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2003/02/12 読売新聞朝刊
イラク問題 仏独露が共同宣言 査察強化、平和解決を要求
 
 【パリ=池村俊郎】シラク仏大統領とプーチン露大統領は十日、パリで首脳会談を行い、国連の対イラク査察継続・強化とイラク危機の平和的解決を求めるフランス、ドイツ、ロシア三か国共同宣言を発表した。
 共同宣言は査察の実質的な強化を求め、これまでの国連査察団がイラク武装解除で成果を上げていることを指摘し、査察団の大幅増員や上空査察などの手段充実を求めている。
 イラク危機をめぐっては、北大西洋条約機構(NATO)加盟国である仏独とベルギー三国が十日、イラク戦争準備の軍事支援を拒否したばかり。仏独が同日にロシアも加えて三国共同宣言をまとめたことで、米国と西欧との間の亀裂は、一段と深まった。
 シラク大統領は十日の記者会見で、「イラクが大量破壊兵器を本当に所持しているか、私には確証がない」と述べ、先の国連安保理でパウエル米国務長官が公表した米側の機密情報によっても、納得していないことを明らかにした。
 またプーチン大統領は「ロシアは戦争に反対する」と述べた上で、共同宣言で求めた査察強化について、「ロシア空軍機を提供する用意がある」とした。
 シラク大統領はさらに、共同宣言に示された方針に「国際社会や国連安保理で多数派が賛同している」と強調するとともに、米英との対応の違いが、「米欧同盟を損ねるものではない」として、米政府に対し、「査察団にさらに時間を与えるべきだ」と要請した。<関連記事2・6面>
 
<共同宣言>
 複数の国家が共同で、国際関係において一方的に意思表示する手段の一つ。国際法上の拘束力はないが、一九五六年の「日ソ共同宣言」のように、国会で批准され、条約に準じる効力を持つ国家間合意になるものもある。国際機関の決議が宣言と呼ばれることもある。
 
 
 
 
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