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出艇式雑感
広島地区小型船安全協会
主任海上安全指導員
荒牧昭洋
 
 今年も4月27日に恒例の海上安全パトロール艇の出艇式が広島海上保安部部長を始め幹部の方のご列席をいただき、多数の報道関係者がカメラを向ける中、厳粛に執り行われました。
 
 
 09:10、海上安全指導員の最古参(指定番号6−1号)である宮本主任指導員から、参加指導員に労いの言葉と海上安全パトロールの意義とその必要性について挨拶、引き続き、海上保安部長から昨年の米国の同時多発テロ事件、我が国の主権を侵した不審船事件、相次いだ海難事故、中でもプレジャーボートが絡んだ事故の多発には海上保安部として多いに関心を持っており、海上安全指導員の一層の協力を期待しているとの訓示をいただき、09:45、巡視艇しまぎり、特殊警備救難艇じゅぴたあ、海上安全パトール艇10隻が2班編成として出港、1班はしまぎり、2班はじゅぴたあを先導艇として、各艇横30m、前後30m、速力12ノットで航行、10:15、大奈佐美島周辺海域において、不肖私が訪船指導の基本を皆様に見ていただいた後、各班とも大黒神島周辺海域において訪船指導を行っていただきました。
 私は、今回に限らず訪船指導に当たって、一つの大きな目的を持って行っています。その目的は安全意識の高揚であり、指導をライフジャケットの着用と走行中の見張りの慣行の2点に絞り、この夏起きるかも知れない、違反、事故を想定しての適切なアドバイスに心掛けています。訪船指導の手順としては、目的船に風下より接近して、マイクで「おはようございます/こちらは小型船安全協会の安全パトロール艇です/只今海難防止強化月間です/お楽しみのところ誠に申し訳ありませんが、パンフレットをお渡しするとともにお願いもあります/貴船に接近したいのでよろしくお願いいたします」と呼びかけ、先ずアンカーロープを巻き込む恐れは無いか、釣り竿を引っ掛ける事は無いか、潮流で相手船に激突する可能性は0か、その他諸々を注意しながら接近し、優しく話しかけ、友達になって下さいと指導を行います。
 当日は、天気晴朗なれど波が高く、訪船指導には些か難しい条件であり、指導員の皆様もご苦労であったと思いますが、11:30、すべての行事を無事完了しました。(表紙写真)
 広島地区小型船安全協会の行事は1年を通じて色々ありますが、例年この時期に行っている出艇式+訪船指導は、年1回で安全指導員の活動を正面から支えて頂く数少ない機会であり、今年1年海難事故防止を心に誓い、自分はもとより海を愛する多くの仲間が事故に遭わぬため、誠心誠意をモットーとして指導するとともに、一人でも多くの仲間に入会して頂くことを願いながら実施しています。
 (社)瀬戸内海小型船安全協会は広範囲にわたり多数の地区小型船安全協会があり、各地区で色々な取り組みをされ活発な活動を繰り広げ、海上交通安全に大きな役割を果しておられます。私たちの所属する広島地区は規模も大きく、プレジャーボートの数も群を抜いている上、多くの旅客船、貨物船、漁船が航行し、牡蠣筏も数多く設置され、海水浴シーズンにはジェットスクーターに水上スキー、ヨット、ウインドサーフィンがひしめき、昔のようにのんびり走っては居られません。各地区の安全指導員の皆様は基より、会員の皆様共々会員であることの誇りで安全を手にしていただくと共に、プレジャーボートユーザーに声を掛けていただき、安全の輪を拡げて頂きたいと願っております。
 出艇式に関し、大変嬉しく感じた事と少し淋しく感じたことを申し添えます。
 まずは、海上保安部のご協力を大変嬉しく心強く感じています。海上保安部のご協力があれば、指導員の士気も高揚し、また、相手方も心許した対応をしてくれることから、できるだけ合同パトロールの機会を設けて下さるよう希望しています。この事を踏まえた上で指導員は常に対応技術の向上に努め、海上保安部との連絡を密にして、指導員側から合同パトロールをお願いする位の気概を持ちたいと思っています。
 また、昨年に引き続き岩国、大竹、玖波と大変遠方から参加して頂いた事は感激の一言です。その反面、行事に参加したことの無い指導員の方々に一抹の淋しさを感じます。それぞれご事情のあることを十分承知していますので、次の行事には一人でも多くの指導員の方とお会いできることを楽しみにしています。
 最後に今回の出艇式、パレード、訪船指導に参加頂いた指導員の皆様、又お忙しい勤務の中でご協力頂いた海上保安部長をはじめ海上保安官諸氏に心より敬意と感謝を申しあげます。
 
事務局からのお知らせ
理事会・総会の開催
 平成14年6月11日、広島市において平成14年度第1回理事会・総会が開催され、平成13年度事業報告・収支決算報告及び平成13年度とほぼ同規模の平成14年度事業計画・収支予算案並びにホームページ開設のための調査研究が承認されました。
 
地区小型船安全協会会長の交代
 岡山県東部地区小型船安全協会理事会・総会(6月20日)において、永山久也(ながやまひさなり)(下津井電鉄株式会社代表取締役会長)氏が新会長に選任されました。
 長年、同地区及び当協会の発展に尽力された片山嘉雄前会長は、来年度の当協会総会まで引き続き当協会の役員(副会長)として留任されます。
 
−新会長のあいさつ−
 岡山県東部地区小型船安全協会の会長就任にあたり一言ご挨拶申し上げます。
 岡山市内で小規模なマリーナを経営しておりますが、日頃より安全問題につきましては関心を持ちながら今日に至っております。
 今後は私的な立場だけではなく公的な責任をも自覚しながら、関係者各位とともに安全運動に取り組んで参りたいと決意を致しております。
 何卒よろしくお願い申し上げます。
永山 久也
 
永山新会長
 
編集後記
 本号から左開き16頁折としました。今後は内容についても一層の充実を図りたいと思っています。
 本年度総会でホームページ開設準備作業の承認をえましたので、当協会の活動等の情報提供とともに、「携帯電話により海上からも参加できる会員相互扶助ページ」等、少しでも貴重な会費に見合うメリット感のあるリンクを検討しています。「海上でこんなサービスがあったらいいな〜」というアイデアがありましたら、事務局までお知らせください。
 
訂正とお詫び
 「せとかぜ」第46号に「思いつくまま」をご寄稿していただきました田坂茂氏は、平成13年度4月30日まで瀬戸内海汽船株式会社運航管理者として勤務しておられました。訂正してお詫びいたします。







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