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吟剣詩舞の若人に聞く 第48回
桜井京子さん(十一歳)●愛知県蒲郡市在住
(平成十四年度全国剣詩舞コンクール決勝大会剣舞幼年の部優勝)
祖母:尾崎泰子さん
師:尾崎昭哲さん
宗家:入倉昭山さん(日本壮心流昭武館総本部)
 
桜井京子さん
優勝へ、努力に勝る道はなし
 平成十四年九月八日(日)、笹川記念会館国際ホールで行なわれた全国剣詩舞コンクール決勝大会剣舞幼年の部に優勝した桜井京子さんに、優勝直後インタビューしました。優勝の喜びと共に、剣詩舞にかける熱意などをお聞きしました。
 
優勝した、今の気持ちからお聞きします
桜井「自分では自信がありませんでしたが、優勝できてとっても嬉しいです。まだ信じられません」
今日の舞台は点数でいうと何点かな?
桜井「七十点から八十点くらいです」(笑)
満点でないのは何故?
桜井「大会の前に、宗家に見ていただいたところが直っていなかったので、満点ではありません」
難しい箇所なの?
桜井「私としては難しいです」(笑)
入倉「本人はできていないと言っていますが、それなりにできたと私は思いますよ。あれくらいやってくれれば、安心して見られましたね」(笑)
誉めてもらえてどうですか?
桜井「嬉しいです」(笑)
今日は優勝できると思いましたか?
入倉「稽古の時点で、何もなければ優勝争いには絡むかなと思っていました。それくらいの期待を込めていましたし、予測もしていました」
期待がプレッシャーにならなかった?
桜井「そんなことはありませんでした」
泰子「結構、プレッシャーがかかっていたわよ」(大笑)
大会は緊張しましたか?
桜井「中部地区大会よりは緊張しませんでした」(笑)
舞台に出る前は何を考えているの?
桜井「失敗しないようにと思っています」
何歳から剣舞をしているの?
桜井「だいたい保育園の頃からですから、六歳からはじめました」
家では京子ちゃんだけが剣舞をしているの?
泰子「姉が詩舞をしていますし、私もしております」
京子ちゃんと初めて会った印象はいかがでしたか?
昭哲「うちでは白石健太くん(平成十二年度剣舞幼年の部優勝)と同時期に入ってきましたが、健太くんはどちらかと言うと天才肌で、京子ちゃんはいいものをもっているのですが、それがなかなか前に出ない感じでした。今年は幼年最後なので、私としても何とかしたいという気持ちでコンクールに取り組みました」
入倉「この子は眼がすごく強くて、いい眼をして踊ります。去年までは、踊りの中で眼の強さを出せませんでしたが、この一年、自分で自覚してきたのか、剣舞が一皮むけた感じです。今年は本人も幼年の部の最後ということがわかっていましたし、お稽古もそれだけ熱が入っていましたから、それによって眼の魅力がさらに増したのではないかと思います」
昭哲「今年の年賀状に、優勝します、と書かれていましたから、決意は強かったようです」
最初、自信がなかったといったけど、自信があったんだ?
桜井「いえ・・・そんな・・・」(笑)
性格的にはどのような子ですか?
昭哲「負けず嫌いですよ」(笑)
踊りで得手不得手はあるの?
桜井「特にありませんが、気合が・・・」
入倉「気合が小さいほうで、剣舞では気合は大きな武器になりますから、今日も前に出た子の気合が大きく、迫力負けするかなと思いましたが、それを踊りでよくカバーしてくれました」
昭哲「練習のときにも恥ずかしそうに声を出しているものですから、よく注意します。少年の部では技術はもちろん、気合も入れなくてはついていけませんから、しっかり声を出して欲しいです」
 
優勝の発表を受けて喜びを語る、左より師の尾崎昭哲さん、桜井京子さん、入倉昭山宗家、祖母の尾崎泰子さん
 
練習は厳しいですか?
桜井「コンクール前になるといつもより厳しくなります。普段は普通ですね」(笑)
どんな点を注意されるの?
桜井「やはり気合です。自分では出しているつもりですが、聞こえていないようです」(笑)
剣舞の面白さとはなに?
桜井「小さな頃は刀を振っているのが面白かったけれど、今はあまりありません」
今はないの?
桜井「・・・」(笑)
入倉「困りましたね(笑)。何かを感じてもらわなければ」(笑)
刀を振るのが好きなら、声も出るでしよ?
桜井「それとこれとは別です」(大笑)
今後の京子ちゃんに対する指導について何かありますか?
入倉「気持ちが前面に出るようになりましたから、あとは刀の扱いなど、剣舞の基本的なものをもっと勉強してくれれば、少年の部でも充分に通用すると思います。気持ちがすごく出せる子ですから、少年の部になったから踊りを変えなさいということは、それほどないと思いますし、上に行っても楽しみな子です。」
小さな子に教えるポイントとかはありますか?
昭哲「自分が子供に帰ったような気持ちで、子供と同じように何回も何回も一緒に動くことでしょうか。京子ちゃんぐらいになると、基本を教えれば動くようになりますね。これまでが苦労しました」
お姉さんは剣舞をしないのですか?
昭哲「お姉ちゃんに剣舞をやるかと聞いたら詩舞がいいといい、京子ちゃんに詩舞をすると聞いたら剣舞がいいといいました」(笑)
 
表彰式の後でトロフィーを囲んで。愛知県蒲郡市から応援に来ていた喜びのご家族と共に。
 
性格は姉妹でどうですか?
泰子「姉のほうが、この子よりもおとなしいですし、詩舞に向いていると思います。この子は詩舞をやれといっても、やりませんね」
何で剣舞のほうがいいの?
桜井「・・・」(笑)
これからも剣舞を続けていく?
桜井「まだ先のことはわかりません」
泰子「先のことはわからないと思いますよ(笑)。それに今、バレーボールにはまっていて、学校の部に入って面白そうにやっています」
学校の友達は剣舞のことを知っているの?
桜井「あまり知りません」
泰子「恥ずかしいから、言っていないようです」(笑)
京子ちゃんへ、今後のアドバイスなどがありましたらお願いします
入倉「このまま素直に、情熱を持って続けていって欲しいと思います。幸いにして、白石健太くんという同級生のライバルがいますので、お互いに切磋琢磨しながら、成長していってください。彼女がここまできたのは、健太くんがいて、健太くんは小さいうちから上手くなってしまった子ですが、彼女は努力しながら追いついてきて、いまは彼女のほうが少し上に行っているかも知れませんが、互いに伸びていって欲しいと思います。芸事というのはライバルがいないと伸びませんから、二人はいい関係だと思います」
昭哲「宗家も言われたとおり、このまま大きく伸びて欲しいです。ただ、中学くらいになると勉強も大変になりますが、このまま続けてくれたらと思いますし、もうひとふん張りがんばってください。がんばっている子がいると、次の子供たちもその子を目標としてがんばれるので、良いお手本としても続けてください」
泰子「すべては本人しだいですね(笑)。やる気があればやるでしょうし、そうでなければ駄目でしょう」(笑)
京子ちゃんから一言お願いします
桜井「がんばります」(笑)
最後に優勝の実感はわいてきた?
桜井「あるような、ないような、でも嬉しいです」(笑)
本日はおめでとうございました。皆様方のこれからのご活躍をご期待しております。
 
桜井京子さん
 
表彰式の後で。京子さんを中心に優勝を喜ぶご家族の皆さん。







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