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第5章 研究のまとめと今後の課題
5.1 研究成果のまとめ
5.1.1 国内外の資料収集・整理
(1) 国際的な観測プロジェクトについて、政府間海洋学委員会(IOC)において承認された国際観測プロジェクト等と、それ以外の国際研究プロジェクトにより実施された観測の2つに分類し、インベントリー情報の収集を行った。この結果、主要プロジェクト別に17件を主体として、計711件の観測情報を収集した。
(2) 国内の観測情報については、行政機関の定期観測、大学による観測、それ以外の観測に区分し情報収集を行った。行政機関の定期観測については、各県水産試験場の定線観測以外を収集・整理した。整理した国内の観測件数は上記の国際的なプロジェクトを含めると約2900件であった。大学の練習船・研究船については、各船の航海報告等から情報を収集し、計68件の情報を得た。一方、上記以外の国内の観測情報については計4件の情報を得た。
(3) 国外の観測情報については、主としてホームページからインベントリー情報を収集した。収集したインベントリー情報はロシアで462件、アメリカで3件であった。韓国及び中国の観測については、(1)のプロジェクト以外の情報は得られなかった。
(4) 文献調査の結果、日本海に関する研究論文数は計450件を抽出した。また、これらの文献のリストを作成した。
 
5.1.2 属性情報の付加
(1) 収集したインベントリー情報に関して、属性情報を付加するため、その内容について検討を行った。その結果、属性情報として観測インベントリー情報、観測プロジェクトのインフォメーションに関する情報の2つに区分を行うことにした。
(2) 属性情報をデジタルデータ化するため、属性情報の項目及び付加方法について検討した。その結果、観測インベントリー情報については、CSR(航海概要報告)の項目をベースとして、これより必要な項目を抽出及び付加して属性情報項目とした。また、観測プロジェクトのインフォメーションに関しては、プロジェクトに関する詳細な情報を属性情報とした。
(3) 上記の項目について、1観測毎(船による観測では1航海毎)に属性情報の付加(デジタルデータ入力)を行った。なお、本年度入力した観測インベントリー情報は、合計3565件てあり、日本が2938件、ロシアが462件、韓国が161件、アメリカ3件、中国1件である。
 
5.1.3 データベースの基本設計
(1) データベースの基本設計を行うため、まず最初に、オンライン表示システムの基本的運用方法、システムの機能等について検討した。
(2) 上記のシステムの基本的な設計案に従い、データベースとして観測プロジェクトのインフォメーションデータベース、観測インベントリー情報のデータベース、観測データのデータベースの3種類を作成するものとした。また、データベースの構築にあたり、基本的な方針を検討した。
 
5.2 今後の課題
(1) 国内のクルーズレポート等の観測情報については、ごく沿岸部を除き大半を収集できたものと思われるが、来年度も引き続き調査し、情報の充実を図る。
(2) 海外のクルーズレポート等の観測情報については、主として、WESTPACのニュースレターやホームページ等から収集した。しかしながら、文献等に記載されている情報やデータまで収集活動は行っていないので、来年度も継続的にこれらのデータ収集を行う必要性があるものと考える。
(3) 文献調査の結果、約450件の論文を抽出した。但し、今年度に得られた観測情報についてこれらの文献との照合は図っていない。抽出した文献に対する観測情報との整合性については、来年度に行う観測インベントリー情報の収集後に総括して行う方が良いものと考える。
(4) データの所在情報については、今年度の収集資料においても不明なものがあった。これらの情報については、来年度も継続して調査を行う必要性があろう。
(5) 今年度は、まず観測情報の調査・整理に多くの労力を費やしたため、観測データの収集は十分に行うことはできなかった。来年度は、これまでに入手されていない新しいデータの収集を可能な限り行うこととする。
(6) 観測位置に関する情報は、属性情報として最も重要な項目のひとつである。しかし、今年度収集した情報にはこれらの位置情報が十分に網羅されているわけではない。今後、データベース化に際し、MSQ番号を付与したり、測点図の整備を図るなど位置情報を充実させることが必要であろう。
(7) 今年度は、オンラインシステムのイメージ案を想定し、データベースの基本設計を行った。来年度においては、このシステムの運用及び情報提供方法を具体化し、情報収集及びデータベースの構築を行うものとする。また、その際にはデータのコード化についても検討を行う必要があろう。







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