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(4)道路の状況について
(1)道路の現状
 長崎県の道路は、高規格幹線道路である「九州横断自動車道」、「西九州自動車道」と17路線の一般国道でその骨格を形成し、この一般国道と各地域とを53路線の主要地方道と118路線の一般県道で連結し、これを更に3万1969路線の市町村道で補完している。(平成13年4月1日現在)
 県全体の道路延長は1万7523kmであるが、平成12年4月1日現在における長崎県の国・県道の整備率は41.4%と全国平均の51.5%を下回っている状況である。
 
(2)長崎県総合交通計画
 長崎県では、21世紀を目前にした平成12年度に、平成2年に策定した「長崎県ふるさと交通計画」の達成状況を評価し、整備目標等の見直しを行い、10年後を目標年次とした新たな総合交通体系の整備計画として「長崎県総合交通計画」を策定した。
 この計画は「長崎県長期総合計画」の交通部門の計画として、21世紀初頭の長期的かつ総合的な交通体系の整備目標、整備施策等を定めたものであり、今後、本計画を指針にして各種の施策や事業を推進していく。
 整備目標の主なものとして、「県内2時間交通圏の拡大」、「高速交通拠点等へのアクセス30分の実現」、「離島・本土間の交通体系整備」、「過疎地、斜面地等の公共交通空白地域への生活交通の確保」、「公共交通機関、道路のバリアフリーヘの対応」等をかかげ、この目標達成に向け「高規格幹線道路・地域高規格道路の整備促進」、「離島内の道路整備、離島間の航路整備を進める」、「インターチェンジ、鉄道駅、空港へのアクセスを担う道路、鉄道、高速バス等の整備を進める」などの整備方針を積極的に押し進めることとしている。
 
乗合タクシーヘ乗車中(長崎市内)
 
(3)路線バス、タクシーの概況
 県内の乗合バス事業は、過疎化や少子化、自家用自動車の普及等により輸送人員が年々減少しており、平成12年度の輸送人員は1億668万6千人と、ピークである昭和45年の半数以下にまで減少している。
 しかしながら、乗合バスは地域住民、とりわけ高齢者や学童等の移動制約者にとって最も身近な公共交通機関として重要な役割を果たしており、県は、国及び市町村と連携して運行に係る欠損額について財政支援措置を講じてきたところである。
 改正道路運送法の施行により、乗合バス事業に係る需給調整規制が廃止され、事業の参入、退出が原則自由化されたことに伴い、平成13年4月より、国において、運行費補助に関する制度の見直しが行われ、広域的、幹線的路線に重点化した財政支援措置となった。
 県においては、従来の制度により補助を受けていた路線の維持確保を図るため、2ヵ年の暫定措置を市町村とともに行いながら、その後の支援の在り方について検討を行っている。
 一方、利用促進策として、平成13年度より3ヵ年で行われている本土5事業者による各社共通のICバスカード導入事業に対しても、同様に国及び市町村と連携して補助を行っている。実施地域においては乗降車が便利なこと、乗り継ぎの際に割引が実施されることなどが好評を得ており、事業の完了が待ち望まれる。
 タクシーについては、ドア・トゥ・ドアによる機動的、個別的輸送手段として県民生活に定着しているものの、輸送人員については昭和47年をピークに減少しており、この10年間は減少の幅も大きくなっている。
 各事業者においては、高齢社会の到来や障害者の社会参加等多様化するニーズに対応するため、福祉車両の導入及び福祉的な付帯サービスなど、利用促進に向けた創意工夫、サービスの向上により利用促進を図っている。
 このような中、長崎市内では平成14年4月から、バス車両が運行できず長年交通空白となっていた地域において市の委託事業による乗合タクシーの運行が開始された。坂の街長崎の地域住民にとって、早くも欠くことのできない交通手段として利用されており、県内のコミュニティ輸送手段のモデルとして今後の発展が楽しみである。
 
(5)鉄道について
(1)概況
 長崎県内にはJRの3路線(長崎本線、佐世保線、大村線約130km、37駅)、第三セクターの松浦鉄道(93.8km、57駅)及び民営の島原鉄道(78.5km、44駅)が走っており、1日当たり約5万人が列車を利用している。
 
 そのほぼ半数は通勤・通学による利用であり、日常生活に密着した公共交通機関となっている。
 また、JRの長崎本線と佐世保線は、本県と福岡・本州方面を結ぶ重要な路線であり、大村線は県都長崎市と県下第二の都市である佐世保市を結び、沿線にはテーマパーク「ハウステンボス」も位置し、県内の観光拠点の相乗的な活性化を図るうえでも極めて重要な路線となっている。
 他方、島原鉄道と松浦鉄道は島原半島や佐賀県にまたがる県北地域それぞれの住民の足としての役割を果たしている。
 
(2)今後の鉄道整備
 鉄道は、従来からいわれている大量輸送・定時性・安全性といった特性に加え、エネルギー消費やCO2排出面等、環境に優しい交通機関でもある。
 今後も、電化や複線化による高速化、利便性・快適性の向上等を目指していく。
 
 
(6)九州新幹線長崎ルートについて
(1)概要
 長崎ルートは博多・長崎を結ぶ148kmであるが、当面の間、博多・武雄温泉間は在来線を活用し、武雄温泉・長崎間に新幹線鉄道規格新線を建設し、スーパー特急を運行する。
 現在、博多・長崎間は、特急かもめで1時間56分(特急平均)かかるが、スーパー特急で1時間12分となり、40分程度の短縮となる。
 長崎ルートは鹿児島ルートとともに、国土の均衡ある発展と九州地方の一体的浮揚、活力ある地域づくりに大きく貢献する。
 
(2)現在の状況及び今後の取り組み
 本年1月8日、武雄温泉〜長崎間の工事実施計画認可申請が行われた。この認可申請は、昭和48年に整備計画が決定されて以来、実に28年を経て全国新幹線鉄道整備法に基づく手続きが進められたものであり、長崎ルート着工へ向けての大きな第一歩が踏み出された。
 今後は、政府・与党による整備新幹線計画の中で、長崎ルートが新規着工区間として早期に決定されるよう、国に対しては安定的財源の確保、地元においては並行在来線対策等を引き続き積極的に取り組んでいく。







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