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勧告(RECOMMENDATIONS)
 この事故を調査した結果として、及び米国沿岸警備隊、ニューオーリンズ港湾委員会、New Orleans Paddlewheels社(Creole Queen船主)に以前提出した安全勧告に加え、国家運輸安全委員会は次の安全勧告を行う。
 
・米国沿岸警備隊への勧告
 
 ニューオーリンズ港湾委員会と協力し、ミシシッピ川の下り左岸沿いに客船を配置することのリスクを再評価し、客船をもっと危険の少ない場所に移すか、あるいはこれらの船舶が河川交通と衝突するのを防ぐための手続き上の、業務上の、あるいは物理的な障壁を設けるかどうかを決めること。(M−98−1)
 
 すべての利害関係者と協力し、ニューオーリンズ港内の海上および海岸におけるすべての活動を対象にした総合危機評価を実施すること(M−98−2)。
 
 ニューオーリンズ港で働く水先人組合との連携を率先して行い、ミシシッピ川で船舶を全速力で航行させる影響を評価し、その情報を港湾地域における沿岸警備隊の危機管理および危機削減戦略に組み入れてゆくこと(M−98−3)。
 
 連邦政府、州、地方の当局、民間企業、船主、水先人組合を含む適切な利害関係者と協力し、ニューオーリンズ港内の人と財産の安全を確保するために危機管理と危機緩和を主導すること(M−98−4)。
 
・アメリカ陸軍技術部隊への勧告
 
 米国沿岸警備隊や他の利害関係者と共に、ニューオーリンズ港の海上および海岸におけるすべての活動を対象にした総合危機評価に参加すること(M−98−5)。
 
 連邦政府、州、地方の当局、民間企業、船主、水先人組合を含む適切な利害関係者と協力し、ニューオーリンズ港内の人と財産の安全を確保するために危機管理と危機緩和を主導すること(M−98−6)。
 
・ルイジアナ州政府への勧告
 
 米国沿岸警備隊や他の利害関係者と共に、ニューオーリンズ港内の海上および海岸のすべての活動を対象にした総合危機評価を実施すること(M−98−7)。
 
 連邦政府、州、地方の当局、民間企業、船主、水先人組合を含む適切な利害関係者と協力し、ニューオーリンズ港内の人と財産の安全を確保するために危機管理と危機緩和を主導すること(M−98−8)。
 
・ニューオーリンズ港湾委員会への勧告
 
 委員会の管轄内にある埠頭に沿った新しい商業区域や宅地の造成許認可業務の一環として、新たに占有区画の造成を行うときは、船舶が埠頭に衝突した場合の衝撃を安全に吸収することによって人や財産を守るのに十分な緩衝地帯の背後であることを義務付けること(M−98−9)。
 
 米国沿岸警備隊と協力し、ミシシッピ川の下り左岸沿いに客船を配置することのリスクを再評価し、客船をもっと危険の少ない場所に移すか、あるいはこれらの船舶が河川交通と衝突するのを防ぐための手続き上の、業務上の、あるいは物理的な障壁を設けるかどうかを決めること(M−98−10)。
 
 米国沿岸警備隊や他の利害関係者と共に、ニューオーリンズ港内の海上および海岸におけるすべての活動を対象にした総合危機評価を実施すること(M−98−11)。
 
 連邦政府、州、地方の当局、民間企業、船主、水先人組合を含む適切な利害関係者と協力し、ニューオーリンズ港内の人と財産の安全を確保するために危機管理と危機緩和を主導すること(M−98−12)。
 
・国際河川センターヘの勧告
 
 ニューオーリンズ港湾委員会が以前提案したように、これまで拡張されていないポイドラス通りの埠頭の幅を最低50フィート広くし、リバーウォーク・コンプレックスの顧客や従業員の安全を直ちに向上させること(M−98−13)。
 
 米国沿岸警備隊や他の利害関係者と共に、ニューオーリンズ港内の海上および海岸におけるすべての活動を対象にした総合危機評価を実施すること(M−98−14)。
 
 連邦政府、州、地方の当局、民間企業、船主、水先人組合を含む適切な利害関係者と協力し、ニューオーリンズ港内の人と財産の安全を確保するための危機管理と危機緩和を主導すること(M−98−15)。
 
・Clearsky Shipping社(Bright Field船主)への勧告
 
 Bright Field号の技術装置の基本技術評価を実施し、メーカーの仕様に合致していない状態はすべて是正すること(M−98−16)。
 
 Bright Field号の技術系統の試験、保守、修理、企業監督のためのプログラムを設け、船の技術装置の安全かつ信頼性の高い稼動を確保すること(M−98−17)。
 
 船橋および機関室の当直士官と乗組員に対し、初期および周期的(initial and recurrent)にブリッジ・リソース・マネジメント(BRM)訓練を行うこと。この訓練には、水先人、船橋配属の乗務員、機関室担当当直員との間の連絡と調整、そして船橋および機関室システムの使用の取扱を含むこと(M−98−18)。
 
・New Orleans Paddlewheels社(Creole Queen船主)への勧告
 
 Passenger Vessel Association(客船協会)がまとめたガイドラインに従い、貴社のすべての船舶の非操船部門の乗組員に非常事態や防災のための正式な訓練への参加を義務付け、それらの者が担当する人々に影響を及ぼす可能性がある非常事態に正しく対応できるようにすること。また、記録を文書に残し、非操船部門の乗組員の技能レベルと能力の保持を確認すること(M−98−19)。
 
 乗船している乗客に安全情報を提供する既存の方法を再検討し、船が埠頭を離れる予定があるかどうかに関係なく、すべての船舶の乗員が安全説明を周期的に受けるように必要な改善を行うこと(M−98−20)。
 
 すべての乗客が、通常の状態においても、また照明と視界が減少した非常事態のいずれの状況においてもはっきりと読むことができる、耐熱性および耐火性のある素材に印刷した緊急時の注意事項をすべての船舶に掲示すること(M−98−21)。
 
 米国沿岸警備隊や他の利害関係者と共に、ニューオーリンズ港内の海上および海岸のすべての活動を対象にした総合危機評価を実施すること(M−98−22)。
 
 連邦政府、州、地方の当局、民間企業、船主、水先人組合を含む適切な利害関係者と協力し、ニューオーリンズ港内の人と財産の安全を確保するために危機管理と危機緩和を主導すること(M−98−23)。
 
・ニューオーリンズ・バトンルージュ汽船水先人協会への勧告
 
 リソース・マネジメントの原則について教え、水先人と乗務員間のチームワークに重点を置いた初期および周期的(initial and recurrent)なブリッジ・リソース・マネジメント訓練に、貴協会の会員が参加することを奨励すること(M−98−24)。
 
 米国沿岸警備隊や他の利害関係者と共にニューオーリンズ港の海上および海岸におけるすべての活動を対象にした総合危機評価を実施すること(M−98−25)。
 
 連邦政府、州、地方の当局、民間企業、船主、水先人組合を含む適切な利害関係者と協力し、ニューオーリンズ港内の人と財産の安全を確保するために危機管理と危機緩和を主導すること(M−98−26)。
 
・クレセント・リバー港水先人協会への勧告
 
 米国沿岸警備隊や他の利害関係者と共にニューオーリンズ港の海上および海岸におけるすべての活動を対象にした総合危機評価を実施すること(M−98−27)。
 
 連邦政府、州、地方の当局、民間企業、船主、水先人組合を含む適切な利害関係者と協カし、ニューオーリンズ港内の人と財産の安全を確保するために危機管理と危機緩和を主導すること(M−98−28)。
 
・ルイジアナ州連邦水先人・入渠マスター連盟への勧告
 
 米国沿岸警備隊や他の利害関係者と共にニューオーリンズ港の海上および海岸におけるすべての活動を対象にした総合危機評価を実施すること(M−98−29)。
 
 連邦政府、州、地方の当局、民間企業、船主、水先人組合を含む適切な利害関係者と協力し、ニューオーリンズ港内の人と財産の安全を確保するために危機管理と危機緩和を主導すること(M−98−30)。
 
作成:国家運輸安全委員会
 
JAMES E. HALL
委員長
 
ROBERT T. FRANCIS II
副委員長
 
JOHN A. HAMMERSCHMIDT
委員
 
JOHN J. GOGLIA
委員
 
GEORGE W. BLACK, JR.
委員
 
1998年1月13日







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