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全国ひきこもり・不登校援助団体レポート
[宿泊型施設編]
 
編集●プラットフォームプロジェクト
 
はじめに
●はじめに
困っている人々ヘ、できるだけ客観的な援助施設の情報を届けたい・・・
 きっかけはNPO法人青少年自立援助センター(以下YSC)が直面していたある問題からでした。
 YSCへは連日、不登校やひきこもりの子どもを持っている多くのご家族から、本人から、切実な悩みを訴える相談が舞い込んできます。すべてに誠実に対処していきたいと思いつつも、あまりに件数が多いため、こまやかな対処が困難になりつつありました。その上、収容能力には限界もあり(YSCの入寮定員は、男50人・女10人の合計60人)、すべての人を受け入れるということもできません。
 すべての人に手を差し伸べたいのに、それが叶わない・・・。こんな状況の中で、YSCがいつも考えていたのは「どこか他の施設を紹介できないか」ということです。もちろん受け入れてくれる施設であればどこでもという訳ではなく、「その“子”に合う施設」ということも重要です。
 しかし、紹介するにも施設どうしの横のつながりはあまりありません。また援助施設の「ガイドブック」も多く出版されているのですが、それらのほとんどは、所在地や概略などの基礎情報だけだったり、援助団体による自己申告の形を取っているだけだったりするため、これらを元に紹介するのはためらいがありました。
 そこでYSCは考えました。「ならば私たちで調べてしまおう」。そうすればYSCに相談に来る人々に、少しでも役に立つ情報を提供できるのではないか・・・。
 
 YSCのこんな想いからプラットフォームはスタートしました。全国にあるさまざまな援助施設を、第三者が調査し、公開するプロジェクトです。(2001〜03年日本財団助成事業「不登校・ひきこもり関係の諸施設の実態調査事業」)
 YSCは、ひきこもり・不登校の問題に15年以上関わってきた3つの団体、NPO法人子どもと生活文化協会・NPO法人北陸青少年自立援助センター・蔵王いこいの里に協力を要請し、この4団体で事業の大まかな枠組みを作ることになりました。
 ひきこもり・不登校を対象とした援助施設は、フリースクール、フリースペース、自助グループ、親の会など、さまざまな形態があり、それらすべてを対象とするととてつもなく大がかりな調査になってしまうため、今回は調査対象を「宿泊型施設」に絞り込み、調査を行う運びとなりました。
 
 把握できるすべての団体に調査員受け入れの要請をすること。各援助団体に対しての調査は、ひきこもり・不登校の子どもたちと接した経験のある調査員が行うこと。調査員は実際にそれぞれの施設に出向き、1泊2日の期間をかけ、その施設の状況を見学し、代表者やスタッフ、在籍生に対して、他施設と同じ質問を投げかけること・・・。
 詳細が決まり、調査をスタートさせたのは2002年になってからのこと。1年間の調査期間を経て、今、ここに調査報告を公開する運びとなりました。
 
 援助を必要とする人が最も知りたい情報・・・自立支援や社会参加プログラム、さまざまなサービス、家族へのケア、各援助施設の個性的な特徴や代表者の考え方・・・が、第三者の目を通してよりリアルに捉えられたのではないか、と私たちは考えています。
 この情報が一人でも多くの人に届き、ひきこもり・不登校の青少年がそれぞれに最も適した援助施設を選択することができるように、そしてそこが彼らの新しい人生のスタートラインになるよう、私たちは願ってやみません。
 最後になりましたが、お忙しい中にも関わらず、調査を受け入れてくださった各施設のみなさまにお礼を申し上げます。
 
プラットフォームプロジェクト・スタッフ一同







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