(3)車両内における情報提供
車両内については、車内放送や可変式情報表示装置における運行情報、緊急時情報の内容や情報量などが問題となっており、車内放送や可変式情報表示装置による情報提供の充実などについて留意する必要がある。
<情報提供の現状と問題点>
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<車両内における情報提供にあたっての留意点>
■案内放送による情報提供の充実
車両内では、列車の運行情報や緊急時の情報などについて車内放送による情報提供が行われているが、車掌の肉声による放送が聞き取りにくい場合や、車両や冷房の音がうるさくて車内放送の内容が聞こえない場合、次駅名や乗り換え案内等必要な情報が不足している場合などがある。
しかしながら、視覚障害者にとって、車内放送は、列車の運行情報等を入手するうえで非常に重要なものであり、できるだけ車内放送で必要な情報を明瞭かつ的確に提供することが求められている。
そのため、車内放送の明瞭化(自動放送化)や、放送内容の充実・定型化について検討することが望まれる。
■可変式情報表示装置による情報提供の充実
車両内では、列車の運行情報や緊急時の情報などについて、車内放送による情報提供が中心であり、可変式情報表示装置が設置されている車両は現時点ではそれほど多くはない。
しかしながら、聴覚障害者にとって、可変式情報表示装置は、列車の運行情報等を入手するうえで非常に重要なものであり、できるだけ車内放送と同じ内容の情報を、視覚情報(文字情報)として提供することが求められている。
そのため、車両における可変式情報表示装置の設置の促進を図るとともに、平常時・緊急時の表示内容の充実・統一(できるだけ放送と同じ内容)、簡易式装置の採用等による設置数の増加などについて検討することが望まれる。
■車掌等による接遇(障害者対応)の向上
長距離系の列車などでは、切符の確認や車内販売など、障害者と車掌や車内販売員とが直接接する機会があるが、その際、特に聴覚障害者への対応としてきちんと筆談に応じてもらえない場合がみられる。
そのため、社員教育の徹底を図るとともに、どこでも筆談に対応できるよう筆記用具の携帯などにより、車掌等による接遇の向上を図ることが望まれる。
■ドア開閉の案内の設置
車両内では、ドアの開閉位置についての案内は、車内放送及びドア付近の可変式情報表示装置によって行われている場合が多いが、ドアの開閉位置は、駅によって左右に分かれるため、次駅でどちらのドアが開くかという情報は重要なものである。
しかしながら、視覚障害者にとっては、案内放送の内容を聞き逃した場合などにドアの開閉位置を確認することが困難となり、また、聴覚障害者にとっては、ドアの開閉のタイミングを把握することが困難となっている。
そのため、ドアの開閉位置や開閉のタイミングについて、音響や点滅ランプ、文字表示等により案内する装置の設置について検討することが望まれる。
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