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表紙説明
名詩の周辺
武野の晴月(林羅山)
東京・湯島
 この詩は林羅山六十九歳のときの作で、「林羅山詩集」に収められています。林羅山は江戸時代初期の儒者。朱子学をよく学び、徳川家康に認められて慶長十三年、家康の侍読となり、以後、幕府の出す諸法度の文案はおおかた羅山の手になったといわれています。寛永七年、上野忍岡の地を賜って別荘とし、ここに私塾を開きましたが、元禄三年五代将軍綱吉がこれを武州湯島(現在の文京区湯島)に移し、孔子廟の大成殿を中心にした聖堂を設立、これがのちの昌平坂学問所(昌平黌)となりました。湯島聖堂には孔子をはじめ、孔子の高弟の顔子、曽子、思子、孟子等が祀られており、現在は孔子の徳や学問を伝える財団法人斯文会(しぶんかい)によって運営されています。
 また、林家は、一世羅山が幕府の学問、法制、外交上の相談役となって以来、二世鵞峰、三世鳳岡とすぐれた学者が続いたため、鳳岡以後、代々大学頭(だいがくのかみ)に任じられました。林家十二代の墓地は国の史跡として新宿区市谷山伏町に保存されています。
(湯島聖堂=東京都文京区湯島1−4−25、JR中央線御茶ノ水駅下車または地下鉄千代田線新御茶ノ水駅下車、いずれも徒歩3分。林家墓地=新宿区市谷山伏町16、地下鉄東西線神楽坂駅下車徒歩8分・見学には区立新宿歴史博物館〈03−3359−2131〉へ連絡が必要)
 
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水六訓
一、 あらゆる生物に生命力を与えるは水なり。
   
一、 常に自己の進路を求めてやまざるは水なり。
   
一、 如何なる障害をも克服する勇猛心と、よく方円の器に従う和合性とを兼ね備えるは水なり。
   
一、 自から清く他の汚れを洗い清濁併せ容るの糧あるは水なり。
   
一、 動力となり光となり、生産と生活に無限の奉仕を行い何等報いを求めざるは水なり。
   
一、 大洋を充し、発しては蒸気となり、雲となり、雨となり、雪と変じ、霰と化してもその性を失わざるは水なり。
 
水を心とすることが平和と健康と長寿の妙薬であります。
 
笹川良一
 
OPINION
明日への提言
吟剣詩舞道という芸術を後世に伝えるのは私たちの責務です
河田神泉
 今月号より本欄の執筆を笹川鎮江会長からバトンタッチしましたのでよろしくお願いいたします。
 九月二十八日(土)、笹川記念会館四階鳳凰の間で開かれた財団会長笹川鎮江先生が主宰される吟詠静凰流総本部主催の林鳳俊二代目宗家継承披露祝賀会に出席し、財団会長代行として祝辞を述べさせていただきました。
 当日は財団顧問の横山岳精先生や財団専務理事の鈴木吟亮先生など多数のご来賓が出席され、祝辞を述べるというたいへん豪華な祝賀会となりました。式典の冒頭では笹川鎮江先生が入院先からおいでになり、初代宗家として、しっかりとしたロ調で、「林鳳俊二代目宗家をよろしく」とマイクに語られたのには一同たいへん感激いたしました。それはまさに笹川鎮江先生の後継者育成にかける並々ならぬ意気込みそのものであったからでございます。
 財団創立から三十五年、この機に財団会員の皆さまには、吟詠、剣舞、詩舞の振興という使命に対する意識を改めて高くもっていただきたいと思います。
 吟剣詩舞のマンネリ化は困ります。易きに流れずに踏み止まる強い意思の力こそが大切です。吟剣詩舞は伝統芸道の中でも日本語の美しさを伝える格調高い芸術です。その確固とした、一人ひとりの意識が、これからの発展につながるものと確信しております。
 また、これからの吟剣詩舞の振興と発展は、新しい世代の人々にどのように斬り込んでいくかにもかかっています。素晴らしい吟剣詩舞という芸術を後世に伝えるのは私たちの責務と考えます。







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