第6回海洋文学対象受賞作品集
−海洋文学賞部門、海の子ども文学賞部門−
海の日
第六回海洋文学大賞は、平成十三年九月十九日から平成十四年二月二十八日までの間、公募を行った。作品募集の周知は、関係記者クラブなど報道関係向け発表を行ったほか、マスコミ各社の媒体、海事関係団体の会報などにより応募要領を周知するとともに、主な図書館や博物館などの文化施設及び運輸関係施設で募集ポスターの掲示を行ったり、各種のイベント会場でチラシの配布などを行う一方、インターネットを利用して広く応募を呼びかけた。
応募作品は、総数四百四十九点で、その内訳は、海洋文学賞部門二百十七点、海の子ども文学賞部門二百三十二点であった。
応募者は、日本全国はもとより、アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、オーストラリアなどの在住日本人からの応募もあった。また、応募者の年齢の幅も広く、海の子ども文学賞部門の十四歳から、最高齢は海洋文学賞部門の八十三歳の方だった。
締め切り後、両部門の応募作品について、ただちに粗読み選考をすすめ、引き続いて予備選考委員会において、海洋文学賞部門は四月二十四日、海の子ども文学賞部門は四月二十二日にそれぞれ候補作品を決定、本選考委員会に送付し、選考をお願いした。
本選考委員会は、海洋文学賞部門は五月二十四日に、曽野綾子、十川信介、北方謙三、谷恒生、半藤一利の各選考委員により、また、海の子ども文学賞部門は五月十七日に、十川信介、木暮正夫、上笙一郎、木村龍治の各選考委員によりそれぞれ開催し、海洋文学賞部門は大賞は該当作品無しとして佳作三点を、そして海の子ども文学賞部門は大賞及び佳作二点を決定した。
また、海洋文学のジャンル(小説・ノンフィクションの分野)における著作活動において顕著な活躍をされている作家を顕彰することにより、一般国民に対して海や船への興味を喚起することを目的とする海洋文学大賞特別賞については、三月下旬から四月中旬にかけて出版社、新聞社等で文芸関係に携わる方がたを中心に候補作家の推薦をお願いし、その結果をもとに、五月二十四日に曽野綾子、十川信介、北方謙三、谷恒生、半藤一利の各選考委員により選考委員会を開催し、受賞者を決定した。
報道機関等への発表は、六月四日に行った。
なお、大賞及び特別賞の贈賞式は、七月二十六日に船の科学館(東京都品川区)において受賞者ならびに関係各位を招いて開催。
第六回海洋文学大賞の入賞作品
【海洋文学賞部門】 |
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大賞 |
該当作品なし |
佳作 |
『トレード・ウインド』(小説)仲馬達司(神奈川県) |
佳作 |
『約束の海』(小説)中条佑弥(東京都) |
佳作 |
『やしの実漂着』(小説)清原つる代(沖縄県) |
【海の子ども文学賞部門】 |
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大賞 |
『猫なで風がふくから』可瑚真弓(東京都) |
佳作 |
『三色パレットの海』片山ひとみ(岡山県) |
佳作 |
『こんにちは、ぼくはウミヒコ』高見ゆかり(東京都) |
第六回海洋文学大賞特別賞 |
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作家 |
石原慎太郎 |
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曽野綾子選考委員長(海洋文学賞部門)
今年は入選作なしとするのは妥当のように思う。年々感じるのは、応募者がいい文学作品をたくさん読んでいないのではないか、と思うことである。
仲馬達司さんの「トレード・ウインド」は部外者としてしかこのレースを描けていないのが、作品の力を削いでいる。
中条佑弥さんの「約束の海」を私は一番いいと思っていたのだが、これも奇妙な舟に住む一家の姿は、海ではなくて陸の話ではないか、という評が出たのも当然であった。
清原つる代さんの「やしの実漂着」には、海の生活はもっと激しく厳しいのに、やしの実がどこに漂着するかで感激する日本人は平和だなあ、と感じて、私には評価できなかったというのが本当のところである。
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