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里親だより第66号
里親関係「厚生労働省令」が発効
全国里親会会長 渥美節夫
 里親制度の根拠は、これまでは厚生省の次官通知でした。本年10月1日から、里親制度とその事業が厚生労働省令に基づいて実施されることとなりました。何と半世紀余ぶりで始めて、省令による制度化となりました。
 里親制度にとってみれば54年ぶりでその根拠が省令という名のもとで確立したわけで、まことに画期的な出来事といえます。厚生労働省の英断として大いに歓迎すべきことと敬意を表したいと思います。
 省令の名称は「里親の認定等に関する省令」と「里親の行う養育に関する最低基準」で、これに伴い「研修」についての告示や実施のための通知が出されます。
 1960年以降、下降傾向の里親制度をどうにかして復活させようとする関係者の心配と努力にも拘わらずなかなか改善されず今日に至ってきました。
 2000年になって、被虐待児問題の存在とその急増が世間を驚かせ、その対応が里親対策への期待を募らせ、昨年、専門里親の制度化について厚生労働省が着手し、今日その実現を見たわけです。
 被虐待児に対応する里親、これを「専門里親」と省令で呼んでいます。御経験を持たれた里親はもちろんのこと、医学や臨床心理学などの分野の方々が異口同音に述べることは、被虐待児に対する治療とケアがいかに困難な事業であるかということです。専門里親が学問的にも経験的にも未知の領域に属する作業ですから、私たち関係者は熟慮し、研究し、本腰を据えて掛からなければならないと思います。レスパイト制の活用なども一方法となるでしょう。
 次に、省令でいう「親族里親」ですが、このような制度は欧米では既に早くから行われ常識的、一般的な制度なものです。例えば米国里親会が最新統計として発表したところによりますと、2000年時点で、米国の里子数は588,000人、このうち約75,000人が親族里親に養育されているとのことです。
 我が国でも、ご高齢とはいえお元気な方々が増えつつあります。この方々の参加に期待が持たれそうです。
 ともあれ、私たち里親が勉強して活躍する環境が作られつつあります。関係者の御支援を心から望みつつがんばっていこうではありませんか。
(平成14年8月6日)
 
2002 April 29 to May 4
NATIONAL FOSTER PARENT ASSOCIATION
32ND ANNUAL EDUCATION CONFERENCE
LAS VEGAS,NEVADA,U.S.A.
第32回全米里親会研修会議
日時 2002年4月29日〜5月4日
場所 ネヴァダ州ラスベガス アレクシス パークホテル(Alexis Park Hotel)
標語 明るい光 明るい未来(BRIGHT LIGHTS BRIGHT FUTURES)
 
 
日程及び会議内容
I. 開会式 4月30日 午後6:00
1 司会あいさつ 全米里親会長 ランディラス(Randy Ruth)
2 祈祷
3 国旗、州旗入場 日本国旗入場
4 国歌
5 児童による合唱
Sunrise children's Foundationによるプログラム
「アメリカ国民に誇をもて」(Proud to Be An American)
「どの言葉でも愛を」(Love In Any Language)
6 歓迎の言葉
エドワード E.コットン(Edward E.Cotton)ネヴァダ州児童家庭局長
〔要旨〕
 私は、この大会がネヴァダ州の里親・養親協会と共催していることについて極めてうれしく存じております。
 私は25人の里子の里親として、また過去30年間にわたり2人の養親として、この会議で議論される問題に特に興味深く感じるものがあります。
 児童の福祉と保護についての環境が変化しているとともに、里親についても同じことがいえます。私は、里親・養親協会に託して、児童と家庭が最も良い養育が受けられるよう、オーソドックスな政策行政と養育方針を作成してもらいたいと願っています。
 里親と養親の権利と責任を実現することは、その人たちの研修の必要性を明確にすることと共に私たちが共に挑戦するための重要な仕事であります。
 皆様方が自由にその意見を発表されることを希望します。皆様が分科会をエンジョイされるとともにラスベガスにおいてもエンジョイして頂くようお願いします。
7 全米里親会の役員の紹介
ランディラス全米里親会長より
8 日本里親会長に対する歓迎の言葉
9 基調講演
講演者ヴィクトリア ローウェル女史
(Ms.Victoria Rowell)
〔紹介〕
 講演者であるMs.Rowellさんは、昼夜2つのテレビジョンで2つのエミー賞を獲得したスターです。彼女はローウェル里子支援活動基金を創設しました。彼女は里親家庭で養育されました。その活動は芸術や体育の面で里子の各種の経験に機会を与えています。毎年ボストンとロスアンジェルスで、バレエ、ダンスミュージック等に対しての育英資金を提供しています。
 彼女は里親養育について、里親養育法や家庭維持法などと名付けられた州の法制の創設について努力し賞讃を受けています。
 東海岸、西海岸においての基金の増額や主張は、関係知事、上院議員、大統領及び大統領夫人の認識や支援を勝ち得ました。また2000年7月にはアメリカ芸術賞(National Arts Award)を受けております。
 その他彼女は里子のための各種キャンペーンを行いクリントン大統領からも彼の主催する行事に出席を求められました。
〔講演の要旨〕
 私は1人の里子として成長しながら、里子を援助する非営利の組織を作ろうとささやかな夢を持ちました。
 私が8才になったとき、里母のアガサ・アルムステッドは、私が興味と熱意を持ったクラシックバレエの学校に入学させてくれました。アガサは驚異的なセンスの持ち主で、私に爪先旋回を教えてくれたばかりでなく、バレエで求められるすべての訓練を行い、多くのチャンスを得られるようにしてくれました。
 1990年、私は、全力投球によってローウェル里子支援計画(RFCPP)を発足させ、里子の、スポーツ、キャンプ、芸能活動のための援助育英基金に献身することとしました。
 私たちのゴールは単純なものです。それは子供たちの完全な能力を導き出すことです。そして、里親やソーシャルワーカー、その他の指導者が用意している活動や機会に対し、子供たちを対応させるようにすることです。私は子供たちがこのような訓練を早い時期に行うことがよいことだと思っています。
 10年以上の間、私は数百の里子を応援してきました。そして私は幾人かの子供が芸能の分野で傑出したことを誇りに思っています。しかし、私たちの仕事はこれからです。私は多くの若い人たちが参加するよう努力するために基金の増加と寄付の協力を得るよう努力を続けなければならないと思っています。また、できれば他の組織とパートナーを組むことが必要と思います。
 私は、この国で55万人以上の里子の苦境に対して理解を得、国民の注目を集めるための援助の努力を続けます。これら子供たちの意義のある教育と情操の要望に応え、また身体的、情緒的なトラウマに悩む人達に対応したいと思っています。
 里子たちはとても良い子供なのです。導きや教育によって自分に満足し、成功する大人になるよう準備させたいと思います。私は皆様を歓迎し、皆様の援助を期待します。
 
II. 集談会(12の集談会があり、タイトルの一例を紹介します)
「訓練者に対する研修」
 
III. 分科会(約200余の分科会があり、2つの概略を紹介します)
1.「養育者と裁判所」の分科会
(解説)
 この分科会は裁判過程についての関与方法を里親に伝えることを目的とします。
 国の法律は、里親の裁判についての関与を許可しています。
 裁判所は裁判の過程のアウトラインについての情報を発表することとしています。
 
2.「MEPA ACT(The Multiethnic Placement Act)」の分科会
(解説)
 1996年にクリントン大統領がサインしたこの法律によって、里親養育における異種民族間の措置についての差別は否認されることとなりました。
 
IV. 総括
 第32回研修会議が行われた時期が米国における9月11日貿易センタービルに対する攻撃の後のことであり、米国関係者は極めて緊張していました。
 会議は粛々と展開され坦々として進行されたが、華やかさは見られませんでした。
 開催地がLas Vegasという土地柄でありましたが、従来の印象としてのGamble都市的な雰囲気は一変し、家族団らんの都市としての明るさが前面にでてきたように感じられました。
 
 
 
クリントン前大統領と会談する講演者







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