[短期体験コース]2週間・・・50,000円/1ヶ月・・・100,000円。[体験入舎]1日・・・3,500円
※その他[NPO法人会費](正会員)入会金・・・5,000円/年会費・・・10,000円、(賛助会員)入会金なし/年会費・・・2,000円(一口)、(賛助法人会員)入会金・・・50,000円/年会費50,000円(一口)、(特別会員)入会金・・・10,000円/年会費・・・10,000円。
 
▼生活
日課スケジュール●[午前]7:00・・・起床、全員で食事作り、食事/8:00・・・清掃/9:00・・・お好み焼店組は店に出発。残っている子は犬の散歩をしたりしてゆっくりすごす/11:30・・・昼食作り[午後]12:00・・・昼食。その後は、イベントに参加・アルバイト・夜間高校など。/3:00・・・お好み焼店組帰宅(夜までの子もいる)。/5:00・・・時間の時間(学習の時間)/6:00・・・夕食作り/7:00・・・夕食。
週末・休日●休日は食事を作ること以外は基本的に自由となる。土曜日はみんなで協力者からいただいた物をフリーマーケットで売ったり、山歩きをしたり、通所生とここで合宿(お泊り会)をやったりしている。
食事●アトピーの子がいるのでいろいろ気を配った食事メニューにしている。その子のおかげで内容が豊かになった食事作りにはボランティアの方にも手伝っていただき子供たちと一緒に作っている。
清掃●個人の部屋は個人で掃除し、共同の場所はみんなで手分けをして毎日掃除している。
年間スケジュール●1月・・・新年会/3月・・・NPO総会・交流会/4月・・・お花見・春の旅行/7月・・・キャンプ・夏休み体験合宿・NPO総会・交流会/8月・・・三浦海岸の三崎でクルージング/11月・・・NPO総会・交流会/12月・・・クリスマスパーティー。







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