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職場(しょくば)で協力(きょうりょく)を求め(もとめ)たり、協力(きょうりょく)を申し出たり(もうしでたり)する
1. 職場(しょくば)は協力(きょうりょく)の上(うえ)に成り立って(なりたって)います。どんな時(とき)に他の人(ほかのひと)の協力(きょうりょく)を求め(もとめ)たり、協力(きょうりょく)を申し出たり(もうしでたり)することが必要(ひつよう)でしょう?
 
 その判断(はんだん)には、受信技能(じゅしんぎのう)が必要(ひつよう)です。注意深く(ちゅういぶかく)、様子(ようす)を見て(みて)、いまが協力(きょうりょく)を頼んだり(たのんだり)、申し出たり(もうしでたり)する時(とき)だと正しく(ただしく)判断(はんだん)する能力(のうりょく)です。
 
<例(れい)>互い(たがい)の協力(きょうりょく)が必要(ひつよう)な時(とき)
・清掃会社(せいそうがいしゃ):汚れ(よごれ)がひどく、清掃(せいそう)に時間(じかん)がかかり、予定時間内(よていじかんない)に終わらない(おわらない)
・製造会社(せいぞうがいしゃ):納品(のうひん)の期限(きげん)が迫り(せまり)、みんなで急いで(いそいで)いるが、製品(せいひん)が出来上がり(できあがり)そうにない
・配送会社(はいそうがいしゃ):流れ作業(ながれさぎょう)でみんなと同じ(おなじ)ペースでできない人(ひと)がいて、他の人(ほかのひと)を待たせる(またせる)
・喫茶店(きっさてん):閉店時間(へいてんじかん)がきても気にしない(きにしない)で自分(じぶん)たちでしゃべり続けて(つづけて)帰らぬ(かえらぬ)客(きゃく)がいる
 
2. 次(つぎ)はいつ、誰(だれ)にどのように、協力(きょうりょく)を頼んだり(たのんだり)、申し出たり(もうしでたり)すべきかを判断(はんだん)します
 
 考える(かんがえる)段階(だんかい)です。これを情報(じょうほう)の処理技能(しょりぎのう)といいます。
 
<例(れい)>
いつ・・一刻(いっこく)も早く(はやく)、もう少し(すこし)待って(まって)から、責任者(せきにんしゃ)が帰って(かえって)きてから、など
誰(だれ)に・・直接(ちょくせつ)本人(ほんにん)に、現場(げんば)の責任者(せきにんしゃ)に、店長(てんちょう)に、など
どのように・・気軽(きがる)にいう、そっと言う(いう)、別(べつ)の場所(ばしょ)に呼んで(よんで)言う(いう)、丁重(ていちょう)にいう、など
 
3. 最後(さいご)に実際(じっさい)に行動(こうどう)に移し(うつし)ます。これには適切(てきせつ)な送信技能(そうしんぎのう)が必要(ひつよう)です。
 
協力(きょうりょく)をたのむ行動(こうどう)
 
(1)まえおき:「申し訳ない(もうしわけない)んだけど」「悪い(わるい)んだけど」
(2)理由(りゆう):「頑張ってる(がんばってる)だけど、慣れない(なれない)もんだから、残っちゃて(のこちゃって)。みんなに迷惑(めいわく)かけるんで、ちょっとだけ手伝って(てつだって)もらえますか?」
(3)感謝(かんしゃ):「本当(ほんとう)に助かり(たすかり)ます」「すいません。ほっとしました」
(4)決意(けつい):「明日(あした)はもっとうまくやります」(頭(あたま)をさげる)
 
協力(きょうりょく)を申し出る(もうしでる)行動(こうどう)
 
(1)申し出る(もうしでる):「何か(なにか)私(わたし)でもできることありますか?」「ちょっとお手伝い(てつだい)しましょう」
(2)相手(あいて)の負担(ふたん)を軽く(かるく)する:「ちょうど、手(て)があいたんで。」
「私もはじめは慣れなくて(なれなくて)時間(じかん)がかかったの。同じ(おなじ)よ。」
 
 受信技能(じゅしんぎのう)、処理技能(しょりぎのう)、送信技能(そうしんぎのう)をみがきましょう。日頃(ひごろ)からよく考えて(かんがえて)、必要(ひつよう)な行動(こうどう)を寮(りょう)にいる間(あいだ)に、みんなで助け合って(たすけあって)練習(れんしゅう)すると仕事(しごと)に必ず(かならず)役(やく)に立ちます(たちます)。
 
人間関係(にんげんかんけい)をこわさぬポイント
1. 相手(あいて)の好意(こうい)に感謝(かんしゃ)する
2. 断る(ことわる)理由(りゆう)を説明(せつめい)する
3. 積極的(せっきょくてき)に終わる(おわる)
 
場面(ばめん)を想像(そうぞう)して二人組(ふたりぐみ)で読んで(よんで)みましょう。
 
テーマ:会社(かいしゃ)の先輩(せんぱい)Aの誘い(さそい)を新入社員(しんにゅうしゃいん)B(あなた)が断る(ことわる)
場面(ばめん):仕事(しごと)を始めて(はじめて)間もない(まもない)頃(ころ)
 
A.「今日(きょう)は仕事(しごと)、よく、やってたじゃない。」
 
B.「いやあ、慣れない(なれない)ので、緊張(きんちょう)しました。」
 
A.「帰り(かえり)に一杯(いっぱい)どう?」
 
B.「有難う(ありがとう)ございます。せっかくなのに申し訳ありません(もうしわけありません)が、今(いま)、ちょっと、体調(たいちょう)悪く(わるく)していて、飲めない(のめない)んで。すみません。」
 
A.「そうなの?どうしたの?」
 
B.「いや、だんだん元気(げんき)になってきましたんで。さそって頂いて(いただいて)、嬉しかった(うれしかった)です。仕事(しごと)、頑張り(がんばり)ますのでよろしくお願い(ねがい)します。」
 
A.「じゃあ、また明日(あした)。」
 
B.「失礼(しつれい)します。」
 
 さあ、あなたが誘われる(さそわれる)場面(ばめん)を想像(そうぞう)して断る(ことわる)練習(れんしゅう)をしてみましょう!
 
−高校(こうこう)の卒業(そつぎょう)が遅れた(おくれた)人(ひと)の場合(ばあい)−
☆Aさん(えーさん)はいま、定時制高校(ていじせいこうこう)に行って(いって)いますが、人(ひと)より年令(ねんれい)が高い(たかい)ので、その理由(りゆう)を聞かれる(きかれる)のが苦痛(くつう)です。自分(じぶん)がいろいろあって、保護司(ほごし)さんの世話(せわ)になる状態(じょうたい)だったことは言い(いい)たくありません。
 
Aさん(えーさん)がバイト先(さき)で初めて(はじめて)あった若い(わかい)人(ひと)、Bさん(びーさん)と話して(はなして)いる場面(ばめん)です。
Bさん(びーさん)「学生(がくせい)?どこの大学(だいがく)?」
 
Aさん(えーさん)「高校(こうこう)だよ。」
 
Bさん(びーさん)「年(とし)くってるなあ。」
 
Aさん(えーさん)「腎臓(じんぞう)、悪く(わるく)してさ。病院(びょういん)行った(いった)りして遅れ(おくれ)ちゃったんだよ。」
 
Bさん(びーさん)「うーん。いま、何年(なんねん)?」
 
Aさん(えーさん)「一年(いちねん)。先輩(せんぱい)!よろしくお願い(ねがい)しま〜す。」
 
Bさん(びーさん)「まあ、しっかり、やれよ。」
 
あなたは遅れ(おくれ)の理由(りゆう)を何と(なんと)説明(せつめい)しますか?
グループのみんなと問題解決法(もんだいかいけつほう)で考え(かんがえ)ましょう。
 
対処技能(たいしょぎのう)
 Aさん(えーさん)がやったことを検討(けんとう)してみましょう
●自分(じぶん)が考えて(かんがえて)きめた遅れ(おくれ)の理由(りゆう)をさらりと伝える(つたえる)
●いま頑張って(がんばって)定時制(ていじせい)に行って(いって)いる自分(じぶん)をほめたい
●相手(あいて)に定時制(ていじせい)に行って(いって)いることを伝えて(つたえて)もいい
●相手(あいて)を職場(しょくば)の先輩(せんぱい)と位置付けて(いちづけて)いることを伝える(つたえる)
●仕事(しごと)を頑張って(がんばって)やりたい気持ち(きもち)を相手(あいて)に伝える(つたえる)
 
 A君(えーくん)はガソリンスタンドで一生懸命(いっしょうけんめい)に働いて(はたらいて)います。
 まだ、2週間目(しゅうかんめ)ですが、この仕事(しごと)をぜひ、続けて(つづけて)いきたいと思って(おもって)います。
 ところがある日(ひ)、偶然(ぐうぜん)にも昔(むかし)の仲間(なかま)がスタンドにガソリンを入れ(いれ)にきました
 友人(ゆうじん)は派手(はで)な恰好(かっこう)をしていて人目(ひとめ)をひきます。「やあ、ここにいるの?」と馴々(なれなれ)しく、大きな(おおきな)声(こえ)でいうので、他(ほか)のスタッフが少年(しょうねん)を見て(みて)います。
 もう昔(むかし)の仲間(なかま)から離れたい(はなれたい)あなたは「うん、頑張って(がんばって)働いて(はたらいて)るよ。」とそれだけ言って(いって)、なるべく関わらない(かかわらない)ようにしたので、その少年(しょうねん)は「みんなに知らせ(しらせ)なくちゃな」という言葉(ことば)を残して(のこして)そのまま帰って(かえって)いきました。
 そのすぐ後(あと)で、店長(てんちょう)に呼ばれ(よばれ)、あの少年(しょうねん)との関係(かんけい)を問い(とい)ただされました。
 
 「随分(ずいぶん)、派手(はで)な子(こ)だったな。さっきの人(ひと)とはどんな関係(かんけい)なの?」
 
1. このような質問(しつもん)によって、店長(てんちょう)が知り(しり)たいのはどんなことでしょうか?
 これを正確(せいかく)に把握(はあく)するのが受信技能(じゅしんぎのう)です
(1)自分(じぶん)の店(みせ)の従業員(じゅうぎょういん)は「普通(ふつう)の生活(せいかつ)」をしている人(ひと)である。
(2)店(みせ)に迷惑(めいわく)をかけることがない。
(3)これからも続け(つづけ)て、自分(じぶん)の仕事(しごと)を一生懸命(いっしょうけんめい)するつもりである。
 
2. あなたはとっさに頭(あたま)でどう返事(へんじ)しようか、と考え(かんがえ)ます。「仕事(しごと)を続け(つづけ)たい」
「店長(てんちょう)や他(ほか)のスタッフの信頼(しんらい)を失い(うしない)たくない」という考え(かんがえ)が第一(だいいち)に浮かび(うかび)ます。心(こころ)のなかに浮かんだ(うかんだ)考え(かんがえ)から次(つぎ)の行動(こうどう)が決まり(きまり)ます
これが処理技能(しょりぎのう)です
 
3. あなたの送信技能(そうしんぎのう)です
(1)質問(しつもん)に答え(こたえ)る
 「はい、昔(むかし)、高校(こうこう)が一緒(いっしょ)で知り合って(しりあって)いましたが、いまは全然(ぜんぜん)関係(かんけい)がありません。」
(2)店長(てんちょう)の疑問(ぎもん)をはらす
 「ぼくはつきあうつもりもないので、お店(みせ)には迷惑(めいわく)をかけるようなことはしません」
(3)自分(じぶん)のやる気(き)を伝える(つたえる)
 「店長(てんちょう)やみんなに親切(しんせつ)にしてもらってるので、一生懸命(いっしょうけんめい)働かせて(はたらかせて)もらいたいです。」
(4)店長(てんちょう)の心配(しんぱい)を少なく(すくなく)する
 「もし、何かあったら、親(おや)にも相談(そうだん)して助けて(たすけて)もらいます。」
(5)心配(しんぱい)かけたことをあやまる
 「ご心配(しんぱい)おかけしました。」
(6)店長(てんちょう)の指導助言(しどうじょげん)を受け入れ(うけいれ)る
 
例(れい):上司(じょうし)「まあ、店(みせ)もお客(きゃく)の印象(いんしょう)が大事(だいじ)だからね。今度(こんど)、友達(ともだち)がくるような事(こと)があっても、あんまり、相手(あいて)にしないようにね。何か(なにか)あったら相談(そうだん)してくれよ。」
少年(しょうねん)「はい、本当(ほんとう)にありがとうございます。よろしくお願い(ねがい)します。」
 
対処(たいしょ)する順序(じゅんじょ)があります!
 
1. 深呼吸(しんこきゅう)する
 
 (「まてよ」、「リラックス!」「怒る(おこる)ナヨ」など、心(こころ)の中(なか)で自分(じぶん)にいう。自動思考(じどうしこう)を変える(かえる)のです。)
 
2. 考える(かんがえる)
 
(1)ミス/失敗(しっぱい)の程度(ていど)、損害(そんがい)の度合い(どあい)、相手(あいて)の反応(はんのう)を判断(はんだん)する)
(2)どの対処方法(たいしょほうほう)を選ぶ(えらぶ)か?
自分(じぶん)の対処(たいしょ)レパトリーを増やし(ふやし)ておこう
 
3. 行動(こうどう)する
 
(1)頭(あたま)を下げる:ミス/失敗(しっぱい)の程度(ていど)でわける
 
(2)言葉(ことば)であやまる
《あなたがいいと思う(おもう)言い方(いいかた)は?》
☆「ご迷惑(めいわく)おかけして、すみません!これから気(き)をつけます。」
☆「すみません!いま、すぐやり直し(なおし)ます。」
☆「よくわかりました。本当(ほんとう)に申し訳(もうしわけ)ありません。」
☆「はい!わかりました。頑張り(がんばり)ます。」
☆「すみません。やり方(かた)、もう一度(いちど)、教えて(おしえて)ください。お願い(ねがい)します。」
☆「わかりました。すみません。こうすれば、いいですね。」
(終わった(おわった)ら)「これでいいでしょうか?見て(みて)ください。」
☆「すみません。こんなじゃ給料(きゅうりょう)、返上(へんじょう)しなくちゃ駄目(だめ)ですね。頑張り(がんばり)ます!」
☆「もっと、もっと、勉強(べんきょう)します。すみませんでした。」
☆「これからもっと気(き)をつけます。よろしくお願い(ねがい)します。」
(3)最後(さいご)にもう一度(いちど)頭(あたま)をさげる!







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