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(4)FRP廃船の処理
1)状況
 FRP廃船の処理は、適正処理をするのに費用が嵩むため、所有者が自ら燃やすか、放置している場合が多い。中には、所有者が死亡した場合や廃業した場合など、処理費を負担できないために放置している場合もある。
 
図−1.9.3 放置された廃船
 
2)検討事項
 今後は、廃船状況の把握、放置に対する警告等を行い、廃船の適正な処理のための仕組みを構築する必要がある。
 また、FRP廃船のリサイクルとしては、破砕後、セメントの原料、燃料とする方法が検討されており、今後の動向を見ながら、リサイクルを進めていくことが望ましい。
 
(5)木くずのリサイクル
1)状況
 対馬は森林の島であり、対馬全島の面積(70,847ha)の約89%にあたる63,187haが森林である。対馬の森林面積63,187haは、長崎県の森林面積の約26%を占めている。
 対馬では民有林が多く、国有林が少ない。民有林のうち利用可能な人工林(7齢級以上)は、面積で11,304ha、材積で3,915千m3となっている。人工林のうち、35年生以下の保育を必要とする林分は11,694haと約60%を占めている。これらの山林は下刈り、つる切り、間伐、枝打ち等保育を必要とする林が大半である。
 平成12年度における民有林の伐採面積は1,121ha、材積で67,347m3と、長崎県全体の約3割を占めている。これらの伐採材は、ほとんどが間伐材であり、商品価値が低く、放置されている場合が多い。
 
表−1.9.2 平成12年度 民有林の伐採面積および材積
  面積(ha) 材積(m3
主伐 間伐 伐採面積 割合 総数 割合
対馬 201 921 1,121 31.7% 67,347 30.5%
長崎県 333 3,200 3,533 100.0% 221,077 100.0%
資料:長崎県「平成14年 長崎県統計年鑑」(平成14年11月)
 
2)検討事項
 対馬と壱岐には、木くずをチップ化するなどリサイクル業者がおり、対馬から壱岐への木くずの搬出がみられるが、リサイクル製品の販売先がないのが現状である。
 木くずのリサイクルとしては、チップ化だけでなく、炭化、ガス化、木質ペレット化といったリサイクルが実現化しており、今後は各島の需要に合ったリサイクルを行う必要がある。
 
表−1.9.3 木くずリサイクルの用途
  緑農地利用 建設資材利用 エネルギー利用
チップ化 ・畜産敷設材
・堆肥
・木質舗装用材
・パーティクルボード等建材
炭化 ・農業用土壌改良資材 ・建物の床下調湿材
ガス化 ・木質ガス
木質ペレット化 ・熱供給
参考:プラントメーカー各社へのヒアリング等による。
 
(6)一般廃棄物焼却灰のリサイクル
1)状況
 対馬・上五島・下五島地区では、平成14年12月より、ダイオキシン対策を施した新焼却炉が稼働している。いずれもガス化溶融炉で、処理後に溶融スラグが発生する。
 溶融スラグの利用方法は、現在検討中である。
 
2)検討事項
 公共事業における利用促進など、排出されるスラグの再利用方法を検討する必要がある。
 
図−1.9.4 ごみ溶融スラグ
 
(7)斃死(へいし)魚の処理
1)状況
 対象離島では、いずれも養殖漁業が行われている。養殖魚の中には、病気、事故により死ぬ場合があり、死んだ養殖魚(以下、斃死魚)の処理が問題となっている。
 これまでは、養殖業者が斃死魚を私有地に埋め立てるなどして処理する場合が多かったが、斃死魚は、事業系一般廃棄物に分類され、市町村が処分することになっており、私有地への埋め立ては不法投棄にあたることになる。
 
2)検討事項
 焼却をする場合、斃死魚は塩分、水分を含んでいることから、焼却施設に与える影響が懸念される。今後は、市町村だけでなく、国、県も含めた検討が必要である。
 
(8)離島における動脈物流・静脈物流状況調査
1)状況
 離島から排出される循環資源は、元々は本土から離島へ入ってきた貨物であるが、現状では静脈物流と動脈物流はそれぞれ別のものと認識されている。
 
2)検討事項
 今後、離島における循環型社会を構築するためには、静脈物流とともに動脈物流についても調査を行い、両者を一体として考えた効率的な対策を検討することが望ましい。
 
(9)規制緩和
1)状況
 産業廃棄物を収集運搬する場合、収集運搬を行おうとする区域を管轄する都道府県知事(保健所設置市の場合は市長)の許可を受けなければならない。許可申請書類に記載する項目は廃棄物処理法で決まっているが書式は決まっていないなど、手続面で統一されておらず、複数の都道府県や市の許可が必要な場合、事業者は多大な労力が必要となる。
 また、循環資源を運搬する船舶には、船橋の両側に産業廃棄物収集運搬業者許可番号等を鮮明に表示することが廃棄物処理法で定められている。離島から循環資源を輸送する場合、旅客がメインとなる定期フェリーを活用する場合も多いが、「産業廃棄物を輸送している」ことを明確に表示しなければならず、イメージダウンをおそれて循環資源の輸送を敬遠する企業がある。
 
2)検討事項
 循環型社会の推進により、高度なリサイクル技術が必要となることから、広域的な循環資源の流動が増加すると考えられる。特に離島の場合、島内で高度なリサイクルは困難であることから、広域的な循環資源の流動を促進するような規制緩和が必要である。
 産業廃棄物収集運搬業者許可申請については、申請書類の書式や取り扱いを極力統一し、事業者が許可申請しやすくする必要がある。
 旅客がメインとなる定期フェリーなど、利用者からのイメージを重視する船舶については、産業廃棄物収集運搬業者許可番号等の表示の大きさ、位置等に対する配慮が必要である。







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