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漢詩初学者講座
吟詠家に漢詩のすすめ(52)
 
四国漢詩連盟会長
愛媛県吟剣詩舞道総連盟会長
伊藤竹外
 
一、作詩豫習について
 本誌に新に「作詩豫習」の効用を述べ、毎月課題を掲載して回答を求めることにしました。第一回の問題は、ぐんま漢詩大会の最優秀作でしたから全国ではこの詩を遍く識っているはずだとの投稿者よりの指摘がありました。所が昨年の右大会一、一〇五篇中よりの「入賞、入選作品集」百篇が広く配付され、右の問題「春日偶成」は殆んど知悉されていると思いの外、この作品集を見た形跡がなく間違い回答が大半でした。
 愛媛県では各吟社の勉強課題の筆頭に挙げ毎月三首宛の豫習を始めてより既に二一五回六百首の課題に対し、正解率は各吟社共1/3に及ばず初学者のみならず中級者にも難解とされ、上記の各種大会での優秀作を時に交えていますが、同じく正解率は少ないようです。
 さすが毎月の正解者は詩力が十分でいずれも将来を期待しているところです。
二、作詩豫習が何故間違うか
(一)、平仄を誤用している。
(二)、二字、二字、三字の意脈が整っていない。
(これは自作詩にも関連して多く添削している所似である)
(三)、起句、結句が平仄同じのため反対に置く場合が多い。
(四)、詩は平仄合わせでないことを肝に銘じ、よくよく推敲のこと。
 全国的にこのような作詩豫習を勉強したことがないという解答が大半でした。課題詩は先賢を始め優秀作ですから、その作詩の要領、措辞、妙句、対句、意脈の貫通など作詩の勉強に大切なものですから、今後もよくご努力下さい。
 
三、初学者のために
(一)折り返しの間違い多い
 
(註)独善な返り点を付す者は進歩しません。
「漢詩入門の手引き」を参照のこと
(ニ)題意に徹すること
 
 
 
右は三夏、孟夏、仲夏、季夏の中、孟夏即ち初夏に当り、夏日登○○の題と異なる。
夏日は仲夏の暑い日中をいう。「中秋霊峰」に到っては題を無視している。
(三)結句で安易に逃げないこと
 
 
 
 
(四)同類の語を重ねないこと
 
 
 
 
皆、字は違っても同意、同類の語は避けること。







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