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君たちの体は水に浮きやすい
 肺にいっぱい空気を吸いこみ、手足をはじめ全身の力をぬいて静かに水面に浮かぶことは誰にでもできることなのだ。真水の場合でも女子や子供は、体の比重が水より小さいので浮きやすい。海水の場合は、人間の体の比重がもっと小さくなるのでかんたんに浮くはずなのだ。水面で横になって浮いている人間の体の比重を部分的にみてみると、空気を吸いこんだ胸の部分が、浮きぶくろのようになっていちばん軽く、足とおしりの方が一番重くなっている。力を入れるとおしりと足の方から沈んでしまう。沈まないためには、大きく胸いっぱいに息を吸いこんで、全身の力をぬき胸を中心に、手足を開き小さく動かしてつり合いをとると水面で浮いていられるが、最初はあおむけよりも、うつぶせの方が楽にできる。これを浮身とよんでおり浮身が自由にできるようになったら、あとは手足を動かせば泳ぐことができるようになるのだ。
 
プールと海とはここがちがう
 海の水が塩からいことは誰でも知っていると思うが、これは海水にふくまれている塩分のせいで、この塩分は、体にいろいろ影響を与えるのだ。また、海はたえず変化していることを覚えておこう。
1. 体がよく浮いて泳ぎやすい。
2. 塩分のためひやけしやすい。
3. 塩からく目やノドにしみる。
4. いつも波があって呼吸しにくい。
5. 潮の流れがあって水温も一定していない。
6. 風の影響や潮の満ち引きなどによって海のようすは変わりやすい。
7. 海底のようすが場所によってちがう。
8. 毒をもったクラゲやオコゼなど、危険な生物もいるので注意が必
要だ。
 海でははやく泳ぐことよりも、ゆっくりでいいから、よりながく、より遠くへ泳ぐことを心がけよう。
 
準備体操が大事なのは海もプールも同じだ
1. 海に入る前には、
(イ)十分に準備体操をする。
(ロ)グループの場合は、整列して人数を数える。
(ハ)いきなり飛び込まないで、足もとから静かに海へ入って胸までつかる。
2. 水泳中には、
(イ)決められた場所をこえて遠くへ行かない。
(ロ)引率者から見えるはんいの中で泳ぐ。
(ハ)足がつったり危険を感じたら、すぐ大声をあげて助けを呼ぶ。
3. 海からあがったら、
(イ)グループの場合は、整列して人数を数える。
(ロ)海水をふきとって体をあたためる。
(ハ)水泳を終えたら必ず整理運動をする。
(ニ)目をきれいな水で洗い、うがいをする。
 
海では、はやく泳ぐよりながく泳ごう
 海水は人間の体を軽くするので、それだけながく遠くへ泳ぐことができるのだ。ながく泳ごうとする場合、呼吸のしかたが大切なポイントになる。人間は小さな呼吸をこきざみにすると、肺の中に少しずつ炭酸ガスが残ってすぐつかれてしまい、運動にはふさわしくない。運動をすると多くの酸素が必要になるのは、水泳の場合も同じなのだ。ながく、遠くへ泳げるようになるためには、クロールでも平泳ぎでも、肺に空気を十分送りこむために、ゆっくりと、大きな呼吸をくりかえしながら、泳ぐスピードをおとして、力を節約してつかれないよう練習すれば、プールよりずっとながく泳げるようになる。
 海ではプールとちがって距離がはかりづらいので、はじめに岸と平行に泳ぐか、深い方から浅い方へ向って泳ぐようにしよう。
 
海の底をのぞいてみよう
 マスク(水中メガネ)をつければ水の中もはっきり見えるし、フィン(足ひれ)をつければ速く、より遠くへ泳ぐことができるし、スノーケル(呼吸するためのチューブ)を使えば、水面でいちいち顔を上げることなく海の底をのぞいていられる。これで水中に潜れることができれば君はスキン・ダイバーだ。ただ、いろんな事を知っておく必要がある。スノーケルは水面で呼吸する道具であって、水の中では何の役にも立たない。スノーケルで水中に潜るときは、「スノーケル・クリアー」といって、スノーケルの中に入った水を、自分の強い息で飛ばせるだけの力を残しておかなければならない。また、水中には水圧があって耳に圧力をうけるし、水温も水面より低く、方向もわかりずらい。海でダイビングをはじめようとする人は、背の立つ深さのところで岸づたいか岸に向かう方向ではじめよう。そして、むりに呼吸をつめてがんばらないことだ。
 
 
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