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勧告(Recommendations)
 国家運輸安全委員会は、調査の結果、以下の安全勧告を行う。
 
米国沿岸警備隊への勧告
 
 司令センターや通信センターの監視官全員に対して、個人の判断力や意志決定力を身につけ、高めるための講座や研修プログラムを実施すること。(M−99−2)
 
 経験豊富な指導者の直接指揮下で、ますます高いレベルが求められる監視官の職責に対応するように、また、自らの能力を実証する総合検定試験に合格した後でなければ監視官候補は電気通信専門家としての認定を受けることができないように、電気通信スクールおよび「グループ・ステーション交信監視官資格ガイド」に記されたガイダンスに合わせて電気通信専門家の認定プログラムを改善すること。(M−99−3)
 
 無線通信記録や電話の通話記録テープを定期的に調べ直すプログラムの実施を含め、すべての沿岸警備隊司令センターと通信センターの業績管理監督を改善するための手続きを直ちに設ける(M−99−4)。
 
 陸上捜索救助通信を行う沿岸警備隊所属の司令部、グループ、部隊に対し、それらの活動における捜索救助通信活動の評価と改善のための手段として、定期的な行動態勢監察のシステムを導入すること(M−99−5)。
 
 関連する捜索救助情報を公開することが沿岸警備隊の捜索救助活動を行う能力を損なわない限りにおいて、適正な地方、州、連邦政府の捜査機関当局とそれらの情報を迅速に共有するための恒久的な政策を設けること(M−99−6)。
 
 監視官が直近の無線通信記録を簡便かつ即座に再生することができる機能を、沿岸警備隊の全捜索救助センターに直ちに設けるための必要な措置を講じること(M−99−7)。
 
 現在入手可能な市販の既製方向探知システムで、少なくとも位置を特定し、後で検索や分析を行うために位置データを記録できる機能を持っているものを、沿岸警備隊の全捜索救助通信センターに装備すること(M−99−8)。
 
 沿岸警備隊のすべての捜索救助通信センターにおいて、機器の配置が人間工学的に見て適切かどうかを検討し、監視官が正しく任務を遂行する際にきわめて重要となる機器が人間工学的に最適な配置となるよう、必要に応じて変更を加えること(M−99−9)。
 
 すべてのグループ通信センターの通信インフラについて、Group CharlestonおよびGroup Mobileの海軍水上戦センターのカーデロック研究所で実施しているのと同様の総合点検を実施し、欠陥が見つかった場合はそれに対して直ちに措置を講じること(M−99−10)。
 
 沿岸警備隊の全捜索救助通信センターにおける勤務時間の長さ、勤務のローテーション、人員配置を決定する際に用いられる、海軍分析センターと契約を結んで行っている作業負荷・人員配置分析が、警戒、注意、疲労に関する既存のヒューマン・パフォーマンスの研究を確実に十分組み入れていること(M−99−11)。
 
 沿岸警備隊の緊急対応職員が担当地域内にある地方機関の訓練に参加し、緊急司令組織における自らの役割を訓練し、緊急司令系統を利用する経験を積むことができるプログラムを実施すること(M−99−12)。
 
 6ヶ月以内、そしてそれ以降は少なくとも2年に1度、沿岸警備隊と州の間で結ばれたすべてのボーティング(boating)に関する安全合意の検討と改正を必要に応じて行い、それらの合意が(1)地元の沿岸警備隊当局と州内の関係当局との間で調整され、(2)ボーティングによる人身事故の調査と報告、捜索救助、関連するボーティング安全問題などの分野における現在の責任や管轄を正確に反映したものとなるようにしなければならない(M−99−13)。
 
 国家運輸安全委員会が作成したMorning Dew号の事故報告をすべてのグループ業務および通信センター職員に伝え、事故の状況やそれから得られる教訓についてセンターの職員に認識させること(M−99−14)。
 
 職務遂行能力が事故につながる可能性があるグループや部隊、そして通信センターの職員を対象とした薬物とアルコールに関する毒物検査の手順を確立すること(M−99−15)。
 
 ウィンヨー湾を通る内陸大水路(ICW)のルートを記す航行補助装置を点検し、ICWをたどって南下するプレジャーボートが不注意によってルートからはずれ、主要航路に沿って外洋方面に向かう可能性を減らすこと(M−99−16)。
 
50州および準州知事への勧告(the Governors of the 50 States and the U.S. Territories)
 
 6ヶ月以内、そしてそれ以降は少なくとも2年に1度、沿岸警備隊と協力して、沿岸警備隊と州の間で結ばれたすべてのボーティングに関する安全合意の検討と改正を必要に応じて行い、それらの合意ガイドラインがボーティングによる人身事故の調査と報告、捜索救助、関連するボーティング安全問題などの分野における現在の責任や管轄を正確に反映したものとなるようにしなければならない(M−99−17)。
 
全米ボーティング法執行官協会(M−99−18)
アメリカ沿岸警備隊補助隊(M−99−19)
米国パワー・スクアドロン(M−99−20)
全米安全ボーティング協議会(M−99−21)
アメリカ船舶所有者協会(M−99−22)への勧告
 
 レジャー用ボーティング教育プログラムの中に、帆船Morning Dew号の事故の状況とそれから得た教訓を取り入れ、ボートに乗る人たちに正しい判断や意思決定とボーティングの安全との関係について教育すること。
 
作成:国家運輸安全委員会
 
JAMES E. HALL JOHN A. HAMMERSCHMIDT
委員長 委員
ROBERT T. FRANCIS II JOHN J. GOGLIA
副委員長 委員
  GEORGE W. BLACK, JR.
  委員
 
採択:1999年10月5日







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