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III 海上貨物輸送と鉄道貨物輸送の連携促進の意義と役割
1. 物流拠点都市としての北九州市の結節性の向上に向けた役割と意義
 
(1)北九州港の結節性向上
*国土交通省では「暮らしを海と世界に結ぶみなとビジョン(平成13年3月)」の中で、「地域とアジアを結ぶ基幹ラインの形成」を掲げ、各地方ブロック程度の範囲で高頻度でアジアと結ぶ「基幹ライン」の形成に取り組むこととしている。
 
*北九州港においては、アジアとの充実した航路を背景として、国際海上貨物輸送と鉄道貨物輸送の連携によって国内輸送手段の多様性を向上し、利便性、コスト優位性の向上を図ることにより、九州におけるアジアとの「基幹ライン」の国内ハブ港湾としての結節性の向上が期待される。
 
*一方、中国が2001年12月11日からWTO(世界貿易機関)に正式加盟することとなったため、進出企業に対する現地調達率に係る規制緩和をはじめとした投資環境の改善により、部品類等の輸出をはじめとした日本との輸出入が増加すると期待されたため、中国との充実した航路網を有する北九州港にとって大きな飛躍のチャンスである。そこで、チャイナ・ランド・ブリッジの日本側の拠点港としての位置づけを確立することにより、こうした強みをさらに強化することができる。
 
(2)北九州貨物ターミナル駅の整備効果の拡大と鉄道利用活性化
*北九州貨物ターミナル駅では、海上コンテナ等大型コンテナ扱い用ホームが整備されることから、国際海上貨物と鉄道貨物輸送の連携を促進することで、整備効果を拡大し、鉄道利用を活性化することが期待できる。
 
*トラックに対するコスト優位性とアンケート調査による利用意向をもとに試算した海上コンテナ輸送の利用貨物量は最大で輸出約2.8千TEU、輸入6.7千TEU※である。
※鉄道、トラックともタリフベースでの比較。
 
2. 九州・山口の地域産業活性化に向けた役割と意義
*国際海上貨物輸送と国内鉄道貨物輸送の連携により、貨物の都合に応じた国内輸送モードの使い分けが可能となるほか、物流コスト削減が可能となる。九州・山口で生産、消費される北九州港利用の輸出入コンテナ貨物の国内輸送がトラックから鉄道にシフトした場合、シフト分の国内輸送コストは最大のケース(広島県)で約35%削減可能と試算される※。
※鉄道、トラックともタリフベースでの比較。
 
*国際海上輸送と中国鉄道貨物輸送との国際複合一貫輸送の充実により、中国との輸出入貨物の利用港湾を他の中枢港湾から北九州港に変更した場合、九州南部では国内輸送コストが概ね約40〜60%削減可能と試算される。
 
3. 環境問題克服に向けた役割と意義
*国際海上貨物輸送と国内鉄道貨物輸送の連携により、九州・山口で生産、消費される北九州港利用の輸出入コンテナ貨物の国内輸送が2.と同じ仮定のもとにトラックから鉄道にシフトした場合、年間約2200トンの二酸化炭素排出量(炭素換算)を削減することができると試算される。
 
*また、九州・山口で神戸港を経由して生産、消費される輸出入コンテナ貨物が2.と同じ仮定のもとに北九州港利用にシフトした場合、年間約1万トンの二酸化炭素排出量(炭素換算)を削減することができると試算される。







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