日本財団 図書館


Kyushu Transport Colloquium
第6回 九州運輸コロキアム
九州圏における国際港湾の発展戦略
(株)UFJ総合研究所 国土・地域政策部 主任研究員
原田 昌彦 氏
 
日時・・・平成14年12月12日
場所・・・ホテルセントラーザ博多(福岡市博多区)
主催・・・(財)九州運輸振興センター
 
1 九州圏における国際港湾機能
 今日は「九州圏における国際港湾の発展戦略」というテーマでお話させていただきますが、5つのテーマに分けましてお話をしたいと思います。
 まず1番目の「九州圏における国際港湾機能」ですが、港湾機能というのは交通、産業、生活に分けられます。
 この分類に従って、九州の国際港湾機能をみてみました。交通には外貿コンテナ、外貿バルク、また九州の場合には国際フェリー、ジェットフォイルなどの高速船があります。産業機能についていえば、国際コンベンション。これは必ずしも港湾自体の特徴と限らないんですが、臨海部の工場跡地に立てられているということです。それから定期クルーズがあります。日本では最初に就航したものです。
 
2 国際コンテナ輸送の動向
○ハブ&スポーク化も進展
 次に国際コンテナ輸送の動向です。基本的にはハブ&スポーク化の進展ということがいえます。船社の方ではコンソーシアムの再編で、メガキャリアーと呼ばれているような大規模な船社は、かなり包括的な提携関係を結んで世界で5〜6ケ位のグループの中でしのぎを削っているという状況です。
 特にコストの競争力を高めるために、5干〜7千個を積めるような大型船を使って、寄港地は集約化してという動きで、港湾サイドでは、それにあわせて大水深ターミナルが大分供用されている段階になっているところです。
 一方、その寄港地の集約化に対してカバーできない所は、フィーダー航路、ハブ&スポークでいうと、スポークでそれをつないでということになってまいります。
 
○ハブ機能の分類
 次がハブ機能です。ひとつめの基幹港機能というのは先程申し上げた、いわゆる欧米航路が寄港する港湾ですね。これがまずハブの一般的な機能としてあげられています。
 二つめが国内集約機能。これは阪神、神戸港でいえば西日本一帯の貨物を集めてきて、基幹航路とつなぐということです。国内集約機能をどこまでみるか、どこまでが港固有の実質的な背後圏なのかは相対的な部分があります。
 3番目が国際積換機能、一般的にいえばトランシップの機能ということでして、これは3国間といいますか、港のある国以外の貨物の積換の役割でございます。代表的な積換港は、シンガポール、香港ですが、ご存知のように最近では中国から北米へいく貨物を釜山で積換えることが多くなっています。あるいは日本についても、日本の地方港から釜山経由で世界につながる形になっています。
 
○わが国におけるハブ機能の動向
 最近の動向ということで、今の3つの機能別に整理してみますと、基幹航路つまり北米航路でいえば、苫小牧、八戸、仙台ですね。こういった従来、寄港していなかった所にも寄港する動きが何年か前からでてきています。それから国内の集約機能については韓国航路が国内各地に開かれてきたということと共に、京浜、阪神の機能が低下している。釜山経由の国際積換に変わっている。それから国際積換、トランシップの機能。これは10〜20年前は神戸がこの機能を持っていたわけです。当時、釜山がまだ十分な機能をもっていない時には、韓国からアメリカに向かうと神戸で積換えていたわけですが、釜山が自前でそれを出来るようになって、香港、高雄から神戸で積換えられていた中国の貨物が、今はほとんどゼロに近い状況です。
○わが国におけるフィーダー機能の動向
 わが国の国内の基幹港とそれ以外の地域を結ぶフィーダーの機能としてはトラックと内航、鉄道があります。全般的にわが国の場合には内外価格差といいますか、韓国経由、香港経由、台湾経由でもってくるよりも高いんですね。機能が弱くなっていると言っていいと思うんですが。横浜、東京、神戸といったところは、それを取り返すべく、内航フィーダーを充実させようとしたり、JR貨物では最近、海上コンテナを積極的に扱っています。
 しかし、大きな動きとしては韓国航路がほぼ1県1港というくらいに出来ていますので、この依存度といいますか、役割が大きくなっているということです。
 
(拡大画面:141KB)
図1 九州の港湾における国際航路開設状況







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION