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III. 弱電関係(無線設備)
1. 無線設備装備技術者の資格について
 GMDSS(海上における遭難及び安全に関する世界的な制度)の国内導入に伴い、その無線設備(航海用具にかかるもの)の整備を行うため、当協会が制定している無線設備装備技術者の資格については、次のように定められています。
(1)資格の名称とその対象業務
資格の名称 対象業務
航海用無線設備整備士 無線設備(救命設備にかかるものを除く。)の装備工事及び保守に関する作業技術の主任業務
 
(2)資格の取得方法
 航海用無線設備整備士の資格を取得するためには、当協会で実施する無線設備講習を修了し、航海用無線設備整備士検定試験に合格する必要があります。この検定試験を受験するためには、次に述べる受験資格が必要です。
 なお、この検定試験対象者は他の資格検定試験と同様、当協会の会員事業所に所属する従業員に限られています。
◎ 航海用無線設備整備士の受験資格について
 航海用無線設備整備士の検定試験を受験するために、当協会で行う無線設備講習を修了することと、無線設備、航海用レーダー等の整備の経験年数が所定の年数に達していることが必要です。この経験年数は受験者の学歴に応じて次のように定められています。
 なお、経験年数は当該試験実施年度の4月1日現在の年数としています。
(1)大学(工)の電子・電気専門課程卒業 :1ヵ年以上
(2)工業高等専門学校(短期大学を含む)の電子・電気専門課程卒業 :2ヵ年以上
(3)工業高校の電子・電気専門課程卒業 :3ヵ年以上
(4)普通高校卒業 :4ヵ年以上
(5)中学校卒業 :5ヵ年以上
(注)(i) (2)の工業高等専門学校の電子・電気専門課程の範囲には専修学校の電子工学科又は無線通信科及び職業訓練短大の電子科が含まれます。
(ii) (3)の工業高校の電子・電気専門課程の範囲には職業訓練校の電子機器科が含まれます。
(iii) (4)の普通高校の範囲には、工業高校、工業高等専門学校及び大学の電子・電気専門課程以外のすべての学科が含まれます。
 以上説明した受験資格を表3.1に示します。
 なお、表3.1の別記のように、船舶職員法に基づく海技士の資格、電波法に基づく無線従事者の資格又は(社)全国船舶無線工事協会の船舶無線整備士の資格を有する人については、経験年数を軽減する規定があり、保有資格の種類に応じて1年ないし3年の経験年数があればよいことになっています。
 
表3.1 無線設備装備技術者の資格標準
資格 対象業務 受験資格 講習 備考
学歴 経験年数
航海用無線設備整備士 無線設備装備技術主任(装備工事及び保守に関する作業技術の主任業務) 大学(工)卒 1ヵ年以上 無線設備講習 1. 学歴欄の大学(工)、工業高等専門学校、工業高校は、それぞれ電子関係及び電気関係の専門課程卒業又は、これに準ずる者と認められる者のことである。
2. 船舶職員法に基づく海技士の資格、電波法に基づく無線従事者の資格又は(社)全国船舶無線工事協会の船舶無線整備士の資格を有する者に対しては、最低経験年数を別記によることができる。
工業高等専門学校卒 2ヵ年以上
工業高校卒 3ヵ年以上
普通高校卒 4ヵ年以上
中学校卒 5ヵ年以上
注(1) 職業訓練校の電子機器科卒業の者は、工業高校の電子及び電気関係専門課程卒業に準ずる者と認められている。
(2) 専門学校の電子工学科又は無線通信科及び職業訓練短大の電子科卒業の者は、工業高等専門学校の電子・電気関係専門課程卒業に準ずる者と認められている。
 
【別記】
 備考2の経験年数は次のとおりである。
受験しようとする資格 所有している他の資格 最低経験年数
(年)
航海用無線設備整備士 第1級陸上無線技術士(電波法)
第1級船舶無線整備士(全工協)
1
第1級海技士(通信)(船舶職員法)
第1級海技士(電子通信)(船舶職員法)
第2級海技士(電子通信)(船舶職員法)
第1級総合無線通信士(電波法)
第1級海上無線通信士(電波法)
第2級海上無線通信士(電波法)
第2級陸上無線通信士(電波法)
第2級船舶無線整備士(全工協)
2
第3級海技士(電子通信)(船舶職員法)
第3級海上無線通信士(電波法)
3
(注) 別記中「船舶職員法」とあるのは、船舶職員法基づく海技士のことを、「電波法」とあるのは、電波法に基づく無線従事者のことを、「全工協」とあるのは、(社)全国船舶無線工事協会の無線整備士の資格をいう。
 
(3)講習
 無線設備講習は、通信講習によって行うことになっております。この講習を受講できる人は、当協会の会員事業場に所属する従業員又は当協会会長が会員以外で適当と認める事業場に所属する従業員です。
 この講習は、航海用無線設備整備士の検定試験を受験しようとする人又は技術の向上を目的とする人が受講するものです。
 通信講習は、通信講習用に作成された3冊の指導書を使って行いますが、受講者が働きながらでも勉強ができるよう、分かり易く工夫された指導書になっています。
 受講者は約3ヶ月間の通信講習期間内に、指導書を読んで勉強し、指導書にそれぞれ添えてある添削問題に解答し、当協会に提出、添削指導を受けることになっております。なお、講習には次の3冊の指導書が教材として使用されます。
(1)GMDSS・基礎理論編
(2)GMDSS・艤装工事及び保守整備編
(3)GMDSS・法規編
 
(4)講習の受講申込み
 受講を希望する人の所属する事業者は様式3.1の申込書(82頁)に必要事項を記載し、受講者の顔写真(2枚)を貼付のうえ、受講手数料を添えて当協会に申し込んで下さい。
 
(5)指導書の送付及び添削問題解答の提出
 講習の受講手続きを完了した場合は、受講者が所属する事業者あてに指導書を送付します。受講者はこの指導者で学習し、指導者に添えてある添削問題について解答し、これを当協会に提出してください。
 なお、添削問題には提出期限を記載していますので、これを厳守して下さい。
 
(6)講習の修了
 通信講習を受講した場合に講習は修了します。
 
(7)講習の修了証明
 当協会が実施する航海用レーダー等講習、無線設備講習又は強電の初級講習若しくは中級講習のいずれかの講習を初めて受講し、これを修了した人には、様式1.4(12頁)の技能手帳を交付します。従って技能手帳は強電と弱電の区別はなく共通のものになっています。
 この技能手帳は、その後検定試験に合格したときや資格を更新したとき、更に他の講習を修了したときにその都度資格証、資格更新証又は講習修了証を貼り足していくもので、これを所持している人の受講履歴、資格履歴が一冊ですべて分かるようになっていますので大切に所持して下さい。
 また、過去に受講履歴のある人(従って技能手帳をすでに持っている人)が無線設備講習を受け、修了したときには、講習修了証を交付します。
 この修了証(様式1.5(13頁))は技能手帳貼り付用のものですから、必ず技能手帳の修了証紙貼付欄にこれを貼って下さい。講習修了証の様式は強電と弱電と共通のものとなっています。
 なお、会員以外の受講修了者には、技能手帳や講習修了証を交付せず、別に修了証書を交付します。
 
様式3.1
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