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身体障害者の講習に従事した指導者と受講した身体障害者の手記
身体障害者の講習に従事した指導者1名と受講した身体障害者2名の手記は、次のとおりです。本マニュアルの本文及び指導者用講習実施チェックリストの作成にあたって、これら方々の手記を参考にさせていただきました。
(1)身体障害者の講習に従事した指導者T氏の手記
(1)講習で苦労したこと
もし講習中に体調不良を起こしてしまった場合には、どうしようか、自分で処理出来るのか、携帯電話の電池切れはないか、(救急車要請の為)近くに病院はあるか、などが一番心配の種でありました。
(2)特に注意したこと
学科、実技会場への移動の際の転倒、落水、熱寒への気遣い。
(3)安全備品で備え付けておきたいもの
もしもの場合の応急品は救急箱に入れて積んで置かなければならないと思います。特に、熱寒のための飲料水や懐炉等は必要なものと思います。
(4)健常者と異なる教習方法
指導者は、健常者と差別するような講習はしてはならないと思いますが、障害の違いによってどうしたら受講者に理解されるかを工夫する必要があります。
(5)言葉遣い
言葉遣いは、特に気遣う必要はないと思います。過保護な言葉遣いはかえって不自然ではないでしょうか。又、特別な甘えも許す必要はないと思います。
(6)講習前の話し合い
講習する前の話し合いは、一番必要だと思います。出来れば相談コーナー等で事前に会い、何処が不自由なのかを確認し、どのような事が出来ないか、出来るかの確認は最低限必要ではないでしょうか。
又、乗船前には絶対我慢をしないことと、何かあったら遠慮なく申し出ることの周知徹底は必要だと思います。
(7)学科講習時に気づいた事項
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身体障害者の中には、電車、車で会場においでになる方も予想されます。電車でおいでになる方がいれば、駅にバリアフリーが施されているか、駅よりのアクセスの良否はどうか。 |
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車の場合は、駐車場問題、駐車場より会場までの利便性の良否はどうか。 |
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会場が1階ではなく上階の場合のエレベーターの有無。無い場合は、会場変更も考える必要がある。 |
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会場出入り口付近の段差はどうか。 |
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車いすで出入できる高さの机、又はテーブルが有るか。 |
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同じ階もしくは、上下階にバリアフリートイレが有るか。 |
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実物で示すための器材(海図、ディバイダー、ハンドコンパス、クリート、国際信号旗等)の講習に必要で持ち運びに不自由でない最低限度の器材は健常者の場合も同じですが、用意したほうが良い。 |
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食堂の有無。無い場合は弁当等の手配が出来るか。 |
(8)実技講習時に気づいた事項
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駐車場が有るか。 |
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待合室の有無と場所の確認。 |
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バリアフリートイレが有るか。 |
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受講者が移動中のときは、後方に待機しておくほうが良い。 |
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桟橋での待機中の揺れに対する注意。(特に後方と側面からの支え) |
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乗船のため車いすから離れる時、車いすが横倒しの危険性があるので注意を要します。 |
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痙攣を起こしたときに気遣い、慌てずに本人に確認する必要があります。 |
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急激な緊張感を与えないようにします。 |
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乗船中は、しばしば受講者に「困ったことは有りませんか」、「何か不都合はありませんか」、「具合はどうですか」等々の確認をします。これは甘えさせでは無く、確認事項です。 |
(9)万が一、事故が発生したときに考えられる介助の方法
身体障害者との話し合いで解決出来るかどうかの判断と、先ず事故を発生させない為にはどうしたら良いかの工夫が必要ではないでしょうか。
それには、上下船の時の介助、船内移動時の細心の注意、落水防止の為のライフラインの設定等々、特に落水事故があった場合には、指導者が入水して腰ベルト等を装着し、ライフジャケットの袖口を掴んで引き上げるのが一番手軽な方法ではないでしょうか。他にもいくつかは考えられますが、船に艤装を施さなければならなくなるので大変だと思います。
では、先のライフラインはどうするかと言いますと、ビニール巻きワイヤーの片方を船尾のクリートにシャックルで取り付け、ワイヤーのもう片方を船体中央のキャノピー後部の立ち上がり部に取り付けたアイまたはハンドルにカラビナで引っかければ案外手軽に出来るのではないでしょうか。
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※文中に使用しているイラストについては、執筆者より提供していただきました。
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