日本財団 図書館


2.9.7 コンパスの備付け
 磁気コンパス、ジャイロコンパスの備付けについては、設備規程第146条の18から第146条の22までの規定による。
 
(磁気コンパス)
第146条の18 遠洋区域、近海区域又は沿海区域を航行区域とする船舶には、基準磁気コンパス及び操だ磁気コンパス並びに予備の羅盆を備えなければならない。ただし、管海官庁が当該船舶の設備等を考慮して差し支えないと認める場合は、いずれか1の磁気コンパス又は予備の羅盆を備えることを要しない。
第146条の19 前条の規定により備える磁気コンパスは、次に掲げる要件に適合するものでなければならない。
(1)できる限り船の中心線上であって磁性材料から離れた位置に設置されていること。
(2)基準磁気コンパスは、全方位にわたって見通しが良好な位置に設置されていること。
(3)操だ磁気コンパスは、操だ位置からその表示を明りょうに読み取ることができる位置に設置されていること。
(4)指針面の表示は、管海官庁が適当と認めるものであること。
(5)明るさを調整することができる2以上の照明装置を備え付けたものであること。
(6)誤差は、管海官庁が適当と認めるものであること。
(7)自差を修正することができるものであること。
(8)羅盆は、船舶が任意の方向に30度傾斜している状態においても水平を保つように、かつ、堅固に環架に取り付けらえていること。
(9)残留自差を修正するための図表及び方位を測定するための装置を備えたものであること。
(10)第146条の13第1項第6号に掲げる要件
(ジャイロコンパス)
第146条の20 総トン数500トン以上の船舶(平水区域を航行区域とするものを除く。)には、ジャイロコンパスを備えなければならない。
2. 総トン数1,600トン以上の船舶には,全方位にわたって見通しが良好な場所に、前項の規定により備えるジャイロコンパスのジャイロ・レピータを設置しなければならない。
第146条の21 前条第1項の規定により備えるジャイロコンパスは、次に掲げる要件に適合するものでなければならない。
(1)マスター・ジャイロコンパスは、操だ位置からその表示を明りょうに読み取ることができる位置に設置されていること。ただし、当該位置にジャイロ・レピータが設置されている場合は、この限りでない。
(2)停止状態から管海官庁の指定する時間以内に静定することができるものであること。
(3)船舶の速力及び経緯により生じる誤差を補正することができるものであること。
(4)給電が停止した場合に警報を発するものであること。
(5)測定した船首方位に係る情報を航海用レーダーその他の必要な航海用具等に伝達することができるものであること。
(6)明るさを調整することができる照明装置を備え付けたものであること。
(7)第146条の13第2項第1号から第7号まで並びに第146条の19第4号及び第6号に掲げる要件
(羅針儀)
第146条の22 平水区域を航行区域とする船舶には、羅針儀を備えなければならない。ただし、湖川港内のみを航行する船舶であって管海官庁が差し支えないと認めるものについては、この限りでない。
2. 外洋航行船(限定近海貨物船を除く。)には、操だ機室に羅針儀を備えなければならない。
 
(関連規則)
 設備規程第146条の18から第146条の22関係(船舶検査心得)
 
(磁気コンパス)
146−18.0(a)「いずれか一の磁気コンパス又は予備の羅盆」は、「いずれか一の磁気コンパス及び予備の羅盆」と解釈することができる。
(b)「いずれか一の磁気コンパス又は予備の羅盆」の省略については、次に掲げるところによる。この場合において、ジャィロコンパスをもって磁気コンパスの備付けを省略する場合の当該ジャイロコンパスは、第146条の21に掲げる要件に適合するものであることが望ましいが、そうでない場合には同条に掲げる要件に近い性能を有するものであること。
(1)昭和59年9月1日以後に建造され、又は建造に着手された船舶に対する磁気コンパスの備付けの省略については、次に掲げるところによる。
(i)基準磁気コンパスの備付けを省略できるのは、次のいずれかの場合とする。
(イ)基準磁気コンパスと同様の目的に使用することができるジャイロコンパスのレピータを備え付けている場合。ただし、国際航海に従事する総トン数500トン以上の船舶については、この限りでない。
(ロ)沿海区域を航行区域とする総トン数200トン未満(国際航海に従事する船舶にあっては、総トン数150トン未満)の船舶に、おおむね船の前方180°の物標方位測定が可能な操舵磁気コンパスを備え付けている場合。
(ii)操舵磁気コンパスの備付けを省略できるのは、次のいずれかの場合とする。
(イ)反映式の基準磁気コンパスを備え付けている場合
(ロ)操舵磁気コンパスと同様の目的に使用することができるジャイロコンパス又はそのレピータを備え付けている場合、ただし、総トン数150トン未満の船舶に限る。
(iii)予備の羅盆の備付けを省略できるのは、次のいずれかの場合とする。
(イ)ジャイロコンパスを備え付けている場合
(ロ)船舶が、沿海区域を航行区域とするものである場合。ただし、(i)(ロ)又は(ii)(イ)により磁気コンパスを省略している場合には、この限りでない。
(ハ)基準磁気コンパスの羅盆と操舵磁気コンパスの羅盆が互換性を有する場合
(2)昭和59年9月1日前に建造され、又は建造に着手された船舶に対する磁気コンパスの備え付けの省略については、次に掲げるところによる。
(i)基準磁気コンパスの備付けを省略できるのは、次のいずれかの場合とする。
(イ)基準磁気コンパスと同様の目的に使用することができるジャイロコンパスのレピータを備え付けている場合。ただし、国際航海に従事する総トン数1,600トン以上の船舶については、この限りでない。
(ロ)沿海区域を航行区域とする総トン数200トン未満(国際航海に従事する船舶にあっては、総トン数150トン未満)の船舶に、おおむね船の前方180°の物標方位測定が可能な操舵磁気コンパスを備えている場合
(ii)操舵磁気コンパスの備付けを省略できるのは、次のいずれかの場合とする。
(イ)反映式の基準磁気コンパスを備え付けている場合
(ロ)操舵磁気コンパスと同様の目的に陣用することができるジャイロコンパスを備え付けている場合、ただし、国際航海に従事する総トン数1,600トン以上の船舶については、この限りでない。
(iii)予備の羅盆の備付けを省略できるのは、次のいずれかの場合とする。
(イ)ジャイロコンパスを備え付けている場合
(ロ)船舶が、沿海区域を航行区域とするものである場合。ただし、(i)(ロ)又は(ii)(イ)により磁気コンパスを省略している場合には、この限りでない。
(ハ)基準磁気コンパスの羅盆と操舵磁気コンパスの羅盆が互換性を有する場合
(3)昭和55年5月25日前に建造され、又は建造に着手された船舶であって、国際航海に従事せず、かつ、沿海区域を航行区域とするものに対する磁気コンパスの備え付けの省略については、(b)によるところに加えて次に掲げるいずれかによることができる。
(i)おおむね船の前方180°の物標方位測定が可能な操舵磁気コンパス及び予備の羅盆を備え付けている場合
(ii)おおむね船の前方180°の物標方位測定が可能でない操舵磁気コンパスに加えて、おおむね船の前方180°の物標方位測定が可能な羅針儀を備え付けている場合
146−19.0(a)第5号の「2以上の照明装置」とは、次に掲げるいずれかに適合するものをいう。
(1)常用電源及び非常電源から独立して配線し、それぞれに照明用電球を備える場合(図146−19.0〈1〉参照)
 
図146−19.0〈1〉
 
(2)常用電源及び非常電源からの配線の途中に切替スイッチを設け、スイッチの切替によりそれぞれの電源から照明用電球に給電できる場合。この場合において、当該切替スイッチは、磁気コンパスの本体又は船橋内に設けられていること。(図146−19.0〈2〉参照)
 
図146−19.0〈2〉
 
(3)常用電源を非常電源を介して給電し、常用電源からの給電が停止した時に自動的に照明用電球に非常電源から給電される場合(図146−19.0〈3〉参照)
 
図146−19.0〈3〉
 
146−22.2(羅針儀)
(1)外洋航行船(限定近海貨物船を除く。)の操舵機室への羅針儀の備付けは、原則として常設であること。ただし、操舵機室にジャイロコンパスのレピータ用のコンセントがあり、かつ、速やかに操舵機室内に持ち込むことができる場所にジャイロコンパスのレピータがある場合には、操舵機室へ羅針儀を常設しているものとみなす。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION