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第四章 雑則
 
(無線設備の保守等)
第六十条の五 船舶所有者は、次の各号に掲げる船舶(法第四条第一項ただし書及び第二項並びに第三十二条の二の規定により無線電信等を施設することを要しない船舶を除く。)に備える無線設備(無線電信等並びに救命設備(浮揚型極軌道衛星利用非常用位置指示無線標識装置、小型船舶用極軌道衛星利用非常用位置指示無線標識装置、非浮揚型極軌道衛星利用非常用位置指示無線標識装置及びレーダー・トランスポンダーに限る。)及び航海用具(ナブテックス受信機、高機能グループ呼出受信機、VHFデジタル選択呼出装置、VHFデジタル選択呼出聴守装置、無線電話遭難周波数で送信及び受信をするための設備、無線電話遭難周波数聴守受信機、デジタル選択呼出装置、デジタル選択呼出聴守装置に限る。)に限る。以下同じ。)について、それぞれ次の各号に掲げる措置を講じなければならない。
一 
国際航海に従事する船舶(総トン数300トン未満の船舶であって旅客船以外のもの及び総トン数300トン以上の漁船(第一条第二項第一号の船舶に限る。)を除く。以下「国際航海旅客船等」という。)であってA4水域又はA3水域を航行するもの
設備の二重化(予備の無線設備を備えることをいう。以下同じ。)、陸上保守(無線設備の有効性を保持するため、当該設備の修理を行う能力を有する者(船員を除く。)が定期的に点検及び修理を行うことをいう。以下同じ。)又は船上保守(無線設備の有効性を保持するため、当該設備の修理を行うことができる資格を有する船員が保守及び修理を行うことをいう。以下同じ。)のうちいずれか二の措置
二 
A2水域又はA1水域のみ(湖川を含む。)を航行する船舶(国際航海に従事しない船舶であって旅客船以外のものを除く。)及び国際航海旅客船等以外の船舶であってA4水域又はA3水域を航行するもの
設備の二重化、陸上保守又は船上保守のいずれか一の措置
2 船舶所有者は、前項の規定により講じる措置及びその実施方法について記載した書類を作成し、かつ、管海官庁の承認を受け、これを当該船舶の船長に供与しなければならない。当該措置及びその実施方法を変更しようとするときも、同様とする。
3 船長は、前項の書類を船内に備えておかなければならない。
4 前三項の規定は、次の各号に掲げる船舶については適用しない。
一 
国際航海に従事しない船舶(A2水域又はA1水域のみ(湖川を含む。)を航行するものに限る。)であって沿海区域を航行区域とするもの(航行区域が平水区域から当該船舶の最強速力で2時間以内に往復できる区域に限定されていない旅客船(管海官庁が差し支えないと認めるものを除く。)を除く。)又は平水区域を航行区域とするもの
二 
前号に掲げる船舶以外の総トン数20トン未満の船舶(旅客船を除く。)
三 
その他管海官庁が航海の態様等を考慮して差し支えないと認める船舶
(関連規則)
船舶検査心得
60−5.4
(a)第一号の「管海官庁が差し支えないと認めるもの」とは、航行区域が平水区域から最強速力で2時間以内に往復できる区域に限定されていない旅客船のうち、船舶設備規程146−35.0(a)の長距離カーフェリー以外のものとする。
(b)第三号の「管海官庁が航海の態様等を考慮して差し支えないと認める船舶」は、次に掲げる船舶とする。
(1)
A3水域、A2水域又はA1水域のみ(湖川を含む。)を航行する船舶(A2水域又はA1水域のみ(湖川を含む。)を航行するもの及び国際航海旅客船等を除く。)であって、平水区域又は沿海区域内のみを航行するもの
(2)
(1)以外の船舶であって、当該船舶の航行の態様等を考慮して保守等の措置を講ずることが困難又は不要であると考えられるもの。なお、保守等の措置の免除に当たっては、当該船舶に関する資料を添えて、首席船舶検査官まで伺い出ること。
 
〔解説〕
(1)無線設備の保守等には、陸上保守、船上保守、設備の2重化の3方法があるが、そのいずれかの方法によるかは、船舶の航行水域に応じ次表により選択することになる。
(2)国際航海旅客船等とは次の船舶をいう。
(1)国際航海に従事する旅客船
(2)国際航海に従事する総トン数300トン以上の非旅客船(漁ろうにのみ従事する漁船を除く。)
 
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(凡例)
(1)・・・設備の二重化、陸上保守、船上保守のうち1つを選択
(2)・・・設備の二重化、陸上保守、船上保守のうち2つを選択
×・・・保守等の義務なし
 
(設備の二重化)
第六十条の六 前条の設備の二重化は、船舶の航行する水域に応じてそれぞれ次に掲げる予備の無線設備を備えることにより行われるものでなければならない。
 ただし、管海官庁が当該船舶の航海の態様等を考慮して差し支えないと認める場合は、この限りでない。
 
一 
A4水域を航行する船舶
区分 予備の無線設備
国際航海旅客船等 イ HF直接印刷電信、HF無線電話、HFデジタル選択呼出装置、HFデジタル選択呼出聴守装置、MF直接印刷電信、MF無線電話、MFデジタル選択呼出装置及びMFデジタル選択呼出聴守装置
ロ VHF無線電話及びVHFデジタル選択呼出装置(以下「VHF無線設備」という。)
国際航海旅客船等以外の船舶 イ(1)又は(2)のいずれかの無線設備
(1)HF直接印刷電信、HFデジタル選択呼出装置及びHFデジタル選択呼出聴守装置
(2)HF無線電話、HFデジタル選択呼出装置及びHFデジタル選択呼出聴守装置
ロ VHF無線設備
備考
一 国際航海旅客船等以外の船舶であって総トン数100トン未満のものには、VHF無線設備を備えることを要しない。
二 短期間のみA4水域を航行する国際航海旅客船等に備えるべき予備の無線設備(VHF無線設備を除く。)については、管海官庁が差し支えないと認める場合に限り、インマルサット直接印刷電信に代えることができる。
三 短期間のみA4水域を航行する国際航海旅客船等以外の船舶に備えるべき予備の無線設備(VHF無線設備を除く。)については、管海官庁が差し支えないと認める場合に限り、インマルサット直接印刷電信又はインマルサット無線電話に代えることができる。
 
二 
A3水域、A2水域又はA1水域のみ(湖川を含む。)を航行する船舶(A2水域又はA1水域のみ(湖川を含む。)を航行するものを除く。)
区分 予備の無線設備
国際航海旅客船等 イ(1)又は(2)のいずれかの無線設備
(1)HF直接印刷電信、HF無線電話、HFデジタル選択呼出装置、HFデジタル選択呼出聴守装置、MF直接印刷電信、MF無線電話、MFデジタル選択呼出装置及びMFデジタル選択呼出聴守装置
(2)インマルサット直接印刷電信
ロ VHF無線設備
国際航海旅客船等以外の船舶 イ(1)から(4)までのいずれかの無線設備
(1)HF直接印刷電信、HFデジタル選択呼出装置及びHFデジタル選択呼出聴守装置
(2)HF無線電話、HFデジタル選択呼出装置及びHFデジタル選択呼出聴守装置
(3)インマルサット直接印刷電信
(4)インマルサット無線電話
ロ VHF無線設備
備考
一 国際航海旅客船等以外の船舶であって次に掲げるものには、VHF無線設備を備えることを要しない。
イ 総トン数100トン未満の船舶
ロ 2時間限定沿海船等(船舶設備規程第二条第三項の2時間限定沿海船等をいう。)
 
三 
A2水域又はA1水域のみ(湖川を含む。)を航行する船舶(A1水域のみ(湖川を含む。)を航行するものを除く。)
区分 予備の無線設備
すべての船舶 イ (1)から(5)までのいずれかの無線設備
(1)HF直接印刷電信、HFデジタル選択呼出装置及びHFデジタル選択呼出聴守装置
(2)HF無線電話、HFデジタル選択呼出装置及びHFデジタル選択呼出聴守装置
(3)インマルサット直接印刷電信
(4)インマルサット無線電話
(5)MF無線電話及びMFデジタル選択呼出装置
ロ VHF無線設備
備考
一 国際航海旅客船等以外の船舶であって次に掲げるものには、イに掲げる予備の無線設備に代えて一般通信用無線電信等(船舶設備規程第三百十一条の二十二第一項第三号の一般通信用無線電信等をいう。以下同じ。)(インマルサット直接印刷電信及びインマルサット無線電話を除く。)又はMF無線電話(常に直接陸上との間で船舶の運航に関する通信を行うことができるものに限る。)を備えることができる。
イ 総トン数100トン未満の船舶
ロ 近海区域を航行区域とする旅客船以外の船舶であって管海官庁が差し支えないと認めるもの
二 国際航海旅客船等以外の船舶であって総トン数100トン未満のものには、VHF無線設備を備えることを要しない。
 
四 
A1水域のみ(湖川を含む。)を航行する船舶
区分 予備の無線設備
すべての船舶 VHF無線設備
備考
国際航海旅客船等以外の船舶であって総トン数100トン未満のものにあっては、VHF無線設備に代えて一般通信用無線電信等又はMF無線電話(常に直接陸上との間で船舶の運航に関する通信を行うことができるものに限る。)を備えることができる。
 
2 前項各号の規定により備える予備のHFデジタル選択呼出装置又はMFデジタル選択呼出装置が船舶設備規程第百四十六条の三十四の六第一号及び第二号に掲げる要件に適合する場合には、それぞれ予備のHFデジタル選択呼出聴守装置又はMFデジタル選択呼出聴守装置を備えることを要しない。
 
(関連規則)
船舶検査心得
60−6.1
(a)小型漁船安全規則、船舶設備規程又は小型船舶安全規則の規定に基づき備えることを要しないこととされた無線設備については、予備の無線設備として備えることを要しない。
(b)「管海官庁が当該船舶の航海の態様などを考慮して差し支えないと認める場合」とは次のとおりとする。
(1)
設備規程146−10−4.0(b)(3)の規程((iv)に係る部分を除く)。に適合する船舶であって次の各号の一に適合する場合
(i)
第1号又は第2号の表の国際航海客船等以外の船舶の項中イに掲げる予備の無線設備としてHF無線電話備える場合
(ii)
311−22−1(c)の後段において首席船舶検査官が定めるサテライト・マリンホンのカバーエリア内のみを航行するものについては、第2号の表の国際航海旅客船等以外の船舶の項中イに掲げる予備の無線設備としてサテライト・マリンホンを備える場合
(2)
設備規程146−10−4.0(b)(3)の規定((iv)に係る部分を除く。)適合する船舶については、同項中ロに掲げる予備のVHF無線設備に代えてVHF無線電話又は311−22.1(a)(2)により備える27MHz帯を使用する無線電話を備える場合
 
(陸上保守)
第六十条の七 第六十条の五の陸上保守は、次の各号の一に該当する方法により行われるものでなければならない。
一 
無線設備の有効性を保持するための修理を行う能力を有する者に船舶の寄港地において定期的な点検及び修理を行うことを契約により委託する方法
二 
船舶の就航航路に応じて無線設備の有効性を保持するための点検及び修理に必要な予備の部品、測定器具及び工具を備えた拠点を設け、定期的な点検及び修理を行う方法
三 
前二号の方法以外の方法であって無線設備の有効性を保持するための定期的な点検及び修理を行うものとして管海官庁が適当と認めるもの
 
(船上保守)
第六十条の八 第六十条の五の船上保守は、手引書、予備の部品、測定器具及び工具であって船上において行う無線設備の保守及び修理に必要となるものを備え、かつ、資格を有する船員により行われるものでなければならない。
(関連規則)
船舶検査心得
60−8
(a)「資格」とは、電波法に基づく無線従事者の資格であって、第1級総合無線通信士、第1級海上無線通信士又は第2級海上無線通信士のいずれかとする。







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