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はじめに
 ヒミツはぜったい誰にももらさない。名前はいわなくたっていい。
 イヤだと思ったら切っていい。どんなことでもいっしょに考える。
 いつでもかけてきていい。安心してかけておいで。
と、子どもたちに呼びかけ、「チャイルドラインおかやま」は、今年度、2002年5月6日から毎週、月曜日・土曜日の午後3時から9時までの常設に踏み切りました。
 常設後、子どもたちのチャイルドラインへの関わり方が少し変わってきたことを感じます。下校途中でトラブルに巻き込まれ、悔し泣きをしながら「聴いてほしい」と、電話をかけてきた子どもがいました。今日あったこと、今あったことを「聴いてくれるところがある」と、かけてきている様子がうかがえます。開設していない曜日にも電話のベルは鳴っています。
 また、「息子がランドセルの小さなポケットを指して、『ここに僕の大切なものが入っとるんよ』と言いました。見るとそこには、チャイルドラインのカードが入っていました」と伝えてくださった方がありました。子どもたちがチャイルドラインを、自分たちの「心の居場所」と思い始めてくれていることを嬉しく思います。同時に、襟を正して電話に向かわなければと思いを新たにしています。
 常設後、「受け手」ボランティアの方々にも変化がありました。この間、専門家の援助をいただきながら、子どもが話す言葉から最もわかってほしい気持ちをつかみ、それに寄り添う研修を重ねてきました。皆さんが「研修の度に新しい気付きがあり、自分自身を振り返る機会になっている」と言われています。その中で、「電話を受けている時だけに限らず、日常生活の中でも子どもを見る目が変わってきた」と言われる方もありました。チャイルドラインには、直接子どもの声を聴くだけではなく、子どもへの暖かいまなざしを持った人を地域の中に増やしていく役割もあると思います。
 ここに常設後に受けた子どもたちの声をまとめました。彼らが切々と話してくれる内容は、この生きにくい社会を変えてほしいという痛切な叫び声だと思います。こうした子どもたちからのメッセージを真摯に受けとめ、私どもは子どもたちの目の輝く社会を築いていく努力を続けていきたいと思います。
 今年度も多くの方々からご支援をいただきました。
 岡山県、岡山県教育委員会を始め、県下の各教育委員会より後援をいただき、学校の教職員の皆様には子どもたちへカードを届ける労をとっていただきました。日本財団、赤い羽根共同募金会より助成金、「あかね色の空を見たよ」上映委員会からは寄付をいただきました。また、NTTドコモ中国よりノートパソコンを寄贈いただきました。心よりお礼を申し上げます。
 
2003年3月
チャイルドラインおかやま
代表 西崎宏美







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