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表紙説明
名詩の周辺
春初感を書す(安積艮斎)
福島・郡山市
 この詩の作者・安積艮斎は、江戸末期の儒者で、奥州岩代国安積郡郡山(現在の福島県郡山市)の生まれです。父の安積親重は、当地の古社(坂上田村麻呂の創建)安積国造(あさかくにつこ)神社の宮司で、艮斎はその三男として寛政三年に生まれました。
 幼少のころより二本松藩の儒者に学問を習い、その才を認められましたが、家が裕福でなかったこともあり、学資が足りなかったので、十七歳のとき、江戸に出て佐藤一斎の学僕となります。その後、幕府の大学の頭(かみ)林述斎の門に学び、文化十一年には二十二歳で、神田駿河台に塾を開いています。さらに天保十四年には二本松藩の藩儒となり、ついに嘉永三年、六十歳のとき、徳川幕府昌平黌の教官を拝命するまでに学者としての名声を得ました。門人には小栗上野介、吉田松陰、高杉晋作などの幕末の志士をはじめ、三菱財閥の創始者岩崎弥太郎など錚々たる面々が名を連ねています。
 郡山市の安積国造神社には、境内に彼の銅像や石碑があり、神社会館内にはその業績を讃える「安積艮斎記念館」が設けられ、多くの遺品や資料が展示されています。
(安積国造神社=JR東北新幹線郡山駅下車徒歩8分)
 
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水六訓
一、 あらゆる生物に生命力を与えるは水なり。
   
一、 常に自己の進路を求めてやまざるは水なり。
   
一、 如何なる障害をも克服する勇猛心と、よく方円の器に従う和合性とを兼ね備えるは水なり。
   
一、 自から清く他の汚れを洗い清濁併せ容るの糧あるは水なり。
   
一、 動力となり光となり、生産と生活に無限の奉仕を行い何等報いを求めざるは水なり。
   
一、 大洋を充し、発しては蒸気となり、雲となり、雨となり、雪と変じ、霰と化してもその性を失わざるは水なり。
 
水を心とすることが平和と健康と長寿の妙薬であります。
 
笹川良一
 
OPINION
明日への提言
日本のテレビ放送開始五十年と吟詠テレビ放送の足跡
河田神泉
 昭和二十八年二月一日、NHKで日本初のテレビ放送が行なわれました。そして五十年、NHKでは、今年を「テレビ放送五十年」として様々な記念放送を行なっています。ちょうど、五十年目にあたる二月一日(土)には、『今日はテレビの誕生日』と題した十六時間にわたる生番組を放送していました。
 財団では、この日、湘南国際村センター(神奈川県・葉山町)で、平成十四年度剣詩舞道大学の第一日目を開催中で、夜の課業終了後、このテレビ放送五十年の生放送を懐かしく見ていましたら、番組の終了後にスペースシャトル「コロンビア」の空中分解事故発生のニュースが字幕で流され、大変びっくりしました。犠牲となられた七人の字宙飛行士の皆さんに心からの哀悼の意を表し、ご冥福をお祈りいたします。
 ところで、吟詠のテレビ放送は、笹川鎮江会長を始め吟詠界の大先輩による出演が昭和三十年代に始まっていたと聞きますが、詳細は明らかではありません。財団事務局の資料として残っているのは、昭和四十八年一月二日、NHK総合テレビで放送された「正月番組」から今日までのもので、十五分番組、一四四回(平成七年四月からは教育テレビで)のテレビ放送が行なわれてきたそうです。この中には、私が出演した番組もありすが、初出演は昭和五十一年一月のことで、師匠の黒川哲泉先生と律詩「山中の梅」(真山民作)を連吟させていただいたことの思い出があります。
 出演させていただくと特によくわかることですが、テレビ放送による吟詠の普及効果は抜群です。民放を使った財団自主テレビ放送は昭和五十年一月から平成十三年一月まで、一一六回にわたって行なわれましたが、予算の関係で、その後、途絶えてしまったのは残念でなりません。







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