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ウ 里親制度と養子縁組制度について
 「里親制度のあり方に関する研究」よると、養子縁組制度と里親制度との分離について(表9参照)、「「分離すべき」が41.2%、「その必要はない」35.0%であり、「わからない」も21.2%みられた。「分離すべき」の理由としては、「養育里親の位置づけの明瞭化と普及」「『自分の子が欲しい』との動機に対して委託費の形で公的保障するのはなじまない」「両者は目的、趣旨が異なる」「支援が行いやすい」「両者が混同されている」などが挙げられていた。「その必要はない」の理由としては、「相互に関係している」「必ずしも区別できない」「委託時点で明確に分離できない」「養育里親から養子縁組に移行する場合もある」「養育里親として学びながら養子縁組に備える」「養育里親は少ない」「現状で支障がない」などが挙げられていた。
 「分離すべき」とする意見には、養育里親振興を願う意向がみられ、「その必要はない」とする意見には、里親の意向の変化への対応など、両制度が重なり合っていることへのメリットを重視する意向が感じられる結果であった。」という報告がなされている。
 
表9 養子縁組制度と里親制度との分離
  件数
1. 分離すべきである 66 41.2
2. その必要はない 56 35
3. わからない 34 21.2
N.A. 4 2.5
合計 160 100
 
表10 分離の形態
  件数
1. 養子縁組里親と養育里親を制度上明確に分けた上で、里親として認定し、委託する 40 60.6
2. 養子縁組を希望する者と里親を希望する者とを制度上明確に分け、養子縁組の場合は里親として認定しない 18 27.3
3. その他 4 6.1
4. わからない 1 1.5
N.A. 3 4.5
合計 66 100
 
 続いて、里親制度運用の動向と評価について(表10参照)であるが、これに関しては、「養育里親と養子里親の制度上のあり方は、両者を制度上分けている児相が5割に対し、とくに分けていない・その他が44.2%と、おおむね二分され、その他の回答と関連させてみても、養育里親と養子里親の二分化については十分な論議が必要であることが示唆される結果であった。
 とくに里親の家庭への訪問、里親交流の奨励が主なものであり、児相での指導・支援や研修などの体制を強化することは、非常に重要であり、制度的にもその基盤を強化する必要性が認められる。」という指摘をしている。
 また、「里親の意識および養育の現状」によると、普通養子縁組・特別養子縁組については、表11をみるとわかるように、「普通養子縁組・特別養子縁組をするつもりはない(里親として養育したい)」が24.7%でもっとも多く、次いで「子どもや実親が希望すれば養子縁組を考えたい」が21.3%であった。「全体として約半数が養子縁組を必ずしも前提としない、里親(養育家庭)としての養育を希望しており、残り約半数が養子縁組を希望し、あるいはその手続を完了したものといえよう。」と論じている。
 
表11 普通養子縁組・特別養子縁組について
1. 普通養子縁組をしたい 15 0.063
2. 特別養子縁組をしたい 27 0.113
3. 子どもや実親が希望すれば養子縁組 51 0.213
4. 里親として養育したい 59 0.247
5. 普通養子縁組を申請中 7 0.029
6. 特別養子縁組を申請中 21 0.088
7. 普通養子縁組を完了 31 0.13
8. 特別養子縁組を完了 10 0.042
9. その他 18 0.075
合計 239 1
 
里親制度の拡充・整備に関する研究会実施要綱
(目的)
 里親制度に期待される役割を的確に果たすため、里親制度の機能の拡充等について、専門里親、短期里親及び親族里親等の積極的活用策や里親に対する研修、情報提供等の支援方策を検討し、関係機関に提言し、里親制度の普及、拡充及び整備を図ることを目的とする。そのための研究を行うため、里親制度の拡充・整備に関する研究会(以下、「研究会」とする。)を設置する。
 
(構成)
 研究会は、別紙に掲げる有識者11名をもって組織する。
 
(研究事項)
 研究会は、里親制度の普及、拡充及び整備を図るための有効な方法等にいて検討する。
 
(委員長)
 研究会には委員長を置く。
 委員長は、委員の互選とする。
 
(研究会の開催)
 研究会は平成14年度内に3回程度開催するものとし、委員長の指示により事務局がこれを招集する。
 
(研究期間)
 研究期間は14年度内とする。
 
(庶務)
 研究会の事務は、全国里親会において処理する。
 
(その他)
 この要綱に定めるもののほか、研究会の運営に関し必要な事項が生じたときは、委員の意見を聴取する。
 
附則 この要綱は、平成14年11月27日から施行する。







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