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○操だ設備
(関連規則)
船舶検査心得
第2章 操だ設備
(A)本章における用語の定義については、次に掲げるところによる。この場合において、油圧により作動する操舵装置以外の操舵装置の各用語の定義は、油圧により作動する操舵装置と同一の機能を有する部分がそれぞれ対応するものとする。
(1)「操舵装置」とは、油圧駆動系統、制御系統及び舵を有効に動かすため必要なトルクを舵頭材に与える装置(例えば、チラー又はコードラント)により構成される装置をいう。
(2)「主操舵装置」とは、通常の航行状態において使用する操舵装置をいう。
(3)「補助操舵装置」とは、主操舵装置の故障の際の操船に必要な装置であって、原則として主操舵装置のどの部分とも分離されたものをいう。
 ただし、舵を有効に動かすため必要なトルクを舵頭材に与える装置は、分離されたものでなくても差し支えない。
(4)「油圧駆動系統」とは、舵頭材を回す動力を供給するために設けられた油圧装置であって、一般に、動力装置、作動油タンク、配管及びラダー・アクチュエーターにより構成されるものをいう。
(5)「動力装置」とは、油圧ポンプとその駆動電動機及びこれに附属する電気機器をいう。この場合において、附属する電気機器とは、電動機用の始動器、切換スイッチ(装備されている場合に限る)及び関係する配線を含むものとし、給電回路の遮断器や配線は含まない。
(6)「制御系統」とは、舵の動きについての指示を船橋から操舵装置の動力装置を制御する装置に伝達する装置をいい、舵輪(又は舵レバー)からフローティング・レバー(定吐出容量式の操舵装置にあっては、制御弁)までの系統をいう。制御系統は、一般に発信機、受信機、制御用油圧ポンプ並びにこれらに関連する電動機、電動機用制御器、管及び電線により構成される。
 
(操だ装置)
第135条 船舶(総トン数70,000トン以上の船舶であって危険物ばら積船等 (危険物船舶運送及び貯蔵規則第2条第1号の2イ及びロに掲げるばら積み液体危険物又は引火性若しくは爆発性のガスを発生する液体であってこれらのばら積み液体危険物以外のもののばら積輸送に使用される船舶をいう。以下同じ。) 以外のもの及び総トン数10,000トン以上の危険物ばら積船等を除く。)には、主操だ装置及び補助操だ装置を備えなければならない。
 ただし、管海官庁が当該船舶の構造、航海の態様等を考慮して差し支えないと認める場合は、補助操だ装置を備えることを要しない。
2. 前項の主操だ装置及び補助操だ装置は、そのうちの一の故障により他の操だ装置の作動が妨げられるおそれのないものでなければならない。
 
第136条 前条第1項の規定により備える主操だ装置は、次に掲げる要件に適合するものでなければならない。
(1)十分な強度を有し、かつ、管海官庁が適当と認める方法により保護されたものであること。
(2)最大航海喫水において最大航海速力で前進中に、かじを片げん35度から反対げん35度まで操作でき、かつ、片げん35度から反対げん30度まで28秒以内に操作できるものであること。ただし、管海官庁が当該船舶の構造、航海の態様等を考慮して差し支えないと認める場合は、この限りでない。
(3)最大後進速力で後進しても破損しないものであること。
(4)だ柄と接合部のだ頭材の径が 120ミリメートルを超える場合には、動力によるものであること。
2. 前条第1項の規定により備える補助操だ装置は、次に掲げる要件に適合するものでなければならない。
(1)操だ機室を有する船舶に備えるものにあっては、操だ機室において操作することができるものであること。
(2)最大航海喫水において最大航海速力の2分の1又は7ノットのうちいずれか大きい方の速力で前進中に、かじを片げん15度から反対げん15度まで60秒以内に操作できるものであること。ただし、管海官庁が当該船舶の構造、航海の態様等を考慮して差し支えないと認める場合は、この限りでない。
(3)主操だ装置が故障した場合に、速やかに作動させることができるものであること。
(4)だ柄との接合部のだ頭材の径が 230ミリメートルを超える場合には、動力によるものであること。
(5)動力によるものにあっては、その制御系統(操だ輪又はかじレバーを除く。以下この号、次条第4号、第139条第4号及び第141条第5号において同じ。) は、主操だ装置の制御系統と独立したものであること。
(6)前項第1号に掲げる要件
 
(関連規則)
船舶検査心得
136.2
(a)〜(c)(略)
(d)第5号の制御系統と主操舵装置の制御系統との独立性については、次に掲げるところによること。
(1)主操舵装置の制御系統と補助操舵装置の制御系統との間には、共通回路配線及び単式切替スイッチが設けられていないこと。
(2)制御系統の増幅器、リレー等は、自動操舵装置と兼用して差し支えない。
(3)船橋と操舵機室間の制御回路ケーブルとして他心ケーブルを用いる場合には、主操舵装置の制御系統と別個の多心ケーブルが用いられていること。
(4)可変吐出容量式のポンプを使用する動力装置を備える電動油圧補助操舵装置にあっては、当該ポンプの傾転量を制御するための油圧サーボシリンダ及びこれに付随する油圧システム(ポンプ駆動電動機及びその始動器類を含む。)又は電気サーボモータがそれぞれ2組備えられていること。
 
第137条 第 135条の第1項の規定にかかわらず、同項の船舶の主操だ装置が動力によるものであり、かつ、前条第1項第1号から第3号までに掲げる要件のほか、次に掲げる要件にも適合するものである場合は、当該船舶には、補助操だ装置を備えることを要しない。
(1)同等の能力を有する2以上の動力装置を有すること。この場合において国際航海に従事する旅客船及び国際航海に従事しない旅客船であって遠洋区域又は近海区域を航行区域とするものにあっては、当該動力装置は、そのうちの1が作動していないときにおいても前条第1項第2号に規定する操だ能力を維持することができるものでなければならない。
(2)油圧操だ装置にあっては、その油圧駆動系統(ラダー・アクチュエーターを除く。)に1の故障が生じた場合に、速やかに操だ能力を回復させるための措置が講じられたものであること。
(3)油圧操だ装置以外のものにあっては、前号の要件に適合する油圧操だ装置と同等以上の効力を有するものであること。
(4)船橋から操作することができる2の独立した制御系統を備えたものであること。ただし、油圧テレモーターにより構成される制御系統にあっては1とすることができる。
 
(関連規則)
船舶検査心得
137.0
(a)第1号の動力装置の分離については、135.2(a)を準用する。
(b)第2号の「速やかに操だ能力を回復させるための措置」とは、弁操作により故障部分を切り離す措置又はこれと同等以上の措置をいう。
(c)第4号の制御系統の独立性については、次に掲げるところによること。
(1)共通回路配線及び単式切換スイッチが設けられていないこと。
(2)制御系統の増幅器、リレー等は、自動操舵装置と兼用して差し支えない。
(3)船橋と操舵機室間の制御回路ケーブルとして多心ケーブルを用いる場合には、系統別に別個の多心ケーブルが用いられていること。
(4)可変吐出容量式のポンプを使用する動力装置を備える電動油圧補助操舵装置にあっては、当該ポンプの傾転量を制御するための油圧サーボシリンダ及びこれに付随する油圧システム(ポンプ駆動電動機及びその始動器類を含む。)又は電気サーボモータが主操舵装置の制御系統と別個に備えられていること。
 
第138条 総トン数70,000トン以上の船舶であって危険物ばら積船等以外のものには、動力による操だ装置であって第 136条第1項第1号から第3号まで及び前条各号に掲げる要件に適合するものを備えなければならない。
 
第139条 総トン数10,000トン以上の危険物ばら積船等には、動力による操だ装置であって次に掲げる要件に適合するものを備えなければならない。
(1)油圧操だ装置にあっては、その油圧駆動系統に1の故障が生じた後45秒以内に操だ能力を回復できるものであること。ただし、当該故障がラダー・アクチュエーターの焼付き又はラダー・アクチュエーターを1のみ備える油圧駆動系統の当該ラダー・アクチュエーターの故障である場合は、この限りでない。
(2)油圧操だ装置にあっては、その油圧駆動系統は、次に掲げる要件のいずれかに適合するものであること。ただし、ラダー・アクチュエーターを1のみ備える油圧駆動系統については、管海官庁の指示するところによるものとする。
イ. 2の独立し、かつ、分離した油圧駆動系統であって、かつ、そのそれぞれが第136条第1項第2号に規定する操だ能力を有するものであること。
ロ. 2の独立した油圧駆動系統であって、そのうちの1に作動油の漏出が生じた場合に、これを自動的に探知し、かつ、当該系統を自動的に切り離すことにより、他の系統の作動を維持することができるものであること。
(3)油圧操だ装置以外のものにあっては、前2号の要件に適合する油圧操だ装置と同等以上の効力を有するものであること。
(4)船橋から操作することができる2の独立した制御系統を備えたものであること。
(5)第136条第1項第1号から第3号まで及び第137条第1号の要件
 
(関連規則)
船舶検査心得
139.0
(a)第4号の制御系統の二重化については、137.0(c)を準用する。







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