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MSC67/22/Add.1 ANNEX17
APPENDIX 2(追補2)
[300]総トンから[500]総トンの船に対する“ELECTRONIC PLOTTING AIDS”
電子的プロッティング援助装置
 
1 まえがき
 手による直接プロッティングに対する電子的プロッティング援助装置は、ジャイロ・コンパスあるいは伝送式舶用電子コンパスのいずれかを装備する小型の船に対してもくろまれている。このプロッティング援助装置は、高速船に属する船には適しない。
2 動作基準
2.1 電子的プロッティング援助装置は、レーダー表示器上の最低10物標をプロットする手段を与える。
2.2 距離範囲の3、6、12浬で物標のプロットができること。
2.3 75ktの相対速力までの物標のプロットができること。
2.4 観測者がCPA/TCPAの範囲とベクトルの時間長さの調節ができること。
2.5 プロットの位置は、承認されたシンボルと附加プロット番号で識別されること。
2.6 二つのプロットの間に必要な時間は、30秒以内であること。
2.7 2回のプロットが終わると、物標にベクトルが表示されること。これは真ベクトル又は相対ベクトルのいずれかを選択できること。そのベクトル・モードを必ず表示すること。
2.8 ベクトルの起点は、表示面上を移動できること。ただし、計算された真針路と真速力による割合と方向を保ったままであること。
2.9 プロットの位置を修正できること。
2.10 要求に応じて、選択された物標についての次のデータを表示できること。
.1 プロット番号、最終プロットからの経過時間(分)
.2 物標までの現在の距離
.3 物標の現在の方位
.4 物標のCPAにおける予測される距離
.5 CPAまでの予測時間
.6 物標の計算真針路
.7 物標の計算真速力
 選択されたプロットは、承認されたシンボルで明白に識別され、そのプロット・データは、レーダー表示面の外側に表示されること。
2.11 10分間更新されないプロットは、注意表示されること。引き続くプロットの時間間隔が15分を超える場合は、そのプロットは終了すること。
 
2.3 決議A.477(XII)レーダー装置の性能基準に関する勧告
(1981年11月19日採択)
1. 適用
1.1 これらの性能基準は、改正された1974年の海上における人命の安全のための国際条約の第V章第12規則に従って、1984年9月1日以降に備え付けられたすべての船舶のレーダー装置に適用する。
1.2 1984年9月1日より前に備え付けられたレーダー装置は、少なくとも決議A.222(VII)に勧告されている性能基準に従うものとする。
2. 総則
 レーダー装置は、他船及び障害物の位置並びにブイ、海岸線及び航路標識の位置と本船との相対的な関係を、航行及び衝突回避に役立つような形式で表示するものとする。
3. すべてのレーダー設備
 すべてのレーダー設備は、次の最低要件に適合するものとする。
3.1 距離性能
 レーダーは、通常の伝搬状態のもとで、レーダー空中線が海面上15メートルの高さに備え付けられており、かつ、海面の乱反射がない場合には、次のものを明確に表示するものとする。
1. 海岸線
20海里離れた距離にある高さ60メートルの陸岸
7海里離れた距離にある高さ6メートルの陸岸
2. 海面上の物標
船舶の形状にかかわらず、7海里の距離にある総トン数 5,000トンの船舶
3海里の距離にある長さ10メートルの小型船舶
2海里の距離にある約10平方メートルの有効反射面積を有する航路標識のような物標
3.2 最小距離
 3.12.に定める海上の物標は、距離範囲切替器以外の制御器の切替えを行うことなく、最小距離50メートルから1海里の範囲まで明白に表示できるものとする。
3.3 表示器
3.3.1
当該装置は、外部的に拡大することなく、ヘッドアップ可変モードで、次に掲げる以上の有効直径を有する相対平面表示器を備えるものとする。
.1 総トン数500トン以上1,600トン未満の船舶については、180ミリメートル注)
.2 総トン数1,600トン以上10,000トン未満の船舶については250ミリメートル注)
.3 総トン数10,000トン以上の船舶については、1つの表示器は340ミリメートル注)、他の表示器は250ミリメートル
3.3.2
当該装置は、次に掲げる組合せのいずれか1つの組合せの距離目盛の表示を行うものとする。
.1 1.5、3、6、12及び24海里及び0.5海里以上0.8海里以下の1つの距離目盛
.2 1、2、4、8、16及び32海里の距離目盛
3.3.3
追加の距離目盛を設けることができる。
3.3.4
表示される距離目盛と距離環の間隔は、常に明りょうに表示されているものとする。
3.4 距離測定
3.4.1
次に掲げる電子的な固定距離環を距離測定を行うために備えるものとする。
.1 3.3.2.1に従って距離目盛を備える場合は、0.5から0.8海里の間の距離目盛について、少なくとも2本の距離環を設け、その他の距離目盛について、各々6本の距離環を設けるものとする。
.2 3.3.2.2に従って距離目盛を備える場合には、各距離目盛について4本の距離環を設けるものとする。
3.4.2
電子的な可変距離マーカーは、距離の数字表示を備えるものとする。
3.4.3
固定距離環及び可変距離マーカーは、物標の距離を使用目盛の最大距離の 1.5パーセント又は70メートルのいずれか大きい方の値を超えない誤差で、測定できるものとする。
3.4.4
固定距離環及び可変距離マーカーの輝度は、変えることができ、かつ、それらを表示面から完全に消去することができるものとする。
3.5 船首方向指示器
3.5.1
船首方向は、最大±1度以内の誤差で、表示面上に線として表示するものとする。表示する船首線の太さは、0.5度を超えないものとする。
3.5.2
船首方向指示器を断にするスイッチを備えるものとし、そのスイッチは、「船首マーカー断」の位置にとどまらない構造にするものとする。
3.6 方位測定
3.6.1
表示面に表れるいかなる物標についても方位を速やかに測定できる手段を備えるものとする。
3.6.2
方位を測定する手段は、映像が表示面の端に表れる物標の方位を±1度以上の確度で測定できるものとする。
3.7 分解能
3.7.1
当該装置は、使用距離目盛の50パーセントから100パーセント間の距離にある同一方位上の2個の類似した小さな物標であって、その距離が50メートル以下である物標を2海里以下の距離目盛で、別個の映像として表示できるものとする。
3.7.2
当該装置は、1.5海里又は2海里の距離目盛の50パーセントから100パーセントの間において、同一距離にある2個の類似した小さな物標であって、方位が2.5度以上離れていない物標を、別個の映像として表示できるものとする。
3.8 横揺れ又は縦揺れ
 当該装置の性能は、船舶が±10度横揺れ又は縦揺れした場合にも、3.1及び3.2の距離性能要件を継続して維持するものとする。
3.9 走査
 走査は方位角360度にわたって右回りし、かつ、連続し、しかも自動的に行うものとする。走査速度は、1分間に12回転以上であるものとする。当該装置は100ノットまでの相対風速においても満足に作動するものとする。
3.10 方位角の安定
3.10.1
表示器がコンパス出力によって、方位を安定させることができる手段を設けるものとする。当該装置は、方位を安定させることができるコンパス入力を備えるものとする。コンパス出力による追従精度は、1分間に2回転のコンパス回転率の場合、0.5度以内であるものとする。
3.10.2
当該装置は、コンパス制御が行えない場合、可変モードで満足に作動するものとする。
3.11 性能点検
 当該装置が実際に使用されている間、装置を設置したときに定められた較正基準に対する著しい性能低下を容易に判定し得る手段を講ずるものとし、その手段は物標がないときに、当該装置を正確に同調できるようなものとする。
3.12 クラッター除去装置
 海面クラッター、雨、他の形態の降下物、雲及び砂あらしからの望ましくない反射を抑圧するために適切な手段を講ずるものとする。クラッター消去制御器を手動で、かつ、継続して行うことができるものとする。クラッター消去制御器は、完全に左回りで一杯の位置では機能しないものとする。更に、自動クラッター消去制御器も備えることができるが、当該制御器は、スイッチを断にすることができるものでなければならない。
3.13 操作
3.13.1
当該装置は、表示器のある所からスイッチを入れ、かつ、操作できるものとする。
3.13.2
操作用の制御器類は、使いやすい位置にあって、容易に識別し使用できるものとする。シンボルを使う場合、これらのシンボルは、海上航行用レーダー装置の制御器のためのシンボルに関する機関の勧告に従うものとする。
3.13.3
当該装置は、冷却状態でスイッチを入れてから、4分以内に完全な作動状態になるものとする。
3.13.4
当該装置が、15秒以内に作動状態となり得るような待機状態を設けるものとする。
3.14 干渉
 当該装置を船上に設置し、調整した後は、この勧告に定める方位精度は、地球の磁界中を船舶が移動しても、更に調整することなく維持されるものとする。
3.15 海面又は陸地固定装置(真運動表示)
3.15.1
海上又は陸地固定装置を設ける場合には、表示の精度及び識別は、少なくともこの勧告が要求するものと同等なものとする。
3.15.2
航跡は手動の無効状態にある場合を除き、表示面の半径の75パーセントの位置を超えて移動してはならないものとする。自動再設定装置を設けることができる。
3.16 空中線系
 空中線系は、レーダー・システムの設計能力が実質的に損われないような方法で設置するものとする。
3.17 レーダー・ビーコンとの運用
3.17.1
3センチメートル帯で運用するすべてのレーダーは、水平偏波方式で運用できるものとする。
3.17.2
レーダー・ビーコンがレーダー表示器に示されるのを停止する信号処理装置は、そのスイッチを断にすることができるものとする。
 
4. 複数のレーダー装置
4.1 2台のレーダーの備付けが要求される場合には、各レーダーが別々に運用でき、かつ、相互に依存することなく同時に運用できるように備え付けるものとする。非常電源が1974年のSOLAS条約第II−2章の適当な要件に従って、備え付けられる場合には、2台のレーダーは、この電源で運用できるものとする。
4.2 2台のレーダーが備え付けられる場合には、レーダー装置全体の融通性と有効性を改善するために、インター・スイッチング装置を設けることができる。
 当該装置は、いずれかのレーダーの故障が他のレーダーへの電源の供給を妨げるか、又は悪い影響が起きないように設けるものとする。
 

注) 180、250及び340ミリメートルの表示直径は、それぞれ9、12、16インチの陰極線管に対応する。







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