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V 海上貨物輸送と鉄道貨物輸送の連携促進のための方策
 将来像の実現に向けて、以下のような施策を推進することが必要である。
 
施策1
シーアンドレール輸送貨物の荷主側拠点駅の整備
 
(1)短期的施策
(1)広島貨物夕ーミナル駅の中国圏荷主向け海上コンテナ鉄道輸送の集荷拠点化
 中国圏に対しては、現状、海上コンテナ取扱が可能な中国圏の駅は広島貨物ターミナル駅に限定されるため、当面広島貨物ターミナル駅を拠点とした集荷活動を展開する。
<想定される取り組み主体:鉄道事業者、フォワーダー>
 
(2)鉄道コンテナを利用した九州圏南部からの集荷への取り組み
 九州圏に対しては、現状、海上コンテナ取扱が可能な九州圏中南部地域の駅は、北九州貨物ターミナル駅との輸送距離が200km弱の熊本駅のみであるため、迅速な積み替えを行うことを前提として、鉄道コンテナによるシーアンドレール輸送を強化する。
<想定される取り組み主体:鉄道事業者、フォワーダー>
 
(3)引き込み線保有企業への企画営業の推進
 引き込み線保有企業は荷主側の端末輸送に係るコストが不要であり、優位性が高いことから、こうした企業の開拓を積極的に行う。
<想定される取り組み主体:鉄道事業者、フォワーダー>
 
(2)中長期的施策
(4)南九州圏における海上コンテナ取扱拠点駅の形成
 中長期的には、九川圏南部において、海上コンテナの取扱のための施設、設備や蔵置スペースが確保された拠点駅を整備する。
<想定される取り組み主体:鉄道事業者>
 
施策2
北九州貨物ターミナル駅を拠点とした海上コンテナ鉄道輸送の充実
 
(1)短期的施策
(1)北九州貨物ターミナル駅の海上コンテナ基地としての基盤整備
 北九州港の国際海上貨物輸送との連携の円滑化に向けて、E&Sシステム、40ftトップリフター、十分な蔵置スペース、保税蔵置場の設置、リーファープラグ等、国際海上コンテナ基地としての北九州貨物ターミナル駅の基盤の充実を図る。
<想定される取り組み主体:鉄道事業者>
 
(2)北九州貨物夕ーミナル駅を拠点とした海上コンテナ鉄道輸送に係る情報発信
 利用条件や貨物の状態、スケジュール見通しなど、北九州貨物ターミナル駅において取り扱われる海上コンテナ貨物に関する情報をリアルタイムで荷主や関連事業に提供するシステムを構築し、インターネット上で公開する。
<想定される取り組み主体:鉄道事業者、フォワーダー>
 
(3)他の中枢港湾を経由する九州圏・中国圏の国際海上コンテナ貨物の集荷拠点化
 北九州港背後圏の輸出入コンテナ貨物のうち、神戸港等を利用している欧米との貨物について、北九州貨物ターミナル駅を拠点に国内輪送を鉄道に転換する。
<想定される取り組み主体:鉄道事業者、フォワーダー>
 
(4)韓国、中国との迅速な複合一貫輸送のための積み替え機能の充実
 釜山港や中国港湾と北九州港を結ぶ航路と国内鉄道による、迅速な複合一貫輸送サービスの導入に向けて、港湾荷役及び通関等の諸手続、横持ち輸送等のスピード化など、海運との迅速な一貫輸送体制の構築を図る。
<想定される取り組み主体:鉄道事業者、フォワーダー、港湾運送事業者、船社>
 
(2)中長期的施策
(5)国際海上コンテナ鉄道輸送の輸送力の増強
 国際海上コンテナ貨物の国内輸送手段として本格的な輸送力を確保するために、コキ200系貨車の導入や長大編成化、冷凍・冷蔵コンテナ対応等輸送力増強を計画的に進める。
<想定される取り組み主体:鉄道事業者>
 
施策3
北九州港と北九州貨物夕ーミナル駅の円滑な接続性の確保
 
(1)短期的施策
(1)コンテナターミナル―北九州貨物ターミナル駅間のピストン輸送サービスの導入
 コンテナターミナルと北九州貨物ターミナル駅間に、個々のコンテナ単位で手配するより迅速且つ低コストな、専用大型トレーラーによるピストン輸送サービスを導入する。
<想定される取り組み主体:鉄道事業者、港湾運送事業者>
 
(2)北九州貨物夕ーミナル駅への保税蔵置場の整備
 計画的、効率的にピストン輸送を行えるよう、北九州貨物ターミナル駅を保税地域化し、船から積み卸しされたコンテナを順次北九州貨物ターミナル駅にピストン輸送し、北九州貨物ターミナル駅において通関処理を行う体制を整備する。
<想定される取り組み主体:鉄道事業者、通関業者>
 
(2)中長期的施策
(3)北九州港のコンテナターミナル間の役割分担の明確化
 ひびきコンテナターミナルの供用開始にあわせて、国際海上貨物輸送と鉄道貨物輸送の連携にも配慮した、コンテナターミナル間の役割分担を行う。
<想定される取り組み主体:北九州市、港湾関連事業者、国>
 
(4)コンテナターミナル―北九州貨物ターミナル駅間の道路網の整備
 ひびきコンテナターミナルと北九州貨物ターミナル駅間の迅速な連携輸送を可能とするため、同ルートの道路網の整備・拡充を計画的に図っていく。
<想定される取り組み主体:北九州市、福岡県、国>
 
施策4
北九州港における国際複合一貫輸送にかかるサービスの向上
 
(1)短期的施策
(1)迅速な港湾手続の処理体制の確立
 海陸一貫物流情報システムヘの取り組みなどにより、休日・夜間の荷役サービスやワンストップサービスなど諸手続の迅速化を一層進める。
<想定される取り組み主体:北九州市、国、港湾関連サービス事業者>
 
(2)混載貨物への対応強化
 CLBでは、現在主に石炭輸送用の貨車に国際海上コンテナを積載しているため、20ftコンテナが1本の場合は、通常もう1本が揃うまで発車しない。このため、ロットをとりまとめ、少量の貨物でも利用できるようなサービスに取り組む。
<想定される取り組み主体:フォワーダー>
 
(3)中古コンテナ取扱サービスの充実
 CLBによる国際複合一貫輸送において、輸入貨物が少ないため帰り荷が確保できないため、主として中古コンテナを使用し、輸送先で処分する方法がとられている。このため、中古コンテナ手配に係るコスト負担を軽減するため、中古コンテナ取扱業者の誘致など関連サービスの強化を図る。
<想定される取り組み主体:中古コンテナ取扱業者>
 
(2)中長期的施策
(4)国際海上輸送の迅速性、定時性の向上
 中国との迅速なシーアンドレール輸送の実現に向けて、定時性を確保し、他の輸送手段との高度な連携を可能とするとともに、直行便の拡充や在来船のスピードアップ、さらにはより高速度な船舶の投入など海上輸送時間の短縮を図る。
<想定される取り組み主体:船社、北九州市>
 
(5)北九州港臨港地域における経済特区の設置に向けた検討
 チャイナランドブリッジと連携した複合一貫輸送を最大限に活用するため、現在北九州市において検討を進めている「北九州版エンタープライズゾーン」の具体化に向けた取り組みを進める。
<想定される取り組み主体:北九州市、福岡県>
 
施策5
チャイナランドブリッジ(CLB)の利便性・信頼性の向上
 
(1)短期的施策
(1)CLBに関する情報や実績の広報活動の推進
 現在のCLBの利用状況を広報し、CLBの認知度および信頼性の向上を図るため、CLB専門のホームページを開設し、北九州港におけるCLB利用を積極的にアピールする。
<想定される取り組み主体:北九州市、フォワーダー、中国鉄道局>
 
(2)輸送状況に関する情報提供の充実
 CLBは一層のサービス向上に向けて、五定列車の運行情報や中国港湾駅の利用状況など、国内の荷主に対して、より細やかな情報提供サービスを提供する。
<想定される取り組み主体:北九州市、フォワーダー、中国鉄道局>
 
(2)中長期的施策
(3)チャイナランドブリッジ(CLB)の定時運行サービスの提供に向けた取り組みの推進
 CLBの発着駅における待機時間の短縮や、閑散期における割引サービスの検討など、状況に応じた柔軟な対応を中国側関係機関に働きかけるなど、荷主の意見を中国側に還元して、日中の関連機関がともにサービスの向上を図っていく体制を構築していく。
<想定される取り組み主体:フォワーダー、中国鉄道局>
 
(4)中央アジア、東欧諸国との輸送ルー卜充実に向けた連携体制の確立
 CLBは複数の国家間や輸送業者が関わる輸送システムであるため、輸送機能の向上を図る上で、事務局となる組織の一元化を促進する。
<想定される取り組み主体:各国のCLB関係者、フォワーダー、国>
 
施策6
べースカーゴの開拓
 
(1)短期的施策
(1)CLBの実証実験を通じた利用者の開拓
 中国内陸部や中央アジアとの輸出入を行っている貨物を対象に、運賃補助等により北九州港を拠点とした国際複合一貫輸送の実証実験を実施し、国際複合一貫輸送の実績を作り、結果を広く公表する。
<想定される取り組み主体:北九州市、フォワーダー、中国鉄道局>
 
(2)対中貿易を対象とした戦略的なポートセールスの展開
 輸送機械や電気機械及び中国WTO加盟をにらんだこれらの部品類、食料品関連品目、畜産品用飼肥料など、九州の産業特性に応じた貨物をターゲットとして、実証実験も含めた戦略的なポートセールスを進める。
<想定される取り組み主体:北九州市、フォワーダー、中国鉄道局>
 
(2)中長期的施策
(3)農産品および加工食品の中国内陸部からの開発輸入の促進
 中国からの農産品輸入の増加傾向をふまえて、農業とその加工に特化した産業支援を積極的に推進し、食品加工業者や、食品輸入業者などを対象に、定期的に中国の農産物生産者とのマッチングや、商品化に向けた共同研究などを支援するなどの施策を展開する。
<想定される取り組み主体:食品加工業者及び輸入業者>







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