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7. 舶用ディーゼル機関の起振力低減の調査研究
(株)赤阪鐵工所
 
1. 目的
 近年、舶用ディーゼル機関の高出力・高効率化は目覚しく、機関の往復動・回転慣性力が増大し、そのバランシングが益々重要となる。従来は不釣合偶力による船体振動の懸念から、必要以上のシリンダ数を選択する場合や、2次バランサーといった高価な装置を追加装備するのが通例となっている。これらに対し、クランク軸不等角度配置(不等着火)により良好なバランスを有する機関を製作することが有効であることが一部で古くから知られているが、最適化の課題として一般化されてはいない。
 最近の計算ソフト・ハード並びに情報工学の進歩に鑑み、本調査研究では、理論的一般化と解法アルゴリズムを明確化する。これにより機関の気筒数に左右されずバランスを最適化させるシステム開発を可能とさせる。これは、船舶建造コストの低減に大きく寄与し、舶用機関の経済性・信頼性向上することにもなり、わが国の船舶関連業界全体の国際競争力強化に貢献することができる。
 
2. 実施経過
2.1 実施項目
(1)調査研究計画
 公表されている不等角度クランク軸配置及び機関バランシング情勢の調査・分析を行い、それらの手法の弱点評価とその克服ストーリを構築し、新設計手法の構想をたてた。さらに新手法の応用対象を選定し、その選定根拠を摘出した。
(2)ディーゼル機関起振力体系化
 不均衡力・不均衡偶力・内部偶力・H−X型起振力等の相関を明確化し、その大きさを無次元化することにより起振力を体系化した。また、ねじり振動起振力との相関評価を行った。
(3)対象機関系の選定と特性把握
 従来機関の所要データを抽出し、選定した対象機関系の全体特性を把握した。
(4)起振力最適化アルゴリズム構築と設計手法の開発
 (助成対象項目:菱日エンジニアリング委託分)
 最適化起振力と拘束起振力を決定した。最適化求解アプリケーションを調査した。起振力最適化アルゴリズムを構築し求解した。
(5)総合評価
 最適化アルゴリズムの適用結果の振動・応答を従来と比較すべく、その評価手法を検討した。
 
 
 
 







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