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2003/03/23 産経新聞朝刊
【主張】イラク戦争 速やかに降伏を決断せよ
 
 イラク戦争は三日目に入った二十二日、米英軍による首都バグダッドへの大規模な空爆が行われたほか、米英の地上軍もバグダッドへの進撃を開始した。イラク軍側には早くも集団投降などの動揺が見られる。最小限の犠牲で目標を最大限に達成するためにも、戦争の速やかな完了を望みたい。
 予断は慎むべきだが、イラク軍側の敗色はすでに濃い。開戦時のイラク首脳部を狙った限定的空爆で、フセイン大統領側近の最高幹部三人が死亡したと伝えられる。フセイン大統領自身の生死さえ疑われている。南部の主要都市バスラの防衛に当たっていたイラク軍第51歩兵師団八千人は師団ごと投降した。その他の兵士の投降、脱走も相次いでいる。
 米英軍へのこれ以上の抵抗はもはや無意味であり、いたずらに罪のないイラク国民を苦しめ、兵士たちの犠牲を増やすだけの結果となろう。イラク軍指導部は、まちがっても生物・化学兵器などの大量破壊兵器を使うことなく、速やかに降伏を決断すべきである。また、イラク攻撃に反対し、結果的にフセイン大統領を利する形となった仏独露は早期降伏をすすめることのできる立場にあるともいえよう。
 反戦平和主義者たちからはいまも、「一般市民を巻き込むな」などのシュプレヒコールが聞こえてくるが、今回の米軍による緒戦でのイラク首脳部に狙いを定めた局部攻撃、湾岸戦争時よりはるかに精度を増した精密誘導ミサイルの使用などは、非戦闘員の犠牲を最小限に食い止めようという米軍の努力の表れというべきである。9・11の米中枢同時テロが、意図的に一般市民を狙った無差別大量殺人であったことと比較するのがよい。
 イラク戦争の速やかな完了は、犠牲を最小限にとどめるだけでなく、イラクの戦後復興を容易にし、国際テロ組織やテロ支援国家の野望を抑止する効果をもたらす。世界経済への好影響も期待できる。
 二十一日のニューヨーク株式相場は戦争の早期勝利期待から一九八二年以来という上げ幅を記録した。世界がいかに作戦の早期完了を願っているかの証しであろう。日本政府も可能な限りイラク戦の早期完了、戦後処理に貢献する方策を考えるべきである。
 
 
 
 
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