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【雲巻文】
 
 雲巻文は幾何文の基本形式の一つ。雲巻文の形式はおそらく植物の形態から取材したのであろう。またおそらくは鹿角文の変形幾何文でもある。オロチョン族は多くは点を刺す方法で装飾文様を描くので、繊細で変化の多い具象的な装飾文様を描くのはむずかしく、荒々しく奔放な幾何形文様しか描けない。雲巻文のようなのがその一例である。
雲巻文の樺樹皮のバッグ
 
十字文と雲巻文
 この二件の器物にある装飾文様は、十字文を中心とし、雲巻文を縁飾りとする。十字文はおそらく「南綽羅花」の基本型に源を発する。雲巻文もまたおそらく鹿角文に由来する。簡単な装飾文様は、かえって豊かな変化と連想を秘めており、大興安嶺の狩猟民族独特の芸術的風格を表わす。
 
十字文と雲巻文の樺樹皮のバッグ
 
十字文と雲巻文の樺樹皮の器蓋







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