パネルディスカッション
司会進行:田 桂成
香港理工大学ホテル観光経営学院教授学院主任
【パネリスト講師(講演順)】
ハッシュ・ヴァルマ(世界観光機関(WTO)アジア太平洋地域代表)
三瓶文博(国際観光振興会(JNTO)総務部次長(企画調査担当))
リチャード・ゴードン(フィリピン政府観光省大臣)
サムリン・バクリ(インドネシア政府観光省副大臣)
ダンカン・ペスコド(香港経済開発労働局観光委員会副大臣)
姜 基洪(韓国文化観光省国際観光課長)
●ハッシュ・ヴァルマ(世界観光機関アジア太平洋地域代表)
中国の旅行業者指定制度は依然として海外旅行の制限要因である。この制度が自由化されたら中国本土から香港への到着者数は増加すると思うかを香港観光委員会副大臣にお伺いしたい。
●ダンカン・ペスコド(香港経済開発労働局観光委員会副大臣)
確かに中国の旅行業者指定制度は抑制要因だが、中国は非常に広い国なので、海外旅行については、このような段階的なアプローチが必要になるのことも、止むを得ないかもしれないが、同制度の実施上にも問題がある。
●ハッシュ・ヴァルマ(世界観光機関アジア太平洋地域代表)
フィリピンの観光が2002年5月以降急成長している理由を伺いたい。またそれに寄与しているのは域外観光なのか域内観光なのか、またフィリピン政府はこのプラスの成長を維持できると思うか。
●リチャード・ゴードン(フィリピン政府観光省大臣)
フィリピン観光が最近成長しているのは、主としてフィリピンの政権が安定し、安全な国になったという認識が醸成されてきたことによると考える。また、政府が経済成長の手段として観光業の育成に力を注ぎ、地域を基盤とした観光も注目されるようになってきた。この拡大傾向はさらに続くと考える。また広報・宣伝活動が観光産業の成長に寄与していると確信している。フィリピンは、域内すなわち短距離旅行市場にも積極的に攻勢をかけている。また他国とフィリピンとの共同観光事業の発掘にも積極的である。また広報・宣伝活動については、人々が他の文化を学ぶための重要な役割を担っているが、それにかかる費用は莫大で大きな障壁となっている。マスメディア、すなわちテレビ、ラジオ、新聞を利用した宣伝広告に費やすコストはかなりの負担である。
●聴衆
インターネットのような情報伝達手段によって、供給者と事業者の関係がどのように変化したのか。
●リチャード・ゴードン(フィリピン政府観光省大臣)
若年層の大部分はインターネットを活用しているが、自ら収入を得られるようになることが先決である。また観光事業者にとって大きな市場である中高齢者は、一般に情報技術(IT)を利用していないのが現実である。さらにアジアの人々は、機械よりも人と直接折衝することを好む。
●聴衆(ブータンからの参加者)
団体旅行が小国の社会組織・制度に与える影響について伺いたい。
●ハッシュ・ヴァルマ(世界観光機関アジア太平洋地域代表)
中央政府や民間部門は各観光地域の受け入れ可能な範囲を超えないように注意する必要があるが、アジア全体としては、収容能力はまだ飽和に達していない。また計画段階で地域社会の意見を考慮することが非常に重要である。
●聴衆
日本は今後さらに観光を推進する計画を有しているのか、またアジアの他の供給市場に力を入れてアジア太平洋地域の域内全体の観光を成長させるといった計画を持っているのか。
●三瓶文博(国際観光振興会総務部次長(企画調査担当))
日本の目標は2007年までに観光客を800万人に増やすことであり、そのためには講演の際に説明した5つの国および地域、すなわち韓国、台湾、アメリ力、中国、香港に力を入れることが必要である。
●田 桂成(香港理工大学ホテル観光経営学院教授)
「コーネル・ホテル・レストラン・クオータリー」の最新号に、中国のアウトバウンド観光についての論文が寄せられていた。
●サムリン・バクリ(インドネシア政府観光省副大臣)
WTOがインドネシアにおいて、「天安門事件」の後に中国政府が実施したようなイメージ研究を実施することは可能か。
●聴衆
1年あるいは1年半という長期にわたる膨大な研究を行うよりも、直接的、短期的な結果を分析するほうが有益である。
●ダンカン・ペスコド(香港経済開発労働局観光委員会副大臣)
デリーで開催されたPARTA会議に出席して、入手した研究に関する情報やその他の情報は、観光戦略の策定に役立った。
●聴衆
WTOの予備分析の結果が来週ごろに完成し、そのデータがロンドンで行われるWTOの会合で分析される予定と聞く。
●聴衆(ネパールからの参加者)
東アジアでは観光産業が回復しているが、南アジアの観光産業は未だ低迷状況にあり、南アジアで域内観光事業やセミナーを行うことが必要である。
(2003年4月1日と2日にネパールのカトマンヅでWTO委員会会議が開催され、観光セミナーも同時に開催される予定であることが紹介された。)
WTO/APTEC観光セミナー(パネルディスカッション)
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