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表紙説明
名詩の周辺
太田道灌蓑を借るの図に題す(作者不詳)
埼玉・越生町
 太田道灌は室町時代の武将で江戸城の築城者として名高いのですが「七重八重〜」の歌の故事によっても広く知られています。そのため、「山吹の里」という地名が東京付近には数カ所あり、その一つがこの埼玉県越生町にある「史跡山吹の里」です。この地方の言い伝えによれば、室町時代、太田道灌が川越の領主であったころ、道灌が父の道真を訪ねた折、このあたりでにわか雨にあったので、近くの農家に立ち寄り簑を借りようとした。すると一人の少女が出て来て、だまって山吹の花を差し出した、という物語です。資料によるとこの一帯は古くから山吹の自生地で、取材時も山吹が、ここかしこに咲き乱れ、連休中とあってかなりの観光客も足を運んでいました。
 なお、他に有名な「山吹の里」は、東京豊島区神田川面景橋畔、同じく東京荒川区荒川七丁目にも山吹塚等がつくられています。
 
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水六訓
一、 あらゆる生物に生命力を与えるは水なり。
   
一、 常に自己の進路を求めてやまざるは水なり。
   
一、 如何なる障害をも克服する勇猛心と、よく方円の器に従う和合性とを兼ね備えるは水なり。
   
一、 自から清く他の汚れを洗い清濁併せ容るの糧あるは水なり。
   
一、 動力となり光となり、生産と生活に無限の奉仕を行い何等報いを求めざるは水なり。
   
一、 大洋を充し、発しては蒸気となり、雲となり、雨となり、雪と変じ、霰と化してもその性を失わざるは水なり。
 
水を心とすることが平和と健康と長寿の妙薬であります。
 
笹川良一
 
OPINION
明日への提言
名詩の宝庫、琵琶湖畔で開かれた平成十四年度全国名流吟剣詩舞道大会は例年に増す大盛況でした
笹川鎮江
 去る五月五日(日)、びわ湖ホールで開かれた平成十四年度全国名流吟剣詩舞道大会は、残念なことに私は体調の関係で欠席することになりましたが、当日は五月晴れの好天に恵まれ早朝より大勢のお客様にご来場をいただきました。開場の一時間前には会館職員の方も驚くほどの長蛇の列ができ、開演後も、座席の不足から一部の方々にご迷惑をかけることになったと伺い、たいへん申し訳ないことと思っております。
 名流大会の愛称で知られるこの大会は、毎年五月五日のこどもの日に全国の主要都市で行なわれてきました。その歴史は古く、任意団体の「全吟倶楽部」が開催していたものを昭和四十七年度の大会より財団が引き継ぎ、今年は財団主催となってから三十一回目を数えています。
 大会の入場希望者は毎回、入場定員をはるかに上回り、中でもこの大会の発祥の地である近畿地区の大会は特に盛況を極め、二十年前、神戸文化ホールで開催した時にも、早朝よりたくさんの観客の皆様が長蛇の列をなし、担当役員の方々が入場整理にたいへん苦労されたという話を聞いております。
 当時は、毎年、名流大会が奉賛させて戴いている社会福祉法人思賜財団母子愛育会の総裁であられる三笠宮妃殿下のご来臨をいただいておりました。その神戸文化ホールの舞台で私が吟じさせていただいた頼山陽の「冑山の歌」のことは今でも鮮明に思い起こすことができます。
 この春の名流大会は、秋の武道館大会と同じように、末永く大事にして行きたい大会と考えております。







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