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この本の利用にあたって
 
1. 日本の大学院制度
 大学院には、修士課程と博士課程があります。
 修士課程:修業年限2か年
 博士課程:修業年限5か年で、前期課程(2か年。上記修士課程に該当する)と後期課程(3か年)に分かれています。ただし、医学、歯学および獣医学の博士課程(医・歯・獣医学部6年の課程修了後進学)の修業年限は4年です。5年一貫制の博士課程、後期3年のみの博士課程を置く大学院もあります。
 外国の大学を卒業した留学生の場合、研究生、聴講生・科目等履修生を経てから大学院の試験を受けることも多いようです。研究生、聴講生・科目等履修生ともに、大学によって大学院受け入れ、学部受け入れの別があります。
 研究生:大学によって、その制度も名称(研修生・研修員など)も異なりますが、学位の取得はできません。大学院の正規生になるには試験を受けなければなりません。
 聴講生・科目等履修生:特定科目を聴講しますが、受講資格や聴講を許可される科目(単位)数などは各大学院研究科によって異なります。科目等履修生として単位が取得できる制度もあります。(本書では各大学院研究科における聴講生・科目等履修生制度の有無については触れていないので、各大学に直接問い合わせてください。)
 
※出入国管理及び難民認定法(入管法)では、外国人が研究生または聴講生として教育を受ける場合は、「教育を受ける教育機関が行う入学選考に基づいて入学の許可を受け、かつ、当該教育機関において1週間につき10時間以上聴講をする」者が「留学」の在留資格を取得できることになっています。なお、従来は1科目が2時間として計算されていましたが、1994年より当該大学の制度上可能な限り、実質授業時間の合計で1週10時間(600分)以上履修するよう指導されています。
 
 日本の大学は通常は4月から翌年3月までが1学年度で4月に入学しますが、研究生、聴講生・科目等履修生の場合は10月にも入学できる大学があります。
 また授業は日本語で行われています。大学院でも英語等で講義が受けられるところはほとんどありませんので、講義が理解できる程度の日本語能力が必要です。
 
2. 入学資格
 日本の大学院に入学することのできる者は、「大学を卒業した者、またはこれと同等以上の学力があると認められた者」と定められています。外国人留学生が大学院に入学する場合、一般的には次ページのいずれかの資格が必要です。ただし、最近では文部科学省の大学院入学資格弾力化の方針を受けて(大学審議会答申参照)、各大学院で個別に入学資格を判定する傾向があるので、詳細は各大学に直接問い合わせてください。
 
修士課程: ○大学を卒業、または卒業見込みの者
  ○外国の学校教育における16年の課程を修了、または修了見込みの者
  ○当該大学院において、大学を卒業した者と同等の学力があると認めた者
博士課程: ○修士課程を修了、または修了見込みの者
  ○外国の大学において、修士課程と同等以上と認められる課程を修了、または修了見込みの者
  ○当該大学院において、修士課程を修了と同等の学力があると認めた者
〈医・歯・獣医学の場合〉
  ○大学(医・歯・獣医学部)を卒業、または卒業見込みの者
  ○外国の学校教育における18年の課程(最終の課程は医学、歯学、または獣医学)を修了、または修了見込みの者
  ○当該大学院において、医・歯・獣医学部卒業と同等の学力があると認めた者
 
大学院入学者選抜の改善について(文部省(現、文部科学省)大学審議会答申)抜粋
 
平成11年8月9日
 
II 大学院入学者選抜の具体的な改善方策
1 大学院入学資格の弾力化
(2)大学院における個人の能力の個別審査による入学資格の付与
(a)大学院は学部段階の教育で培われた専門的素養のある人材として活躍できる基礎的能力に立ち、専門性を一層向上させていくことを基本としているが、大学の多様化・個性化が進む中で、学部段階の教育で育成を目指すものや教育内容等は各大学によって様々である。また、専門分野によっても学部段階における教育内容等や大学院入学資格として求められる基礎能力は異なるものである。さらに、上記I、3、(1)、(b)において述べた大学院の教育研究の特性を踏まえると、「大学を卒業した者と同等以上の学力があると認められる者」として大学院入学資格を認める者の具体的内容・範囲について制度上の接続の観点から一律に規定するだけでなく、これに加えて各大学院において個人の能力の個別審査により入学資格を認めることができるようにすることが大学院の更なる発展を図る上で必要となっている。
 大学院の入学機会をできるだけ広く提供していくとの観点から、これまでも制度的な接続の観点からの入学資格の弾力化が図られてきたが、上述のように、それだけにとどまらず、大学院において個人の能力の個別審査を行うことにより、大学院で更に専門性の深化を目指すことが適切な水準に達しており大学を卒業した者と同等以上の学力があると認められる者については、例外として、当該大学院の入学資格を認める道を開くことが大学院の今後の在り方にも合致するものである。
 
3. 編集に関して
【掲載校と研究科】
 2002年3月以降、継続的に日本全国の国公私立大学大学院研究科にアンケート調査の回答をお願いし、9月末までに回収できたものに基づいて編集しました。
 
【凡例】
私費留学生に関することを中心にまとめました。
◆同じ大学内の進学に関することは、学内で容易に知り得るので、学外から出願する場合について紹介しています。
◆できる限り2003年度入学に関する情報を載せましたが、編集締切の時点で新年度の募集が未定のところについては、2002年度の実施例です。
◆外国人留学生が大学院の入学試験を受ける場合、大学院研究科によって留学生特別選考を受けられる場合と、日本人と同様の一般選考を受ける場合、そしてどちらも受験可能な場合があります。本書では留学生特別選考がある場合は、それを優先して載せています。ただし、日本の大学を卒業した留学生の場合や、それまでの日本滞在年数が長い場合など、特別選考を受けられない場合がありますので、出願に当っては各自大学に確認してください。
修士課程(博士前期課程)、博士課程(博士後期課程)、研究生の入学選考に関して詳しく紹介し、出願期間、試験科目、試験日、合格発表、前回までの試験問題の公開・非公開を載せました。出願資格については2. 入学資格を参照してください。また、出願に際して留意すべきと思われる点がある場合、注意事項としてまとめました。研究生については、出願前の指導教官の事前承認の要・不要と、必要な場合、大学で指導教官を紹介してもらえるかどうかを載せています。なお、聴講生・科目等履修生については、スペースの都合で省略いたしました。
◆巻末に「専攻別大学院一覧」を載せました。参考にしてください。
◆更に詳しい内容については、それぞれの大学院研究科に直接問い合わせてください。
 また、入学試験は毎年変更がありますので、受験にあたっては必ず要項を取り寄せて確認してください。出願前に出願資格等の事前審査が行われる場合もあります。出願期間より早い時期に、必ず大学に問い合わせることをおすすめします。
 
●留学生のための特別選考を行う場合は、課程別の小見出しに[特]印がついています。また、海外在住者の直接出願を受け付ける場合には[海]印、個別の出願資格審査がある場合は[個]印をつけました。
例)修士課程 [特][海][個]
●本文中の「日本語能力試験」とは、財団法人日本国際教育協会と国際交流基金の共催で日本国内および国外で例年12月に実施されているもので、1級から4級に分かれています。合格すると日本語能力認定証が交付されます。また「日本留学試験」は、2002年より年2回(6月と11月)、日本国内および国外で実施されるもので、日本の大学(主に学部)等で必要とされる日本語力および基礎学力の評価を行うことを目的に行われる試験です。







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