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(4)通路・階段・エスカレーター・トイレ等
 通路・階段・エスカレーター・トイレ等については、各施設への誘導方法や駅員の対応などが問題となっており、音声による案内誘導、駅員による接遇の向上、視覚障害者誘導用ブロックやサインの適切な設置などについて留意する必要がある。
 
<情報提供の現状と問題点>
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<通路・階段・エスカレーター・トイレ等における情報提供にあたっての留意点>
■音声による案内誘導の充実
 視覚障害者にとって、視覚障害者誘導用ブロックは重要な情報入手手段の一つであるが、視覚障害者誘導用ブロックだけでは具体的にどの施設がどこにあるのか正確に把握することはできない。そのため、「公共交通機関旅客施設の移動円滑化ガイドライン」においても、視覚障害者の誘導として、視覚障害者誘導用ブロックとともに音声・音響による案内が有効であるとしており、「同追補版」において、階段、エスカレーター、トイレ等に対する音による案内についてガイドラインが示されている。
 したがって、上記の音案内のガイドラインに基づいた音響・音声システムの設置を進めるとともに、端末を用いた音響・音声による誘導システムの導入等について検討することが望まれる。
■駅員による接遇(障害者対応)の向上
 障害者に対する情報提供にあたっては、各種情報提供装置による情報提供だけでは限界があり、最終的には駅員等による人的な対応が重要となる。しかしながら、実際は駅員が忙しくてきちんと対応してもらえない場合もみられ、特に聴覚障害者への対応としてきちんと筆談に応じてもらえない場合がみられる。
 そのため、社員教育の徹底を図るとともに、どこでも筆談に対応できるよう筆記用具の携帯、手話をできる駅員の配置などにより、駅員による接遇の向上を図ることが望まれる。
■視覚障害者誘導用ブロックの適切な設置
 視覚障害者にとって、触覚情報である視覚障害者誘導用ブロックは、方向や位置を確認するうえで重要な手段の一つである。しかしながら、実際は、視覚障害者誘導用ブロックが途中で途切れて連続していないなど適切に設置されていない場合もみられる。
 そのため、「公共交通機関旅客施設の移動円滑化ガイドライン」等の考え方に基づいた視覚障害者誘導用ブロックの適切な設置が望まれる。
■案内板・誘導サイン等の適切な配置
 聴覚障害者にとって、視覚情報である案内板・サイン等は、必要な情報を入手するうえで重要な手段の一つである。しかしながら、実際は、サインがわかりにくい位置に設置されている、内容が不適切・不十分であるなど、サインが適切に設置されていない場合もみられる。
 そのため、「公共交通機関旅客施設の移動円滑化ガイドライン」や「公共交通機関旅客施設のサインシステムガイドブック」等の考え方に基づいたサインの適切な設置が望まれる。
 
(5)ホーム
 ホームについては、案内放送や可変式情報表示装置における運行情報、緊急時情報の内容や情報量、駅員による対応などが問題となっており、案内放送、可変式情報表示装置による情報提供の充実や駅員による接遇の向上などについて留意する必要がある。
 
<情報提供の現状と問題点>
(拡大画面:143KB)
 
<ホームにおける情報提供にあたっての留意点>
■案内放送による情報提供の充実
 ホーム上では、列車の運行情報や緊急時の情報などについて案内放送による情報提供が行われているが、駅や時間帯、列車種別等によって放送内容にレベル差があり必要な情報が得られない場合や、ホームや列車の音がうるさくて案内放送の内容が聞こえない場合、駅員の肉声による放送が聞き取りにくい場合などがある。
 しかしながら、視覚障害者にとって、案内放送は、列車の運行情報等を入手するうえで非常に重要なものであり、できるだけ案内放送で必要な情報を明瞭かつ的確に提供することが求められている。
 そのため、案内放送の内容の充実や定型化について検討するとともに、その音量・音質等についても検討することが望まれる。
■駅員による接遇(障害者対応)の向上
 障害者に対する情報提供にあたっては、各種情報提供装置による情報提供だけでは限界があり、最終的には駅員等による人的な対応が重要となる。しかしながら、実際は駅員が忙しくてきちんと対応してもらえない場合もみられ、特に聴覚障害者への対応としてきちんと筆談に応じてもらえない場合がみられる。
 そのため、社員教育の徹底を図るとともに、どこでも筆談に対応できるよう筆記用具の携帯手話をできる駅員の配置接客担当員の配置などにより、駅員による接遇の向上を図ることが望まれる。
■可変式情報表示装置による情報提供の充実
 ホーム上では、列車の運行情報や緊急時の情報などについて、案内放送による情報提供のほか、可変式情報表示装置で行われているところも多いが、駅によっては、可変式情報表示装置が設置されていない場合や、情報の内容にレベル差があり必要な情報が得られない場合、平常時の情報のみで緊急時の情報は表示しない場合などもある
 しかしながら、聴覚障害者にとって、可変式情報表示装置は、列車の運行情報等を入手するうえで非常に重要なものであり、できるだけ視覚情報(文字情報)として必要な情報を的確に提供することが求められている。
 そのため、可変式情報表示装置の設置の促進を図るとともに、平常時・緊急時の表示内容の充実・統一(できるだけ放送と同じ内容)、簡易式装置の採用等による設置数の増加などについて検討することが望まれる。
■視覚障害者誘導用ブロックの適切な設置
 視覚障害者にとって、触覚情報である視覚障害者誘導用ブロックは、方向や位置を確認するうえで重要な手段の一つである。特に、ホーム上は転落の危険性もあるため、転落防止のための注意喚起など視覚障害者誘導用ブロックを適切に設置する必要がある。
 そのため、「公共交通機関旅客施設の移動円滑化ガイドライン」、「同追補版」等の考え方に基づいた視覚障害者誘導用ブロックの適切な設置が望まれる。
■ドア開閉の案内の設置
 ホームから列車に乗車する場合、視覚障害者にとってはドアの位置や高さ等を確認することが困難であり、また、聴覚障害者にとっては、発車のベル等が聞こえないため、ドアの開閉のタイミングを把握することが困難となっている。
 そのため、ドアの開閉位置や開閉のタイミングについて、音響や点滅ランプ等により案内する装置の設置について検討することが望まれる。
■列車接近の案内・警戒案内の設置
 ホーム上では、列車接近時の安全性の確保が重要であるが、視覚障害者や聴覚障害者は、それぞれ目や音で列車の接近を確認することができないため、場合によっては列車の接近に気づかない恐れもある。
 そのため、列車接近時の注意喚起のため、音響や点滅ランプ等により列車の接近を知らせる装置の設置について検討することが望まれる。







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