◎エベンキ族の動物文◎
動物も樺樹皮器物の基本的装飾文様の一つで、トナカイ文をもっとも典型とし、狩猟民族のエベンキ族がもっとも愛用する装飾文様である。トナカイ文の鹿は比較的写実的である。鹿角文の運用もかなり広く、変化は複雑で趣きがある。エベンキ族は、鹿角の生長と脱落は自然の四季とかかわり、さらに鹿角の枝は鹿の霊魂があるところと考える。
【トナカイ文】
トナカイはエベンキ族のもっとも重要かつ親しい動物である。エベンキ族は狩猟しながら移動する生活のなかで、トナカイに乗り、荷物を載せて運ぶ。ふだんはトナカイの乳を飲み、肉を食べ、また鹿茸を切り取って売り、銭稼ぎもする。
簡単なトナカイ文[上]
動物文のうちもっとも重要なものはトナカイ文である。基本的な造形は、完壁で具体的な一頭のトナカイである。線で描くほかに、エベンキ族は装飾文様と器体に、紅や藍などの異なる色を施す。
トナカイ文の棒樹皮の盒
トナカイ文の変化[下]
この樺樹皮の盒には三種類のトナカイ文がある。一頭の鹿頭から二頭の鹿頭が一つに合わさったものへと、エベンキ族のトナカイ文は次第に変化し、線は写実から簡単な三角の造形へと移行する。
【鹿角文】
美しい度角文の出現
エベンキ族はトナカイの角を単独に取り出して、かつ横方向に延べ連ねて、美しい鹿角文をつくった。エベンキ族は中国国内で唯一のトナカイを飼育する民族であり、トナカイと鹿角には特殊な感情と理解をもっているので、トナカイ文と鹿角文がもっとも豊富である。
鹿角文の樺樹皮の盒
花弁を加上した鹿角文
エベンキ族の鹿角文は数筆の簡単な花弁の線を加えたりもする。円のなかの連続する鹿角文や、上下に二列の花弁の装飾文様を加えるなど、装飾文様は変化と趣味に富んでいる。
鹿角文の樺樹皮の盒
端正な鹿角文
鹿角文は左図のように発展し、非常に端正かつ完壁なものになった。装飾性が濃厚で、連続と延べ広がりを使用して、風格は強烈である。
鹿角文の樺樹皮の盒
対称の鹿角文
エベンキ族のトナカイ文は対称にもなる。単純な形式は樺樹皮の盒に描かれる。
鹿角文の樺樹皮の盒
骨彫のトナカイの鞍橋(くらぼね)文
図の樺樹皮の盒にあるのは、トナカイの鞍橋の文様である。トナカイに乗るには鹿鞍が必要であり、鞍の先端の橋形の部分である鞍橋は、多くは獣の骨でつくる。
トナカイの鞍橋文の樺樹皮の盒
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