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2. 自動車公害対策の概況
(1)自動車環境対策の体系
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(2)自動車環境対策について
(1)自動車の排出ガス対策
ア. 新車の排出ガス規制
 ガソリン車については、乗用車、軽・中・重量貨物車及び軽貨物車についてCO、HC、NOxの排出基準の強化、燃料蒸発ガス規制のトラップ法からSHED法への変更、耐久走行要件の強化、車載式故障診断(ODB)システムの装備義務付け等を平成12年、13年、14年規制(新短期規制)として実施しており、ディーゼル車については、平成14年、15年、16年規制としてディーゼル車全般の規制強化、耐久走行要件の強化(新短期規制)を実施することとしている。
 さらに、平成17年には排出ガス試験法を見直すとともに新たな許容限度設定目標値(新長期規制)に沿って低減を図ることが適当とする等の中央環境審議会第5次答申が平成14年4月16日にされたところです。
 なお、粒子状物質の低減に重点を置いて強化されるディーゼル車の新長期規制については軽油中の硫黄分の低減が必要と考えられており、軽油中の硫黄分の許容限度目標値について平成16年度末までに500ppmから50ppmに低減することとされている。
 また、ディーゼル特殊自動車については、平成16年から規制導入を予定していたものを、中央環境審議会第4次答申を踏まえ、1年前倒しして平成15年から実施することとしており、定格出力19kW以上560kW未満のエンジンを搭載するディーゼル特殊自動車について、ディーゼル8モードによる排出ガス、黒煙規制を導入するため、平成13年8月13日保安基準の改正が行われたところです。
イ. 使用過程車の排出ガス対策
 使用過程車の排出ガス規制については、昭和45年からアイドリング時のCO濃度が規制され、昭和48年には点火時期の遅角対策及び排出ガス減少装置による排出ガスの軽減対策が、昭和50年からはアイドリング時のHC濃度規制、無負荷急加速モードによるディーゼル車の黒煙規制が開始され、その後それぞれ規制強化が段階的に実施されている。
 また、平成4年に成立した自動車NOx法に基づき大都市地域(特定地域)のNOxによる大気汚染防止のため、他の地域よりも厳しい使用車種規制が行われてきたが、環境基準の達成が困難な状況となったことから、対象物質の拡大(粒子状物質)、特定地域の拡大(名古屋地域等)、対象車種の拡大(ディーゼル乗用車)、排出ガス基準の強化等の見直しを内容とする中央環境審議会答申がなされ、平成13年法(NOx・PM法)が改正され、十分な周知を図ったうえで施行するために実施を14年10月からとしたほか、平成14年3月18日道路運送車両の保安基準の一部改正を行うと共に具体的な猶予期間、排出基準を定める告示が制定(同年4月5日公布)された。
 平成11年6月の運輸技術審議会答申において、「使用過程において排出ガス性能が維持されていることを監視する措置としての抜取り試験(サベイランス)の導入、個々の自動車め排出ガス性能維持管理対策としての自動車検査時における撲出ガス性能の簡易検査方法について検討する必要がある。」とされており、必要な調査・検討が実施されている。また、米国においては、排出ガス対策システムの故障を自己診断する装置(ODBIII)の装備を義務づけていることから、これらのシステムについても、その有効性等について検討が進められている。
 
近年の自動車排出ガス規制値
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(注)
1.
CO:一酸化炭素、HC:炭化水素、NOx:窒素酸化物、PM:粒子状物質
 
2.
規制値2.70(2.10)とは、1台あたりの上限値2.70、型式あたりの平均値2.10を示す。
 
3.
10・15モード(10・15M)とは、都市部における平均的な走行形態した走行パターン11モード(11M)とは、冷機始動による郊外から都心に向かつての平均的な走行パターン
 
4.
ディーゼル乗用車において、「小型車」とは等価慣性重量1.25t(車両重量1.265t)以下、「中型車」とは等価慣性重量12.5t(車両重量1.265t)超である。
 
(2)自動車の騒音対策
 我が国では、昭和26年から自動車の騒音に関する規制を実施している。この規制は当初、新車に対する定常走行騒音及び排気騒音の規制であったが、その後、基準値の規制強化が図られたほか、加速走行騒音に対する規制、使用過程車に対する近接排気騒音規制の導入、消音器装着の義務付け等が追加されている。
 自動車騒音の一層の低減を図るため、平成4年11月の中央公害審議会及び平成7年2月の中央環境審議会の答申等を踏まえ、新車に対する定常走行騒音及び加速走行騒音、新車及び使用過程車に対する近接排気騒音の規制強化を進めている。
・大型バス、乗車定員6人以下の乗用車、軽二輪自動車及び第一種原動機付自転車については平成10年規制
・乗車定員7人以上の乗用車、車両総重量1.7トン以下の貨物自動車及びボンネット型軽貨物自動車については平成11年規制
・中型バス、車両総重量1.7トン超3.5トン以下の貨物自動車については12年規制
・既に強化されたバスを除く大型車及び中型車、小型二輪自動車並びに第二種原動機付自転車については、平成13年規制として順次実施されているところである。
 
自動車騒音規制一覧表
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乗用車の近接排気騒音に係る規制値については、「車両の後部に原動機を有する自動車」は、100に読み替える。







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