それともうひとつ、なぜか横文字なんですね。あれが分かりやすく漢字で書いてくれるとね、すぐ分かるんですよ。横文字で書いてあるから、日本人てのは1回日本語で訳さないと、分からないんですよね。だからついていけなくなるんです。でも大丈夫です、安心してください。ITブームが去りましたから。去ったということは、ハードが普及したということです。3千万台、おおよそですが、一定段階、わが国は普及したということです。ソフトの普及じゃなくて、ハードの普及なんです。NEC、ソニー、皆、今何を考えてるか。使ってない人を捜すじゃないですか。ITを使ってない人は誰だ。50才以上。簡単じゃないですか、老人が出来るコンピューター。これを作れば早いですよ。いま必死になってやってます、もうまもなく出てきます。待ってください。やらなくてもいいですから。メーカーが作ってくれますから。皆さんはお金持ってりゃ強いんですから。絶対に向こうの方がITが作ってくれるんですから。
でもこれは覚えなきゃいけません。覚えるということは触らなくてもいいですから、この道具がどういうものであるか、どういう利便性があるかということをきちっと頭に入れておかないと、経営者は駄目です。自分がやることはないです。ワーカー(worker)になって一生懸命にやることはないです。これがまず経営の根本です。
そして、後継者。これからはですね、あなたの会社は一代で、あなただけでやるんじゃなくて、どうやってこの会社を売っていくかということも真剣に考えてください。売るということが悪いというふうに考えないでください。後継者に優秀な奴がいなければ、あなたがせっかく作った会社です。あなたの目の黒いうちに売ってください。
なぜ息子さんや娘さんに難しいかと言うと、企業のマーケティングがものすごく高度化するから。なぜならあまりにも日本は急成長して、あっという間にジェット気流に乗って1万メーターくらい上がったから、これから上に上がれというとですね、考え方をまるっきり変えないと無理なんです。だから、今、私のところに、そういうことを真面目に相談される方がものすごく多くなりました。M&A、営業譲渡、業務委託、何でもいいです。売って金にする、これも仕上げのひとつです。決して悪い結末ではないです。これもこれから経営者として考えなきゃならない、間違いないテーマです。そしてあなたの会社は、また必ず伸びて大きくなっていきますから。その量のメリット、規模のメリットというのはやっぱりあります。だから、そういうものをうまく利用してやられるというのも、ものすごくいいと思います。
もし、自分でとりあえずやりたいと、でも、会社が危なくなってきた、苦しくなってきたといったらですね、まず先ほど言ったお金は、保証協会の売掛債権担保付が使えますので、これを銀行とすぐ話をして資金繰りをやってください。そして、これでも駄目だといった場合はですね、今度はリスケという手があります。要するに会社はリストラ、リスケといいまして、リストラというのは人を辞めさせたり、遊休資産を売るのをリストラと言います。そしてこれで会社が何とか持つというのなら、そのままいけばいい。そしてそれが駄目だったら、リスケ、リスケジュールと言います。これは金融機関に条件変更を依頼します。保証協会付きは原則として1年間なら金利だけでOKなんです、今なら。だから、これを認めさせてOKさせてください。ただ、真水の資金が出なくなります。追加資金が受けられないのと、上手に交渉しないと手形割引が出来なくなりますから、このことをチェックしてください。これがリスケジュールです。これで1年くらいは大体OKになります。
その時に必要なのが再生計画です。会社を再生させる計画を出してくださいと必ず言われます。銀行は再生計画という言葉を使いますが、早い話が、借金返済計画というふうに理解してください。金融機関はそういう言い方しませんので。借金返済計画を出せということです。だから何が一番ポイントかと言うと、来年はこんなに儲かります、来年もこんなに売上がありますなんて書いたら全然だめです。見もしない。1ページで終わりになっちゃう。それならなぜ今やらないんだとなっちゃいますから。どうやったら、このお金を返済できるかということを、5年を最長に考えて5、4、3、2、1で戻るようにして作ってください。それが返済計画のやり方です。
わが国の政府の考え方としては、今年はちょっとマイナスになるかなと最初から言ってるわけです。来年はとんとんかなと。再来年は少し、1%くらい良くなるかなと。3年間くらいは景気はいっぺんには浮揚しないんですから。それは例えば中小企業で、GDPが1%下がりますと言われたら、10掛けてください。あなたの会社の売上は10%下がりますと言われたと思ってください。0.5と言ったら5%下がったと、そういうふうに計算すると、ちょうど中小企業の数字に合って来ます。
ところが見てください、今の売上は平成3年の半分くらいです。うまくやってる方で7掛け、悪い人で半掛けです。ここから、10%ずつ下がっていったら、どうなるか。上がるときもまた10%ずつ位、ということは4年間くらいかかるということです。だから再生計画は4〜5年を見てるということです、国も銀行も。だからその間に遊休資産を売り、リスケを
する。
そして、気をつけなきゃならないことは、スクラップ&ビルド。こういう営業所を閉鎖しよう、こういうトラックをやめよう。中小企業は、大企業のマーケティングみたいにスクラップ&ビルドをやると潰れます。資金繰りが出来なくなります。必ずビルド&スクラップ、最初に何か作って、資金繰りの半分を確保できるようにしてください。それからゆっくり潰してください。これが出来ないと、すぐ資金繰りでまいってしまいます。スクラップ&ビルドでなくて、ビルド&スクラップです。
会社はですね、今一番許される上手な方法というのは、例えば10億円負債があったとします。で、トラック部門と倉庫部門がある。トラック部門は損をしてるけど、倉庫部門は儲かってる。そうすると、あなたは倉庫部門を第3者に営業譲渡、または新会社をそこに作りまして、分社分割法という法律ができましたんで、自分が社長になってもいいです。新しい新会社にその倉庫業だけ移します。そして、残った運送業、またはその不良債務もですね、ゆっくり償却させてって、最後は特別清算、破綻じゃなくて特別清算で消していきます。これは株主総会で決定して、今日もう辞めますということを株主総会で決定します。その間に無担保債、いわゆる金融債以外の債権は全部ですね、新会社に移していただいて一般の方に迷惑をかけないで、無担保債権の方に迷惑をかけないで金融債権1本に絞り込んでください。
そして最後にこの特別清算で残債務が残ります。この残債務はですね、実はもう少しがんばってください。今破産法改正を審議しています。今の破産法は昭和7年くらいに出来た、もうとんでもない法律でして、アメリカやヨーロッパ並に今、破産法を改正しようとしています。今の日本の破産法ではあなたが倒産しますと21万円と2日間の食料だけなんです。それで生きよというんです、社長は。これは可哀相ですね。今度改正しましょうということで、アメリカ並の350万円、家OK、それから車OK。ここまでは認めましょうという改正に変りつつある。
今、金融機関は残債務については、もの凄く話し合いが出来ます。整理回収機構に移ろうと、話し合いが今かなり出来るようになってますから、ぐちゃぐちゃにならないわけです。それよりも会社や法人を維持してください。雇用をこれ以上悪くするとですね、国はぐちゃぐちゃになりますから、はずしてやってください。こういうのをですね、私どもではなかだし、きりだしともいいます。これはM&Aの要素もひとつあるんですね、こういうのが今結構多いです。大企業の整理してるのが、殆どこれが多いんですね。それで、今民事再生をやったり、このなかだし再生をした場合ですね、新生銀行とか日本政策投資銀行はお金を出しますから。ですから、是非ですね、こういう方法もあるということを覚えていてください。
そして先ほども言ったように、直接金融ですね、これを絶対にマスターして、特に、よくわからなければ私募債から、本当に真剣に考えてください。ワラント債やCB債までいくと、ちょっとわかりにくいという方は、私募債だけ覚えてください。そしてこれは県の保証協会の保証がつきますから、皆さんが好きにやれるんじゃなくて、この保証のルールにあった会社を作ってください。ルールにあったものを作っていくということが大事です。そうすればあなたの会社は資金も保ち今度は安定してきます。そして競争に打ち勝っていくと思います。
特に価格ダンピングしていくのはワンマンカンパニーとか、一人でやってらっしゃる人とか、小資本の方、この人の方がどうしても値段を下げていっちゃう。そうすると引きずられていくんですね、価格てのは。あっという間に利益が落ちて、圧縮されていくんです。だから、それに対抗するには、それに替わるサービス、それに替わる他の技術、技能、いろんなものが必要になってくる。そういうものに対応していく能力、これが絶対に必要になってくると思います。
私が皆さんに問いたいのは、わが国はずっと一貫して伸びてたんで、こういうことはあまり真剣に考えなかったんですが、僕はいいチャンスだと思うんですね。ピンチはチャンスです。そして新しい事業はいつもリスク、危険が伴うということです。90%、新規産業は失敗する。これを怖れないで下さい。新規産業は、新しいことをやったら90%失敗するんだと。でも、それは必ず自分にとって薬になるんです。なぜならリスクという字は反対に読むと、クスリとなるんですね、だからリスクというのは絶対にクスリになるはずなんです。復習能力を作れるはずなんです。だから絶対に怖れないで下さい。そして、自分がもしこの産業に関連した新しい産業を捜すのであれば、そっち行くのもよしです。その時に、皆さんは走ってがんばって経営している人を、寝てて笑ってる人が批判してはいけません。これを覚えないと、あなたもいずれその人の仲間になります。これから、日本はころっと全部変わってきますので、そういう面ではあんまりおっかながらないで、どんどんはいっていくのがいいと思います。
そして、私は最後に、この運輸業のモデルはやっぱり中国人だと思いますね。運輸業を最もよく分かっていて、最も運輸業について基本を崩さないのが、チャイナ、華僑ですね。チャイナタウン、見てください。なぜか世界中のチャイナタウンは河の前か、海の前にしかないんです。世界中どこに行ってもですね。なぜなら、華僑、福建省や広東から移民で出てきた中国人は金儲けに来てる。日本人は何しに来るか、田んぼ、耕しに来る。すごい差ですよね。中国人に畑捜して、米耕やすためにアメリカに行こうなんて言っても誰も行かないですよ。そんなのね、クレイジーだと言います。彼らは裸一貫で何にもお金持たないで行って、湾岸の、海の近くの所でクーリキ(苦力)やるんです。日銭稼ぐ。日銭稼いだら、彼らは次に何をやるかといったら、付加価値を高める仕事、それは中華レストランをやることなんです。なぜなら中華レストランは世界の料理で最もコストがかからない。あのでっかい鍋とですね、あの大きな包丁、これひとつで全部の料理が出来るようになってるんですね。日本人みたいに、包丁10何本、晒しに巻いての世界じゃないんですから。みんなひとつで全部ぱっと出来ちゃうんですから。一番金かからないんです。で、付加価値は高いんです。現金商売。すぐに金が入ってきます。そして金貯める。そこまでだったら普通の人です。彼らは何をやるか、必ず昔なら船を買ったんです。今なら車を買います。中国人は必ず物流に目をつけていくんです。これが違うんです。なぜなら中国は黄河、揚子江、常に物流を制した者が国を制するんです。だから物流という考え方は中国人にとって大変なことなんです。だから彼らは必ず船買うし、車を買う。そして船に乗せて、彼らはミシシッピ川でもなんでも、どこでもあがってっちゃうんです。なぜ行くかというと、そこでぼーっとしていないんです。何が一番流行っているかということを、じっと見てるんです、彼らは。そしてその商売を彼らは自分でやり始めるんです。一番儲かってる産業を捜すんです。それも荷役を往き返りやってる内に、どれが一番いい、コンピューターが今一番いいのか、ゲームがいいのか。それを自分がやるんです。そして自分の仲間に運送屋に、船を売って、もっと儲かる商売に移動していくんです。そして最後に彼らは何をやるかというと、金融をやるんです。銀行、金融、ファンド、信託、こういう仕事をしていく。これが華僑の生い立ちです。だから華僑は必ず、インドネシアにいこうがどこにいこうが、全部その地区の経済を押えていっちゃうんですね。
で、その考え方は僕らにとっては本当に素晴らしいと思います。次から次へと変えていくというのがね、ものすごいですね。日本人、とっても無理です。日本人は一生懸命という。ひとつのところを懸命にやる。アメリカ人は日本人の金持ちのことをフラワーリッチというんです。中国人や韓国人の金持ちのことをモンキーリッチ。なぜなら日本人は田んぼや畑で花作ってですね、こつこつ、こつこつやって、そして2代目、3代目になると花咲くんですね。だから真面目なんです。中国や韓国の人は木から木へと、落ちる危険性もある、リスクも高いけど、配も高いというところでやっていく。この差がものすごくある。どっちがいいか悪いかじゃなくて、ものすごく体質をあらわしているんです。
だから商売というのは、この原型を忘れないでください。僕、香港に事務所持ってるんですが、中国人使ってて、すごく感じますね、そのことを。彼らが全く物流の民族だっていうことを。いつもしゃべってるのは、そういう発想。だから為替には、めちゃくちゃ敏感ですね。若い人からそう、女の子にいたるまでそういう発想していますね。だから我々は軽く薄くやると。そして皆さんは大企業のごとく考えをして、中堅企業のようなプランを立てて、馬のように走れと。今年は午年ですから、めちゃくちゃに驀進せと。これしかないよというのが、今日の最後の言葉でありました。どうも有り難うございました。
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