5. ツーリズム・ビジョン2020
ツーリズム・ビジョン2020は、世界観光機関(WTO)がツーリズムの発展に関して、21世紀の最初の20年間を長期予測し、評価するものである。「ツーリズム・ビジョン2020」の重要な成果は、1995年を基準年として2000年、2010年及び2020年に区切った25年間に及ぶ数値予測である。
〈国際観光客到着数1950年−2020年〉
WTOの「ツーリズム・ビジョン2020」では、2020年には国際観光客到着数は15億6,000万人を越えると予測されている。この2020年の到着者数のうち、11億8,000万人は地域内旅行者で、3億7,700万人は長距離旅行者(=地域外)と予想される。
地域別の国際観光客到着総数は、2020年には、上位3地域がヨーロッパ(7億1,700万人)、東アジア・太平洋地域(3億9,700万人)、米州(2億8,200万人)となり、アフリカ、中東、南アジアがそれにつづくであろう。
東アジア・太平洋地域、南アジア、中東およびアフリカは、世界平均の4.1%を上回る年間5%以上の成長を記録すると予測される。さらに成熟した地域であるヨーロッパ、米州は平均伸び率を下回ると予測される。
ヨーロッパは引き続き国際観光客到着数のトップシェアを維持するが、1995年の60%から2020年には46%に減少すると思われる。2010年までには、米州が2位の地位を東アジア・太平洋地域に譲ることになるだろう。東アジア・太平洋地域は2020年には国際観光客到着数の25%を占め、米州は1995年の19%から2020年には18%に減少するだろう。
〈地域別国際観光客到着数(単位:100万人)〉
|
基準年 |
予測 |
年間平均伸び率
(%) |
マーケットシェア
(%) |
Base Year |
Forecasts |
Average Annual Growth Rate
(%) |
Market Share
(%) |
1995年 |
2010年 |
2020年 |
1995−2020年 |
1995年 |
2020年 |
合計 |
Total |
565.4 |
1,006.4 |
1,561.1 |
4.1 |
100 |
100 |
アフリカ |
Africa |
20.2 |
47.0 |
77.3 |
5.5 |
3.6 |
5.0 |
米州 |
Americas |
108.9 |
190.4 |
282.3 |
3.9 |
19.3 |
18.1 |
東アジア・
太平洋 |
East Asia/
Pacific |
81.4 |
195.2 |
397.2 |
6.5 |
14.4 |
25.4 |
ヨーロッパ |
Europe |
338.4 |
527.3 |
717.0 |
3.0 |
59.8 |
45.9 |
中東 |
Middle East |
12.4 |
35.9 |
68.5 |
7.1 |
2.2 |
4.4 |
南アジア |
South Asia |
4.2 |
10.6 |
18.8 |
6.2 |
0.7 |
1.2 |
地域内(a) |
Intraregional(a) |
464.1 |
790.9 |
1,183.3 |
3.8 |
82.1 |
75.8 |
長距離(b) |
Long−Haul(b) |
101.3 |
215.5 |
377.9 |
5.4 |
17.9 |
24.2 |
|
|
注: |
a) |
地域内は、出発国が明記されていない場合の到着数を含む。 |
b) |
長距離は、地域内旅行以外の全てのものであると定義する。 |
1995年から2002年の期間に、長距離旅行は世界的に年間5.4%と、地域内旅行の3.8%に比べて急成長するだろう。結果として、地域内と長距離旅行の割合は、1995年の約82:18から2020年には76:24程度になるだろう。
|