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配布資料−2
 
中部ブロック
トラック運送事業におけるグリーン経営普及講習会
環境問題へのトラック協会の対応
平成15年2月14日
(社)全日本トラック協会
専務理事 豊田 榮次
全ト協発第318号
平成14年10月1日
東京都知事
 石原 慎太郎殿
 
拝啓
 時下、益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
 平素は、当協会に対しまして格別のご配慮を賜りまして厚く御礼申し上げます。
 さて、国では、自動車NOx法を改正した自動車NOx・PM法を公布し、平成15年10月から施行することとしておりますが、実質的には、メーカーの供給体制及び事業者の経営実態等に配慮した「激変緩和措置」が講じられています。
 東京都は、同法に加えて、自動車とりわけディーゼル車に対する規制を強化した条例を制定されておられます。その内容は、私どもトラック運送事業者にとって、極めて厳しいものとなっております。
 (社)全日本トラック協会といたしましては、環境を良くすることに異論はないものの、対策を進める上で課題が多く、(社)東京都トラック協会とともに、機会あるごとに、国との整合を図っていただくとともに、実態を踏まえた慎重な配慮をお願いしてまいりました。
 条例は都内のみならず、全国から都内へ乗り入れてくる車両も規制の対象となっていることから、(社)全日本トラック協会といたしまして、下記の状況を踏まえて、改めて、条例による規制開始については、対策を進める上で十分な環境が整うまで実質的な緩和措置を講じていただくなど慎重な配慮を賜りますようお願い申し上げます。
敬具
1 他道府県から物資を運んでくる車への支援策について
 環境条例では、他道府県から乗り入れてくる車も規制対象となっています。現在、貴職が講じられている支援策は、あくまで都内に使用の本拠を置く車のみが対象となっています。支援策のないまま規制を加えることは、都民の生活や企業活動にとって不可欠な物資を輸送している他道府県の車輌を排除することとなります。
 
2 排ガス減少装置の生産体制について
 地方のトラックには今だ元年規制の車が多く使用されていますが、これらに適合する適切な排ガス減少装置はありません。
 後付けDPFメーカーの供給・装着・メンテナンス体制は未だ確立されておらず、その生産能力も需要に応えられません。また、自動車メーカーが提案している比較的安価な酸化触媒については、メーカー各社は「対応する」としているものの、触媒の担体となるセラミックの供給には限界があり、すべてのユーザーの短期間に集中する需要に応じられるか疑問があります。また、実使用段階における耐久性のチェックも不十分です。
 
3 低硫黄軽油と現行軽油の混在及び価格について
 低硫黄軽油については、予定以上に早いペースで全国的な供給体制が整えられるようですが、ブランド、地域、系列などにより、低硫黄への切り替え時期に差違が生じ、現行軽油と混在する期間が続く心配があります。
 また、低硫黄の軽油は、最終的にリッターあたり1〜2円程度高くなると言われています。差額に助成の無い地方ではユーザーの負担となります。軽油の年間消費量から推定すると、1円アップはユーザー全体で年間約400億円の負担増となります。
 
4 その他
 私どもトラック運送業界が所有する事業用の車については、機会あるごとに広報に努めていますが、自家用トラックのユーザーには必ずしも十分とは言えません。事業用トラックに比べて相当な保有台数である自家用トラックの存在は、規制の公平性の確保と、計画的な代替に大きな支障となる恐れがあります。
 
排出ガスに係る規制の状況(兵庫県、東京都、国)
平成15年1月現在
正式名称
東京都:都民の健康と安全を確保する環境に関する条例
兵庫県:環境の保全と創造に関する条例(一部改正)
改正NOx・PM法:自動車から排出される窒素酸化物の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法
 
項目 兵庫県条例案
※条例の改正骨子案より
東京都条例 改正NOx・PM法
ディーゼル車の排出ガス規制
施行期日 平成15年10月1日 平成15年10月1目 平成15年10月1日 (新車については平成14年10月1日)
規制 窒素酸化物(NOx)・粒子状物質(PM) 粒子状物質(PM) 窒素酸化物(NOx)・粒子状物質(PM)
排出基準 ・長期規制
平成10年規制(KK)(GVW12t以下)
平成11年規制(KL)(GVW12t超)
(自動車NOx・PM法と同じ排出基準値とする。)
・長期規制
平成10年規制(KK)(GVW12t以下)
平成11年規制(KL)(GVW12t超)
(平成15年10月1日から平成17年4月1日以降の知事が別に定める日の前日までの間に適用するもの)
・新短期規制
平成15年規制(KR・HY)(GVW12t以下)
平成16年規制(KS・HZ)(GVW12t超)
(平成17年4月1日以降の知事が別に定める日から適用するもの)
※ 国の排出基準(新車の排出基準)強化すれば「一段階前の基準値」を使用過程車に適用
・長期規制
平成10年規制(KK)(GVW12t以下)
平成11年規制(KL)(GVW12t超)
規制車両 自動車NOx・PM法の対象車両と同じ 以下のディーゼル自動車
1 貨物の運送の用に供する普通貨物自動車及び小型貨物自動車(トラック等)
2 人の運送の用に供する乗用定員11人以上の自動車(バス)
3 特種用途自動車
※ 乗用車及び乗用車をベースに特種用途自動車に改造したものは対象外
1 普通貨物車
2 小型貨物車
3 大型バス(定員30人以上)
4 マイクロバス(定員11人以上30人未満)
5 特種用途自動車 (トラック・バス・ディーゼル乗用車をベースとしたもの)
6 ディーゼル乗用車
対象地域 11市2町の区域
(自動車NOx・PM法対策地域と同地域)
神戸市、尼崎市、西宮市、芦屋市、宝塚市、伊丹市、川西市、姫路市、明石市、加古川市、高砂市、播磨町、太子町
※ただし、特に知事が指定する道路を規制の対象から外すことがある。
(現在のところ、中国縦貫自動車道、山陽自動車道、阪神高速5号湾岸線、神戸淡路鳴門自動車道、播但自動車道(山陽道以北)等を考えている。)
都内全域(島しょ地域を除く) 首都圏、愛知三重圏、大阪兵庫圏の276市町村
猶予期聞 自動車NOx・PM法の猶予期間と同じ期間とする 初度登録から7年間 初度登録から
小型貨物自動車 8年 普通貨物自動車 9年 特種車 原則10年
※ 車齢に応じて1〜2年の激変緩和措置
適用除外   知事が指定するPM減少装置を装着した場合  
基準非適合車の通行禁止 措置対象 ・事業者
・運送を依頼した荷主等の事業者にも、条例の規制が遵守されるよう適切な措置を求めることとする。
(問題がある場合は、勧告、勧告に従わない者の氏名公表ができるようにする。)
・事業者(運送事業者を含む)
・継続反復して運送依頼をする荷主
 
違反車両に対する運行禁止命令 運行の禁止命令、運行禁止命令違反者への罰則適用及び氏名公表
(使用者、運転者)
荷主に対しては適切な措置を求める。
使用者に対し運行禁止命令
荷主に対し是正措置を勧告

公表 勧告に従わなかったときは公表
罰則 罰金50万円以下
車検証の不交付
6月以下の懲役または20万円以下の罰金
規制を担保する手段 事業者への立入検査や路上検査を実施
罰則
運行禁止命令
自動車Gメンにより事業所への立入検査や路上検査により、違反車両や重油混和燃料の取締りを実施 車検により担保
その他 車検のための流入や神姫バスのような特定地域外からの乗り入れについては、今後検討していく。    







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